「男子テニス界のBIG3」ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の存在感や、その牙城を崩そうというダニール・メドベージェフ(ロシア)、…

「男子テニス界のBIG3」ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の存在感や、その牙城を崩そうというダニール・メドベージェフ(ロシア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)ら若手の初トップ10入りなど、群雄割拠の様相を呈した今シーズン。ATP(男子プロテニス協会)の公式YouTubeでは、そんなトップ選手たちの2019年ベストショット集を動画公開している。

そのなかで今回は世界ランキング5位、23歳メドベージェフの名プレーを紹介する。

彼のプレーの持ち味と言えば、遠いボールに対しても長い手足を伸ばして拾い、深い場所へとコントロールできる守備力の高さ。

動画でも、ロングラリーでの得点や他の選手なら到底追い付かないだろうというところから逆転するシーンが目立っている。しかも比較的球足が遅いとされるクレーコートだけでなく、球足が速くバウンドも低い芝コートでも同様だ。

「BIG3」の中でも最も鉄壁なジョコビッチをディフェンス力で上回ったラリーもあれば、「ATP500 ワシントンD.C.」でのフランシス・ティアフォー(アメリカ)とのラリーは特に圧巻だ。

メドベージェフの驚異的なディフェンス力が表れているそのシーン。両者がお互い前後左右に大きく走り回る見応えある攻防のなかで、メドベージェフがドロップショットを放つと前に詰めたティアフォーもさらに短いドロップショットを返球。前方にダッシュし何とか追いついたメドベージェフだったが、返球した鋭いショートクロスを空いた自陣後方に跳ね返されてしまった。

当然これで決まったと確信した相手ティアフォーは返球後に背を向けたまま、後方に走ってタオルを取りに行く。会場の大歓声もロングラリーが決着したことに対するものだとティアフォーは思ったのだろう。しかしメドベージェフは全く追うのを諦めておらず。先程の自分のショートクロスにティアフォーが追いつくと見るや、自陣後方へ一気にダッシュし無人となった相手側コートに返球した。

この諦めない姿勢と驚くべきスピードに、会場の観衆は大興奮。後から何が起こったかを理解したティアフォーは、がっくりと後方フェンスにもたれかかった。

今シーズンを世界5位で終えたメドベージェフ、今年に初めてトップ10入りを果たした。「マスターズ1000」2つのタイトルを含め、計4大会で優勝。

さらに特筆すべきは、「ウィンブルドン」を終えて北米ハードコートシーズンに突入したシーズンの後半。7月末「ATP500 ワシントンD.C.」から10月上旬の「ATP1000 上海」まで、出場6大会連続での決勝進出という快挙を成し遂げた。もちろんその間には、グランドスラム「全米オープン」も含まれている。

来シーズン、若手の旗頭・22歳アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)や、メドベージェフと同じく今年初トップ10入りを果たした21歳チチパスとのライバル関係が注目されるとともに、「BIG3」からの世代交代は進むのかファンの関心が高まる。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATP500 ワシントンD.C.」でのメドベージェフ

(Photo by Rob Carr/Getty Images)