全日本選手権、競技2日目。会心の演技が続出し盛り上がった女子ショートプログラム(SP)から一夜明け、男子SPの試合が開催された。第3グループには石塚玲雄(スポ2=東京・駒場学園)が登場。年度始めから目標にしてきたこの舞台を、存分に味わいながら演技した。52.41点の28位でフリースケーティング(FS)進出は叶わなかったが、伸びやかな滑りで観客を大いに楽しませた。


 


いきいきと世界観を伝えた石塚

 

 6分間練習で、ジャンプやスピンなどを確認し、第3グループの第1滑走で迎えたSP。『ロシュフォールの恋人たち』の曲が流れ始めると表情や体で細かに音を捉え、冒頭から観客の注目を集める。スピード感のある滑りから最初のジャンプ、ダブルアクセルは安定感を見せ、無事着氷。続く、トリプルトーループ-トリプルトーループの連続ジャンプでは、2つ目のトーループで回転不足になるが、しっかりと踏ん張り決めた。スピンでは取りこぼしがあったものの、スピードを失わないまま演技後半へ。「公式練習や前々日練習の時から最後失敗してしまったフリップが決まっていなくて」。練習から調子があまり良くなかったと語るトリプルフリップがダブルフリップとなり、ノーバリューになってしまった。しかし、ステップでは体を大きく使いこのプログラムの世界観を会場いっぱいに表現し、最後のスピンでは最高評価のレベル4を獲得した。点数は、フリップジャンプなどのミスが響き52.41点。FSへの進出を逃してしまった。しかし「やはり幸せだな、と思いました。これだけ大きい会場でたくさんの方々が応援してくれて、本当にありがたいなという気持ちが一番ありました」という言葉の通り、感謝の気持ちを乗せた1つ1つの振りや技はたくさんの観客に伝わったことであろう。次にむけて「本当に、強くなって帰ってくるから待ってろよ、という気持ちしかないです」そう強く語った。

 
 

 悔しさは残るが、その滑りは美しかった。粋な振付と滑らかなスケーティング、持ち味のスピンなどは、見る者の心に残っただろう。今季、自らの課題に次々と取り組んで成長を見せてきた石塚。「本番でビシッと決める力というのが自分で何なのかをしっかり考えて、それをつけていきたいと思います」と語る姿を信じて、石塚の今後に期待したい。

 

(記事 岡すなを、写真 犬飼朋花)

結果

▽男子SP


石塚玲雄 28位 52.41点



 

コメント

 

石塚玲雄(スポ2=東京・駒場学園)

 

――演技を振り返っていかがですか

この大きい舞台で、最初の(トリプル)トーループ−(トリプル)トーループはよかったのですが、最後の(トリプル)フリップを決められないあたりがまだまだ自分の弱さだなと思いました。

 

――全日本に出場してフリースケーティングを滑ることを目標に掲げていらっしゃいましたが、実際この舞台に立ってみてどうでしたか

やはり幸せだな、と思いました。これだけ大きい会場でたくさんの方々が応援してくれて、本当にありがたいなという気持ちが一番ありました。

 

――東京開催ですがいかがでしたか

僕の知り合いやリンクの後輩や、本当に色々な人たちが応援しに来てくださっていて。きょうは現地にもたくさんそのような方々がいらっしゃっていたので、本当にもう少しいい演技をしたかったなという気持ちがいま一番ですね。

 

――今回の試合に向けて取り組んで来たことは

表現面は逆に力を入れ過ぎないという風に気をつけています。結構僕としては、力みすぎると動きがカクカクしてしまうので、動きが流れるようにということを練習してきました。技術的な面では、この全日本に向けて色々なアクシデントとかもあったので正直滑り込めてはいなかったのですが、でもそういうのは一切関係ない戦いなので。そういう滑り込めていない中でもしっかりと、羽生選手みたいに本番でビシッと決められる選手になりたいと思いました。

 

――公式練習の調子はいかがでしたか

公式練習はすごくよかったのですが、公式練習や前々日練習の時から最後失敗してしまったフリップが決まっていなくて。そこばかり確認していたので、確認していたからこそちゃんと決めたかったなと思います。

 

――次に向けて

本当に、強くなって帰ってくるから待ってろよ、という気持ちしかないです。

 

――アクシデントとは何があったのでしょうか

股関節とか臀筋の、お尻の方の痛みがすごくあって。今は全然元気で、ここ1週間はもう治ったという状態で、全然痛みなく練習できていました。今回は本番に関しては全く関係ないのですが、都民体育大会が終わってから痛みがなかなか引かない状態が続いて、滑り込めなくなったので体力がきつかったというのはあります。ですが、まあ言い訳にしかならないので。これから先しっかりといい練習を積み重ねて、今日の借りを返したいと思います。

 

――怪我でしょうか。それとも体の不調ですか

体の不調の方ですね。怪我という痛みとはまた違った、股関節が少し外れたみたいな感覚になってしまうことが多々あったので、痛みというか不調というか。そういうのはあったのですが、それはこの本当に全日本のきょうの演技とは関係ないです。

 

――滑り込みが足りなかったということですか

そうですね、少し滑り込みが足りなかったなというのかあります。

 

――振付の小平渓介さんもキスアンドクライに座られていました。表現面でよく見せられたなと思うところはありますか

前半はまだよかったかなと思うのですが、やはり後半が全然ダメでしたね。自分で納得いかないですし、フリップ失敗した時点で少しその失敗のことを考えてしまったので表現の部分に集中できなかったというのは実際問題ありました。

 

――シーズン後半戦に向けて改善したいところはどんなところですか

気持ちの面から強くなっていかないといけないですし、それだけではなくて、本番でビシッと決める力というのが自分で何なのかをしっかり考えて、それをつけていきたいと思います。