スペインの名門バルセロナが史上初めて年間総売上1000億円の大台を突破した昨今のサッカー界は、いわゆるバブル時代の真っ…
スペインの名門バルセロナが史上初めて年間総売上1000億円の大台を突破した昨今のサッカー界は、いわゆるバブル時代の真っ只中。格差社会のなか、ひと握りの勝ち組ビッグクラブは右肩上がりの経済成長を続けている。

1位に輝いたのは、現役時代に守備的MFとして活躍したこの男
そしてその恩恵を受け、たとえばリオネル・メッシ(バルセロナ)、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)、ネイマール(パリ・サンジェルマン)といったスター選手たちがケタ違いの年間収入を得ていることは、周知のとおりである。
しかしながら、そんな勝ち組クラブのアイコンとして稼ぎ頭となっているのは、何も彼らのようなスター選手に限った話ではない。マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ、リバプールのユルゲン・クロップ、トッテナム・ホットスパーのジョゼ・モウリーニョなど、世界の名だたる名監督たちも象徴的存在として、クラブに付加価値を与えてくれる。
バロンドール(ヨーロッパ最優秀選手賞)を主催するフランスのサッカー誌『フランスフットボール』が、毎年恒例となっている選手と監督の年間収入ランキングを発表した(2019−2020シーズンの基本給、2018−2019シーズンのボーナス、スポンサー契約を含めた広告収入の合計額)。
選手部門はあいかわらず、メッシ、ロナウド、ネイマールがトップ3を占め、その後をガレス・ベイル(レアル・マドリード)、アントワーヌ・グリーズマン(バルセロナ)が追う恰好となったが、一方の監督部門では意外な人物が上位に顔を出している。
栄えある1位にランクされたのは、ペップでもクロップでもなく、アトレティコ・マドリード(スペイン)を率いるディエゴ・シメオネだ。
年間総収入は推定4050万ユーロ(約48億5000万円)。この金額には、基本給やボーナス以外に、レンジローバーや複数の不動産投資会社からの広告収入も含まれる。当然ながら、アトレティコ・マドリードでこの金額を上回る収入を得ている選手はいない。
とはいえ、2012年1月からA・マドリードを率いるシメオネが今まで残してきた功績を考えれば、これだけの収入を得ていても不思議ではない。
就任初年度にヨーロッパリーグ優勝、2年目の2012−2013シーズンはコパ・デル・レイとUEFAスーパーカップのタイトルに導くと、翌2013−2014シーズンには自身の現役時代にあたる1995−1996シーズン以来となる悲願のリーグ優勝を達成。その頃から”チョリスモ”と呼ばれる彼の哲学が、選手、クラブ、そしてメディアやファンの間で浸透した。
以降、クラブを2度のチャンピオンズリーグ準優勝とヨーロッパリーグ優勝に導いたシメオネは、名門A・マドリード完全復活の象徴として君臨。そんな最重要人物を手放すまいとしたクラブは、昨年2月にシメオネとの契約を2022年6月30日まで延長し、他クラブからのオファーを断らざるを得ないような高額年棒を提示したのである。
近年は、選手以上に監督を重視し、限られた予算でチーム強化を図るクラブが増えているが、年間売上3億6700万ユーロ(約440億円)のA・マドリードが監督への投資を惜しまないのも納得がいく。そういう意味でも、シメオネは現代サッカーのトレンドを象徴する監督のひとりと言える。
一方、2位に食い込んだ意外な人物は、イタリアの名門インテルを率いるアントニオ・コンテだ。しかし、推定3000万ユーロ(約36億円)の収入を得たコンテの場合、シメオネとは違って特殊な事情がある。ずばり、2019年は彼にとっての当たり年だったのだ。
まず、昨年5月にインテルの監督就任が決まったコンテは、推定2020万ユーロ(約24億円)で契約。さらに8月には、チェルシー時代の解任時に発生していた違約金に関する係争が決着。980万ユーロ(約11億7400万円)を手にしたのである。
もっとも、ユベントスを率いた時代にリーグ3連覇に達成したほか、チェルシーでも就任初年度にあたる2016−2017シーズンにプレミアリーグ優勝に導くなど、コンテの監督としての実績は世界でも指折りであることは疑いようがない事実だ。現在インテルが支払う高額年棒も、彼の能力に見合った金額と見ていいだろう。
そして3位以下に続くのは、近年のサッカー界におけるカリスマ監督として定着している3人、グアルディオラ、クロップ、モウリーニョら重鎮である。
3位のグアルディオラの年間収入は推定2700万ユーロ(約32億3000万円)で、そのうち2200万ユーロが基本給とボーナス。残る金額は、プーマや日産など、パートナー各社からの広告収入だ。
現状、UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)から2シーズンにわたるヨーロッパカップ出場停止処分が下されているクラブとの契約期限が来年6月30日に迫るなか、グアルディオラが契約を延長するかどうかは定かではない。シメオネを抜いてトップに返り咲くためには、他のビッグクラブとの新契約をかわす必要があるかもしれない。
それとは対照的に、4位にランクされたクロップは、昨年12月にクラブとの契約を2024年6月30日まで延長したばかり。現在はボーナスを含めた推定1650万ユーロ(約20億円)の年棒に加え、ニベアやフィリップスなど複数のスポンサーから収入を得ており、年間収入額は2400万ユーロ(約29億円)に及ぶ。
リバプールの年間売上額が6億470万ユーロ(約724億円)であることを考えると、チャンピオンズリーグ優勝に導き、現在は悲願のプレミアリーグ優勝が確実視されているクロップには、もう少し高めの年棒を設定してもよさそうなもの。今後は「現在世界ナンバーワン」と評されるクロップの価値がどこまで上昇するかに注目が集まる。
ちなみに、5位にランクされたモウリーニョの推定収入は2300万ユーロ(約27億5000万円)。そのうちトッテナムが支払う報酬は1650万ユーロ(約20億円)で、これはクロップと同額。それに、アディダスなど各社からのスポンサー収入と、トッテナムの監督に就任する前にスカイスポーツなどで務めた解説者としての収入を加えた金額になっている。
以下、トップ10には、6位=ジヌディーヌ・ジダン(レアル・マドリード)、7位=エルネスト・バルベルデ(前バルセロナ監督)、8位=ファビオ・カンナバーロ(広州恒大)、9位=マッシミリアーノ・アッレグリ(前ユベントス監督)、10位=ラファエル・ベニテス(大連一方)といったお馴染みの名前が名を連ねる。
果たして、来年に発表される監督収入ランキングはどのような変動を見せるのか。そこに名を連ねる監督の名前はもちろん、その報酬額の変化も注目される。