2020年シーズン開幕で見つけた
今季要注目のJリーガー(1)
ヒシャルジソン(柏レイソル/MF)

 両チーム合わせて計44本ものシュート数を記録した柏レイソル対コンサドーレ札幌戦は、今季の開幕9カードのなかで最もスペクタクルだった。とりわけ際立った活躍を見せたのが、それぞれ2ゴールをマークした柏のオルンガと江坂任の2人。4-2という打ち合いの試合だっただけに、勝利チームのFW陣がスポットライトを浴びるのは当然だ。



柏レイソル中盤のボールハンター、ヒシャルジソンが活躍しそうだ

 ただし、その試合で圧倒的な破壊力を見せつけた柏を、陰で支えていたキーマンの存在を見逃すわけにはいかない。札幌のチャンスメーカーであるチャナティップの見張り役を務めながら、相手の攻撃の芽を摘み取り、90分間にわたって広いエリアをカバーし続けたブラジル人MFヒシャルジソンである。

 最大の特長は、驚異的なボール奪取能力と、視野の広さを含めた戦術眼。とりわけ、隙あらば躊躇なく仕掛けるボールホルダーへのスライディングタックルは、”ボールハンター”の異名をとる彼自慢の飛び道具だ。

 たとえば、昨季のヒシャルジソンが記録したタックルは145回で、これはJ2の年間タックル回数ではトップの数字。ボール奪取率も62.8パーセントを誇る。

 たしかに開幕4試合連続で警告を受けて第5節を出場停止になるなど、加入当初はJリーグの判定基準に適応するのに苦労した感は否めない。しかしながら、年間警告回数を11回に収め、1回も退場処分を受けなかったこともあり、彼のプレースタイルにダーティーなイメージはない。

 まさに、ミッドフィールドの管理人。担う仕事に派手さがないため、スポットライトを浴びる機会は多くないが、彼が不在となればチームの歯車が途端に狂ってしまうことは、来日初年度の昨季からJ2の舞台で証明された。指揮官に与えられたタスクを忠実にこなす姿も好印象で、その姿勢は、かつて柏の重鎮として君臨したレジェンドのひとりである明神智和を彷彿させる。

 1991年8月17日生まれ、ブラジル東北部にあるリオグランデ・ド・ノルテ州ナタール出身のヒシャルジソンは、現在28歳。柏に加入する前にプレーしていたセアラーを含め、ブラジルでは名門クラブでプレーしたことはなく、年代別代表の経験もない。そういう点では、柏のJ1復帰に大きく貢献した陰の功労者は、チームにとって”掘り出し物”だったと言っても過言ではないだろう。

「厳しいマークと激しい当たりの部分。それに加えて、ボールを奪ったあとに前線にスペースを見つけて味方にパスを出すところ」

 昨季開幕前の新体制発表の場で、ヒシャルジソン自身が自らの特徴をそう表現したように、彼のパス供給からビッグチャンスが生まれるシーンも少なくない。敵陣では不要なリスクを避けて近距離の味方へ確実につなぎ、自陣ではボール奪取後にロングパスを供給して局面を一変させる。裏への抜け出しを得意とするオルンガとの相性も上々だ。

 今季のJリーグでは、ファールかどうか微妙なシーンにおいてもすぐに試合を止めず、できるだけプレーを続行させる方向性のレフェリング基準が設けられている。開幕の札幌戦のように、ヒシャルジソンの特長が最大限に発揮されることは間違いないだろう。