全日本選手権ショートプログラムで首位発進となった紀平梨花 グランプリ(GP)ファイナルに日本の女子としてただひとり出場し、4位となった紀平梨花が、優勝候補の筆頭として全日本選手権に臨んでいる。ショートプログラム(SP)では73.98点で首位…



全日本選手権ショートプログラムで首位発進となった紀平梨花

 グランプリ(GP)ファイナルに日本の女子としてただひとり出場し、4位となった紀平梨花が、優勝候補の筆頭として全日本選手権に臨んでいる。ショートプログラム(SP)では73.98点で首位発進し、初優勝に向けて好スタートを切った。

 2位の宮原知子とは3.87点、3位の坂本花織とは4.03点と、差はわずかだ。それでも、フリーで武器とするトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2本しっかり決めたうえ、挑戦を宣言している4回転サルコウも成功させれば、技術点で大幅な得点アップを図れる。そうなれば全日本タイトル初制覇はほぼ確実だと言っていい。

「昨年の全日本選手権は、ショートで調子が上がらないまま試合をしてしまいましたが、今回は調子がよくて、自信がついた状態で完璧に揃えたい気持ちがすごく強かった。本当に強い気持ちで挑んで、トリプルアクセルは調子がよかったのに着氷が乱れてしまった。6分間が終わったあと、(すぐの滑走順だったのでトリプルアクセルの状態を)しっかり確認し直したらよかったなというのが心残りでした。

 フリーでは調子のいい分、しっかり完璧な演技ができるように、4回転も練習でしっかり確認して、自己ベストを更新できるように頑張りたいと思います」

 昨年はトリプルアクセルで転倒してSP5位と出遅れたが、今年は着氷がステップアウトして乱れたものの、SPでトップに立った。ほかの2つのジャンプは、出来ばえ(GOE)加点で1.44点と1.47点がつくなど、しっかりとまとめた。

 GPファイナル後には、SPの連続ジャンプを「得点アップを図るために最後に跳ぶ構成にチャレンジする」と話していたが、今回はフリーに4回転を組み込むために、そのチャレンジはしないことを、濱田美栄コーチと相談して決めたという。戦略的に思惑どおりの展開になり、21日の女子フリーでは4回転に挑戦する予定という。

 SP後の囲み取材ではこう語っている

「(フリーでの4回転サルコウは?)挑戦します。いまのところ入れるつもりで、すべてのジャンプを跳ぶつもりです。4回転入りのプログラムを結構いい状態で練習できてきたので、何とか入れたプログラムをやりたいです」

 紀平が全日本選手権で4回転サルコウに成功すれば、2003年の同大会で、安藤美姫が4回転サルコウを跳んでSP2位から逆転優勝して以来となる、日本女子で2人目の4回転ジャンパーの誕生だ。

 ただし、20日午後に行なわれた女子フリーに向けた公式練習では、4回転サルコウを何度か跳んでいたが、回り切ったジャンプは2回。いずれも着氷が乱れて手をついたり、転倒したりして、成功はなかった。「ジャンプは水物」とも言われるだけに、当日の調子によっても大きく左右されるだろう。

 紀平の決断に注目が集まる。