トップリーグ第5節、10月1日の秩父宮では近鉄ライナーズ対クボタスピアーズ戦が組まれた。イーブンボールの行方が見えない激しいボール争奪戦となった試合は、後半20分に逆転したライナーズが逃げ切り、今季2勝目。秩父宮ラグビー場ではなんと13年…

 トップリーグ第5節、10月1日の秩父宮では近鉄ライナーズ対クボタスピアーズ戦が組まれた。イーブンボールの行方が見えない激しいボール争奪戦となった試合は、後半20分に逆転したライナーズが逃げ切り、今季2勝目。秩父宮ラグビー場ではなんと13年ぶりの勝利を挙げた(日本選手権を除く)。

「13年前は15歳でした。知らないですね(笑)。前半はいい流れで終えたのに、相手を生き返らせてしまった」と豊田大樹主将。
 
 主将が話す前半は、30分に途中出場のCTB吉川修司がトライを挙げ15-3とリード。さらに、前半終了前の3分近く、自陣ゴール前に釘付けにされながら、好ディフェンスでゴールラインを割らせなかった。しかし、後半開始10分間で17失点して15-20とリードを許した。

 その後も、前半は主導権を握ったはずのスクラムで攻め急ぎ、アーリーエンゲージの反則でチャンスを失ったが、前半の吉川同様、救ったのは大ベテラン。後半18分にはドロップアウト後の中盤で渾身のジャッカルを見せると、誘った反則から敵陣ゴール前に進みHO樫本敦がトライ。ゴールも決まり、22-20と逆転に成功した。その後もフル出場した15年目の大ベテランは〝ミスター近鉄″らしさを見せてくれた。

「(ジャッカルの場面を振り返り)あれは自分の仕事かなと。今日は出し切りました。80分間の出場は覚悟しているので、勝てたのがうれしい。スクラムもかなり良くなっているし、今日は自分たちの形で組めた」と佐藤幹夫。13年前の秩父宮でも出場していたという。

 後半32分には、ゴール前に攻め込んだ近鉄がFWのしつこいサイド攻撃から、CTBアンソニー・ファインガ→SO重光泰昌で駄目押しトライ。29-20で近鉄が2勝目を挙げた。
「まだ周囲との連係が課題です。それができればもっと良くなる。ディフェンスも持ち味なので、まだまだできる。総合して、〝まあまあかな″」とファインガ。

 ベテラン佐藤幹は後半30分に足をつる場面も見られたが、ベンチも交代する雰囲気はなかった。フロントロー3人に外国人枠などを考慮すれば、日本人の先発3列を簡単に交代できない。それも本人は承知で「(フル出場の)覚悟はあります」と話す。

 また、攻撃のアクセントとなったCTB吉川は「いつも準備しています。気持ちが強い方が勝つので、そこは意識しますね。今季はトップ4という目標があるので、そこを忘れず、大切に戦っていきます」と試合後に話した。

 今季トップリーグ最初で最後、鬼門の秩父宮で勝ち、流れを変えたい。クボタの攻撃を何度も食い止め、ターンオーバーから大きく展開した姿勢と、ゴール前で耐え抜いた前半終了間際のチームディフェンスは、ストロングポイントになるはず。