3月1日、久保建英を擁するマジョルカは、本拠地ソン・モイスでヘタフェと戦い、0-1とあえなく敗れている。

「シュートを打たなきゃ、勝てるはずがない!」

 現地の『ディアリオ・デ・マジョルカ』紙は、そう見出しを打った。かなり辛辣な言い回しだが、シュートはわずか4本で、枠内に飛んだのは1本のみ。唯一、勝ち点を稼げていたホーム(ホームは6勝2分け6敗、アウェーは0勝2分け10敗)で後手を踏む戦いをしてしまったことを、心から嘆いているのだ。

 マジョルカは降格圏から抜け出せず、20チーム中18位と低迷している。残り12試合、久保はマジョルカを1部に残留させることができるのか?



ヘタフェ戦にフル出場した久保建英だが、マジョルカは0-1で敗れた

 ヘタフェ戦、久保は4-1-4-1(後半途中から4-4-2)の右サイドでプレーしている。

 反則ギリギリの際どいチャージを見せる相手にも、少しも怯んでいない。味方のパスを集め、チームにとって最大の攻め手になっていた。走力の高いコートジボワール人FWラゴ・ジュニオールに対しては、何度も絶妙のスルーパスも出している。また守備でも、ディフェンスが得意ではない右サイドバック、アレハンドロ・ポゾを援護していた。相手から力強くボールを奪い、カウンターを発動するシーンもあった。

 そして終盤、久保は存在感を示した。

 左サイドからのFKで、キッカーがボールを中央に放り込まず、久保は足元でパスを受けている。技術の高さが信頼されている証拠だろう。1対1の勝負を果敢に挑んだ久保は、抜け切ってファウルで止められた、と思われた。結果、久保のファウルという判定となったのだが、これに怒ったベンチがイエローカードを提示されている。ゴールにはつながらなかったが、チームをけん引する久保の立場を象徴していた。

 もっとも、日本人FWはチームを救うほどのプレーはできなかった。スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、0(最低)~3(最高)の4段階の評価で1。「可」の評価だが、「不可」ではないと言ったところか。

 一方、もうひとつの大手スポーツ紙『アス』は久保のプレーを評価する記述をしている。

「マジョルカは、(アンテ・)ブディミルの欠場で前線が不発。クチョ(・エルナンデス)は(デコナン・)ジェネに屈し、ラゴはプレーが不明瞭で、サルバ・セビージャは輝かず、ダニ・ロドリゲスはスペースに走るので精一杯だった。唯一できたのは、久保に主役の座を与えることだ。彼は何度か目覚ましいプレーを見せた。しかし、相手GKを脅かすには至っていない」

 ヘタフェ戦のマジョルカは戦力の低さを露呈していた。9ゴールでチーム得点王のクロアチア人FWブディミルが筋肉系の違和感を訴え、試合当日に欠場が決定。それだけで攻撃力は半減していた。34歳のGKマノロ・レイナが必死にセービングを見せたものの、力負けだった。

 相手のヘタフェは、ヨーロッパリーグでアヤックスを相手に勝ち上がり、ベスト16に入ったばかり。中二日の試合だった。厳しい日程で疲労が残っていたはずだが、屈強さを顕示した。マルク・ククレジャ、アラン・ニョムという主力を欠きながらも、代わって出たケネディが決勝点をクロスでアシストし、オゲネカロ・エテボも運動能力の高さでマジョルカの左サイドバック、ルモール・アグベニュールを上回った。ファウルの数が多いチームスタイルは批判されがちだが、鍛え上げた戦闘力がリーグ4位という好成績につながっているのだ。

「我々は、努力を惜しまないチームの見本だよ」

 ヘタフェのホセ・ボルダラス監督はマジョルカを下した試合後に語っている。

 実際、ヘタフェは戦力的にはそこまで恵まれているわけではない。これだけの戦いを見せる理由は、鍛錬としぶとさにあるのだ。

 マジョルカが残留するには、やはり我慢強く勝ち点を拾うしかないだろう。堅実なプレーを信条とする選手は多いだけに、その中で久保、ブディミル、クチョ・エルナンデスの攻撃トリオをどう組み合わせるのか。そこに活路を求めたい。韓国代表MFキ・ソンヨンをニューカッスルから補強することに成功したが、今シーズンは4試合に出場したのみで、どこまでフィットできるかは未知数だ。

 3月7日の第27節。マジョルカは、乾貴士が所属するエイバルの本拠地イプルーアに乗り込む。今シーズン、敵地で獲得した勝ち点は12試合でたった2ポイント。残留目標達成に向け、ポイントを稼げるか--。久保がキーパーソンになるはずだ。