前日に劇的な幕切れで全日本大学選手権(インカレ)2回戦進出を決めた早大は、日大との対戦に挑んだ。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では5勝17敗で9位の早大に対し11勝11敗で8位の日大。リーグ戦では2度対戦し、2敗を喫している強敵に序盤からリ…

 前日に劇的な幕切れで全日本大学選手権(インカレ)2回戦進出を決めた早大は、日大との対戦に挑んだ。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では5勝17敗で9位の早大に対し11勝11敗で8位の日大。リーグ戦では2度対戦し、2敗を喫している強敵に序盤からリードされる展開となる。中盤に3点差まで迫ったが、逆転とはならず51-67で敗戦。昨年もインカレ準々決勝で敗れた日大に再び屈し、ここで姿を消すこととなった。

 リーグ戦ではスリーポイント王を獲得した松脇圭志(4年)を筆頭としアウトサイドシュートが強みの日大。加えて、留学生2人を擁するインサイド陣も手強く内外から的を絞らせず得点を奪ってくる。そんな日大の攻撃に対する早大のゲームプランは、「留学生のところで簡単にやられないようにというのと、アウトサイド陣に簡単にスリーポイントを打たせないようにしっかりドライブをさせる」(G土家大輝、スポ1=福岡大大濠)というものだった。しかし序盤、日大の留学生センターに得点を重ねられリードを許す。第1Q(クオーター)終盤には、点差を10点に広げられるが、早大もC宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)のミドルシュートや土家のフローターで加点する。続く第2Qはこう着状態が続き両者得点は伸びず。22―32と10点ビハインドで試合を折り返す。


要所要所でゴールを沈めた宮本

  第3Q、早大が反撃ののろしを上げた。土家が手堅くフリースローを沈めたのを皮切りに、レイアップ、スリーポイントと立て続けに得点を奪う。持ち前のハードディフェンスでリズムをつくっていき、続けてC小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)、G柳川幹也(スポ3=京都・洛南)がスリーポイントでリングを射止める。3点差まで詰め寄る猛追を見せたが、逆転はできず12点のビハインドを背負い第4Qへ。中盤に「杉本天昇選手(3年)に立て続けに2本決められたところが分かれ目だった」(F桑田裕平、商4=京都・洛南)と語った勝負の分岐点が訪れる。スコアラー杉本に連続スリーポイントを許すと、点差はこの試合ここまで最大点差の15点となる。タイムアウトを要求したが、嫌な流れは断ち切れず。試合終了までリングに嫌われ、51-67の最終スコアで敗戦となった。


チームハイの21得点の土家

 敗戦とはなったが、「ディフェンスに関しては自分たちがやろうと決めたことは40分間徹底できたので相手を67点に抑えることができた」F高阪俊輔(社4=東京・早実)というように、相手のスリーポイントシュートを5本に抑え、ゲームプラン通りの堅い守りを徹底できたことがこの日の収穫だ。一方で「どうしても高さとリバウンドの部分でやられてしまった」(土家)と、インサイドで日大を抑えきれなかったのが勝敗を分けた部分だろう。この大会を最後に4年生は早大バスケットボール部を引退し、下級生は来季に向けてスタートを切ることとなる。この日チームトップの21得点をマークした土家は「次はチームを勝たせられるようなガードになりたい」と来季に向けて意気込みを口にした。そんな頼もしい下級生たちに「日本一にここ近年で一番近い代だと思うので、本気で日本一になってほしいなと思う」(高阪)、「来年は自分たち以上の結果を残してもらいたいなと思う」(桑田)と4年生も期待を寄せる。今年はリーグ戦では一時降格の危機に陥いることもあり、早大にとって苦しい一年間だった。しかし来季、他大に比べ多く主力選手が残る早大は、栄冠を手にするチャンスは多いにある。苦難の後には、必ず喜びが訪れるはず。飛躍に期待だ。

(記事 小林理沙子、写真 阿部かれん、町田華子)

第71回全日本大学選手権 vs日大
  1Q2Q3Q4Q合計
早大1111131651
日大1715152067
C#7 宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)
G#12 土家大輝(スポ1=福岡大大濠)
G#14 柳川幹也(スポ3=京都・洛南)
F#39 桑田裕平主将(商4=京都・洛南)
C#41 小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)
コメント

F桑田裕平主将(商4=京都・洛南)

――最後の試合になりましたが、今のお気持ちは

最後の大会で、負けたら終わりということは頭にあったものの、終わってみたらまだ気持ちの整理がつかないなというのが正直なところです。

――キャプテンとして、きょうの結果をどのように受け止めていますか

勝敗で言ったら残念な結果だったと思いますが、1試合を通してゲームプラン通りディフェンスから流れを作ることができました。そこをしっかり徹底できたことは良かったと思います。

――リーグ戦で2敗している相手でしたが、どのようなゲームプランを立てて臨みましたか

とにかくアウトサイドが上手い選手が多くいて、かつ背の高い留学生がいる中で、どこを抑えようかと考えて、乗らせるともう止まらないチームだと思っているので、アウトサイドを第一に消しにいくこと、そしてリバウンドを簡単に取られないことを徹底してやろうと話していました。

――第3Qでは3点差に詰め寄る場面もありましたが、勝敗を分けた部分はどのようなところだと考えていますか

杉本天昇選手(3年)に立て続けに2本決められたところが分かれ目だったと思います。40分通してディフェンスを徹底していたとはいえ、そこで立て続けに決められたことで少し気持ちが切れてしまったのかなと思っています。

