井端弘和「イバらの道の野球論」(15)前回の記事はこちら ここ数年、西武とソフトバンクの強さが際立っているパ・リーグ…

井端弘和「イバらの道の野球論」(15)前回の記事はこちら

 ここ数年、西武とソフトバンクの強さが際立っているパ・リーグ。今年も”2強”の争いになるのか、他のチームがペナントレースを盛り上げることになるのか。前回のセ・リーグに続き、侍ジャパン内野守備走塁コーチの井端弘和氏に、昨年のパ・リーグ上位チームから注目選手を聞いた。



2019年ドラフト5位でロッテに入団した福田

――まずは、リーグ連覇中の西武から注目選手を教えてください。

「メジャーに移籍した秋山翔吾(レッズ)に代わる1番打者として、もっとも期待されているであろう金子侑司です。秋山のようにヒットを量産することは難しいかもしれませんが、足の速さは金子のほうが上。内野安打など、どんな形でもいいから塁に出て出塁率が上がれば、十分に相手チームに脅威を与えるリードオフマンになれると思います。

 金子本人も『今年は1番で』という思いがあるでしょうし、オープン戦でも出塁率.367、5盗塁と結果を残しているので心身ともに充実しているように見えました。彼が機能すれば、後には超強力打線が控えていますから、秋山が抜けた穴を感じさせない戦いができるはずです」

――確かに、エースの菊池雄星投手(マリナーズ)がメジャーに移籍した2018年シーズン、主軸打者だった浅村栄斗選手がFAで抜けた昨シーズンもチーム力は落ちなかったですね。

「辻発彦監督がチームの特徴を最大限に生かす采配をしていますよね。ここ数年の西武は投手陣が課題ですから、どうしても投手強化に注力したくなるところを、そこに固執せずに打ち勝ってきています。私がプロ入りした頃は『打線は水物。投手が8割』とも言われていましたけど、そんな野球界の常識を覆す結果を残しています。

 ただ、2年連続でソフトバンクにCSで敗れているように、短期決戦ではやはり投手力が重要です。いきなりエース級が何人も出てくることは現実的ではないですが、ある程度計算ができるピッチャーが揃えば、リベンジできる可能性は高くなると思います」

――西武を退け、3年連続日本一を達成したソフトバンクの注目選手は?

「広島の鈴木誠也と同様に、”令和初の三冠王”への期待を込めて柳田悠岐を挙げます。彼のフルスイング、グラウンドでの躍動感は別格ですし、お金を払って見たい選手の筆頭です。昨年は開幕早々にケガをして不本意なシーズンになりましたが、今年は全試合に出場して悔しさを晴らしてほしい。柳田が万全であれば、4年連続の日本一も現実味を帯びてくるでしょう」

――続いて、昨年3位の楽天はいかがですか?

「浅村栄斗に注目しています。昨年のプレミア12で彼をずっと見てきて、最初は寡黙で口数が少ない印象だったのが、大会が進むにつれてひと皮むけたように感じました。自身の活躍でチームをけん引したのはもちろん、ベンチでも感情を表に出すようになりましたし、チーム一丸となって戦うことの大切さをあらためて実感したんじゃないかと思います。

 今年は楽天で4番を任され、よりチームリーダーとして期待される1年になるでしょう。今や侍ジャパンにも欠かせない選手になりましから、浅村のさらなる成長を楽しみにしています」

――昨年4位のロッテは、ドラフト1位の高卒ルーキー・佐々木朗希投手に注目が集まっていますね。

「佐々木は言わずもがなですが、同じルーキーでは法政大学からドラフト5位で入団した福田光輝にも注目です。左打者の彼の魅力は長打力。広いナゴヤドームで行なわれた中日とのオープン戦(3月14日)で、2打席連続ホームランを打ったことには衝撃を受けました。しかも、1本目がレフト、2本目は反対方向のライトに持っていくなど、広角に長打が打てるところも見せましたね。

 タイミングを取るのが早く、フリー打撃では佐々木から柵越えの打球を放っているように、速い球には強い。変化球への対応など課題もありますが、現段階でソフトバンクの柳田を思わせるようなロマン溢れるスイングができているので、それは変えずに成長していってほしいです」

――福田選手にはプロ入り前から注目していましたか?

「昨年、私が特別コーチを務めていたNTT東日本と法政大が試合をする機会があって、その時に福田が目につきました。大阪桐蔭出身ということで、『強豪校でしっかり土台を作ってきた選手だな』という印象でしたね。福田に限らず、ロッテには魅力的な若手選手が多い。ひとりでもブレイクすれば芋づる式に活躍する選手が出てくると思います。そうなったら、セ・リーグを3連覇した広島のように長く優勝争いができるチームになるでしょう」

――昨年5位と苦しんだ日本ハムの注目選手は誰になりますか?

「来日2年目の王柏融(ワン・ボーロン)でしょうか。台湾では2季連続で打率4割を打ち、日本でも『最低3割』と思っていたでしょうから、ケガの影響があったとはいえ昨年の成績(打率.255)のままで黙ってはいないはず。打順は3番が理想だと思いますが、近藤健介もいるので4番の中田翔の後になるでしょう。彼が本来の力を出せれば、日本ハムの打線は安定すると思います」

――昨シーズンはどういった点で苦労していたのでしょうか。

「ストレートに差し込まれることが多かったですね。変化球を打つのはうまいですし、低めのボールをしっかり見逃がせるなど選球眼もいい。あとはストレートをどう捉えるか。キャンプやオープン戦を見ると体が大きくなっていましたが、速い球に力負けしないために意識的に大きくしているのかもしれませんね。『今年はやってやろう』という意気込みも感じるので頑張ってほしいです」

――最後に、昨年6位からの巻き返しをはかるオリックスの注目選手は?

「侍ジャパンでも活躍した山本由伸ですね。投手部門のタイトルを総なめにしてもらいたいです。ストレートや高速フォークだけでなく、スライダー、カーブなどすべてのボールが一級品ですし、本当に複数のタイトルを獲ったとしても誰も驚かないレベルに達していると思います。

 2シーズン続けて左わき腹痛で離脱するなど、まだ21歳ということもあって1年を投げ抜く体の強さは必要になるでしょうが、心配なのはそれくらいです。それをクリアし、巨人の菅野智之、ソフトバンク千賀滉大のような日本を代表するエースになってくれることを期待しています」