本来なら「ATP1000 モンテカルロ」が行われている予定だったこの時期。今年は新型コロナウイルスの影響のため中止となったが、Tennis TVが同大会のドラマチックな瞬間5選をYouTube…
本来なら「ATP1000 モンテカルロ」が行われている予定だったこの時期。今年は新型コロナウイルスの影響のため中止となったが、Tennis TVが同大会のドラマチックな瞬間5選をYouTubeで公開しており、今回はその一つを紹介する。
それは、2017年大会の準決勝、ダビド・ゴファン(ベルギー)対ラファエル・ナダル(スペイン)でのこと。
この大会でゴファンは、3回戦でドミニク・ティーム(オーストリア)を、準々決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破る好調ぶりを見せ、準決勝でクレーキングであるナダルに挑戦。
しかも第1セットでゲームカウント3-2、1ブレークアップとナダルから先にブレークを奪っていた。だが、第6ゲームで勢いをそがれる事態に見舞われる。ゴファンが自身のサービスゲームでアドバンテージを握ったところで、ラリーの末、ナダルのフォアハンドはベースラインを越えたとして線審はアウトをコール。ゴファンがキープしたかに見えた。
しかし主審のセドリック・ムーリエ氏はボールの跡を確認すると、オーバールールにより判定を覆し、ポイントのやり直しを決めた。
これには感情をあまり表に出さないイメージのゴファンも激怒。ムーリエ氏に何度も激しく抗議した。
そのときのムーリエ氏とゴファンのフランス語での会話が、SNSで以下のように紹介されている。
ゴファン:「そこじゃない、ここだよ」(コート左側の跡を指さす)
ムーリエ氏:「いや違う、これだよ」(前かがみになり中央部を指さす)
ゴファン:「何を言っているの? 絶対にこれだよ!」(声を荒げて、もう一度跡を指さす)
ムーリエ氏:「聞いてくれ。僕が間違っている。だけど...」
ゴファン:「そんなわけない」(苛立って両手で頭を抱える)
自動ライン判定である「ホークアイ」の映像でも、ナダルのボールは大きくアウトしていることを示していたが、当時クレーコートではこれを利用したチャレンジシステムは採用されておらず、結局ポイントのやり直しとなった。(2020年からは一部のクレーコート大会で試験的にチャレンジシステムを導入することが決まっていた)
デュースとなったこのゲームは激しい攻防の末、ナダルがブレークバックに成功。ゴファンは勢いをそがれ、その後は1ゲームしか奪えず、3-6、1-6で敗れた。
ゴファンはこのことについて「突然、主審にあのようなミスをされると本当にきついよ。あのようなことが起こると、もう一度集中して気持ちを立て直さなければならないからね。それはかなり大変だよ」「彼は僕にボールの跡を示してきたけど、僕には何かわからなかった。彼の顔は動揺して自信のない感じだったよ」「ムーリエ氏は本当にいい人だよ。別に彼に怒っているわけじゃない。ただ彼がミスをしただけさ」とコメントしていた。
現在テニスツアーは、少なくとも7月12日までは中断することが決まっている。
(テニスデイリー編集部)
※写真は2017年「ATP1000 モンテカルロ」でのゴファン(手前)
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)