――ご自身のプレーについて振り返っていかがですか

昨日と打って変わってシュートが全く入らなかったので、割り切ってディフェンスにフォーカスして、相手の選手にどう対応するかというところを意識してプレーしました。その分に関しては数字にもしっかり表れているので、チームに貢献することができたかなと思います。

――キャプテンとしてチームを引っ張ってきた1年間を振り返っていかがですか

やはり苦しいことの方が多かった1年間でしたが、下級生が中心となって戦ってきて、苦しい中でも本当に充実した時間を過ごすことができましたし、チームとしても本当にいい経験ができた1年間だったなというふうに思います。

――4年間一緒にプレーしてきた4年生への思いを聞かせてください

決して全員が試合に出ているわけではないのですが、自分の役割が何かということを各々が本当によく考えてくれて、自分がやらなければならないことを徹底して取り組んでくれて、いい同期に恵まれたなというふうに感じています。

――後輩に向けてのメッセージをお願いします

この1年間で、苦しい中でもたくさん経験を積むことができたと思うので、この1年間培ってきたものをしっかり生かして、来年は自分たち以上の結果を残してもらいたいなと思います。

F高阪俊輔(社4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

ディフェンスに関しては自分たちがやろうと決めたことは40分間徹底できたので相手を67点に抑えることができたのかなと思って、そこの部分は自分たちにとって成長したところだと思いました。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

あまり長い時間プレーしたわけではないんですけど、リバウンドのところだったりシュートは入らなかったんですけどシュート打ったりと、自分の与えられた役割はできたんじゃないかなと思います。

――最上級生として何を意識して試合に臨まれましたか

やっぱりインカレは4年生がどれだけ引っ張れるかの戦いだと思うので、どんな時でも下を向かないということは意識してやったんですけど、相手の方がそういう気持ちが上回っていたので、そこの部分の差かなと思いました。

――4年間を振り返っていかがでしたか

僕自身ずっとBチームにいて、試合に出られるようになったのもこの4年のリーグ戦からで、結構苦しいことばかりの4年間だったんですけど、最後試合に出ることもできて、素晴らしい下級生や尊敬できる先輩方に恵まれた4年間で、楽しかったですね。

――4年間一緒に戦った同期の皆さんにメッセージをお願いします

僕らの代は推薦も誰もいなくて、試合に出る選手もほとんどいなくて、Bチームにいっぱいいたりとかきついことがあったんですけど、その中で最後ひとつになって、インカレやリーグ戦に挑めたのはいい思い出なので、いい同期に恵まれたなと思います。

――後輩の皆さんに向けてメッセージをお願いします

来年はうちのチームは戦力が残って、他大は結構みんなごっそり戦力が抜けると思うので、日本一にここ近年で一番近い代だと思うので、本気で日本一になってほしいなと思います。

――ワセダのバスケ部は高阪選手にとってどのような場所でしたか

熱い人が集まる場所かなと思っていて、僕自身はそういうタイプではなかったんですけど、修平さん(吉岡ヘッドコーチ、平27スポ卒=広島皆実)とかも含めて、みんな声出したりとか、熱くなって泥臭いことをやるチームで、今まで僕自身そういう風にやってこなかったので、泥臭くやるというのは自分の成長にもなったし、いい経験ができたなと思います。

G土屋大輝(スポ1=福岡大大濠)

――きょうのゲームプランは

まず、留学生のところで簡単にやられないようにというのと、杉本選手、松脇選手、高原選手の3人に簡単にスリーポイントを打たせないように、しっかりドライブをさせるというのがゲームプランでした。

――実際の試合で遂行できましたか

1試合通してスリーポイントを5本しか決められなかったというのは、すごく遂行できたんですけど、どうしても高さとリバウンドの部分でやられてしまいました。しょうがない部分はあるんですけど、そこを突き詰めていけないとやっぱり全国では勝てないので、スリーポイントの部分は徹底できたんですけど、リバウンドの部分はもうちょっとだったかなと思います。

――3ピリには3点差に詰め寄りましたが、逆転はできませんでした

自分たちでもう一段階強度を上げようって言ったんですけど、どうしても簡単なリバウンドの部分で点を決められてしまったので、3点差まで詰めたところでもう一度ギアを上げるという力を、来年は身につけて、チームとしてもう一段階強くなれるように頑張っていこうと思います。

――勝敗を分けた部分は

やっぱりリバウンドですね。ディフェンスはピックの部分だったり、相手にもフリーのシュートを打たせないというのは遂行できたので、最後に外したボールを全員でボックスアウトして取って、そこからもう一回走るっていうのができなかったので、そこが敗因だと思います。

――ご自身はチームハイの21得点でしたが、プレーを振り返っていかがですか

点が止まった時にしっかりアタックできましたし、しっかりディフェンスが寄ってきたらキックアウトもできたので、後は3ピリで相手が連続得点した時に自分たちが止まってしまったので、そこでもう一回みんなを走らせるように自分が率先してボールをもっと早くプッシュできたら良かったかなと思います。

――ルーキーイヤーを振り返っていかがですか

高校と大学で全然違うし、勝てない試合が続く中で、きつい一年間でしたけど、先輩たちが下級生に思い切ってさせてくれるような環境をつくってくださったので、すごく感謝しています。自分も思い切ってやるだけやったので、来年は2年生になるということで、責任感も大きくなりますし、次はチームを勝たせられるようなガードになりたいなと思います。