ジュニアグランプリファイナルでは世界最高得点で優勝した佐藤駿

 イタリア・トリノで行なわれたフィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)ファイナル男子で初優勝した仙台出身の高校1年生・佐藤駿が、19日に開幕する全日本選手権で、憧れの羽生結弦と初めて同じ舞台に立つ。

 ジュニアGPファイナル。ショートプログラム(SP)を3位で発進した佐藤は、フリーでISU(国際スケート連盟)の公式戦で初めて4回転ルッツを成功させるなど、4回転3本を含めたすべてのジャンプで出来ばえ(GOE)加点がついて1位となり、ジュニア世界最高得点の合計255.11点で逆転優勝を成し遂げた。

「ここまで点数が出るとは、正直、思っていなかったです。ほかの試合では(フリーで)140点くらいしか出していなかったので、今回はどのくらい出るのか不安があったんですけど、177.86点と聞いてとても驚きました。この点数は、4回転ルッツを降りたことと、ほかのステップやスピンを全力で、手を抜かずにできたからだと思います」

 同郷のスターである羽生の背中を見ながら、今季急成長を遂げたホープは、日本男子としては2005年の小塚崇彦、2009年の羽生結弦、2014年の宇野昌磨に続く4人目のジュニアGPファイナル王者になった。

 基礎点の高い4回転ルッツは、今夏の全日本ジュニア合宿で初めて着氷した、習得したばかりのジャンプだった。だが、初優勝を狙った全日本ジュニア選手権(11月)では不発に終わり、タイトルもライバルの鍵山優真に譲る格好になった。佐藤はこの敗戦の悔しさを胸に、ジュニアGPファイナルに向けて質の高い練習に取り組んできたという。同時に開催されていたシニアのGPファイナルで、羽生が2年ぶりに決めたルッツを見て、「こう跳べばいいんだ。あまり力を入れずに」と、イメージを深めて挑んだことも大きかったという。

 4回転ルッツの成功について、中学2年から佐藤を指導する日下匡力コーチが舞台裏をこう明かした。

「ふだんから羽生選手のビデオしか見ないですし、ジャンプを含めたあらゆる技術を参考にしています。すべてが神様なので。あれだけ憧れの先輩の動画をみて、練習ができてよかったですよね」

 まさに佐藤のお手本は羽生だった。2011年の東日本大震災で被災し、小学2年の頃は埼玉に一時避難しながらも近くのリンクで練習を続けた佐藤にとって、理想のフィギュアスケートは偉大な先輩である羽生の滑りであり、演技だという。

 15歳ながら、練習ではループ、サルコーを含む4種類の4回転を着氷しており、将来有望な次代のエース候補のひとりだ。日下コーチもその成長ぶりに太鼓判を押す。

「本当に急成長だと思います。練習でいくら降りても、試合で降りないと意味がない。そこに持っていけるメンタルもそうですし、(ジュニアGPの)アメリカ大会、クロアチア大会で表彰台に乗るのが目標だったが、一戦一戦乗り越えて、メンタルも技術もすごい成長です。それに、1年で4種類の4回転を跳べるようになりましたから」

 ジュニアGPファイナル後の一夜明け取材で、佐藤はこう話している。

「いつかは羽生選手に勝ちたいと思っていますけど、まだまだ自分はそのレベルには全然達していないので、羽生選手のジャンプやスケーティングを真似できるように頑張りたい」

 その「いつか」がそう遠くない日にやってくる可能性もある。今後の飛躍的な成長を見守っていきたい。