現体制の集大成である全日本大学選手権(インカレ)がついに開幕した。初戦の相手は天理大。前半は攻守ともに抜かりないプレーを見せて主導権を握ったが、中盤に天理大が巻き返す。第4Q(クオーター)で一時逆転されたが、G神田誠仁(社1=静岡・浜松開…

 現体制の集大成である全日本大学選手権(インカレ)がついに開幕した。初戦の相手は天理大。前半は攻守ともに抜かりないプレーを見せて主導権を握ったが、中盤に天理大が巻き返す。第4Q(クオーター)で一時逆転されたが、G神田誠仁(社1=静岡・浜松開誠館)の3点ブザービーターで再逆転を果たし、2回戦進出を決めた。

  早大は、C宮本一輝(スポ2=神奈川・桐光学園)のスリーで先制。序盤から内外問わずシュートが好調に決まっていく。第1Q中盤に、F高阪俊輔(社4=東京・早実)、C小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)の連続スリーで流れを引き寄せると、残り1分を切ってからG土家大輝(スポ1=福岡大大濠)やG神田誠仁(社1=静岡・浜松開誠館)がインサイドで畳み掛け、23-16で第2Qへ。第2Qも、リバウンドを粘り強く拾い、オフェンスに繋げるという、早大らしいディフェンス起点の攻撃を体現。ゾーンディフェンスを敷く相手に対し、スペースを見つけてドライブで突破する場面が目立つ。F桑田裕平主将(商4=京都・洛南)のスリーなどで点差を17点まで広げて、試合を折り返す。


勝利の立役者になった神田は、この日前半からスマートな攻撃を見せていた

 第3Q、前半は宮本、小室を中心に内外織り交ぜて果敢にゴールを狙う。このまま早大ペースで進むように思えた矢先、試合は動いた。「前半で離して、気持ちが緩んだところを相手に突かれ」(桑田)、速攻を立て続けに許すと一気に点差を詰められてしまう。67-63で勝負の行方は第4Qへ。第4Qは、序盤の小室の得点以降約7分間、リングに嫌われ続ける。オフェンスが十分に機能しない中、それでも体を張ったディフェンスを続け、食らい付いたことで最後に突破口が開けた。残り30秒ほどで宮本が得点し2点差に詰めると、続く相手のシュートはわずかに外れる。ボールがエンドラインを割ったところで残り時間は7秒。果たしてシュートまで持ち込めるか。緊張感が漂う中、高速ドライブでゴール下まで一気に駆け上がった土家が、アウトサイドで待つ神田にボールを託す。神田が放ったスリーはリングの上を踊った後、吸い込まれた。78-77。3点ブザービーターで逆転勝利を飾り、二回戦進出を決めた。


神田のブザービーターを引き出したのは、土家のドライブだ

 劇的な勝利に、会場のボルテージは最高潮に達した。最後まで見ごたえのある試合だったが、序盤のリードを保てずに最後までもつれさせてしまったことが、選手たちにとっては最大の反省だ。勝利を収めたとはいえ、手放しには喜べない試合だった。次戦の相手は日大。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では二敗を喫しており、「今まで通りやっていたら同じようにやられる」(神田)、手強い相手だ。しかし、リーグ戦の死闘を切り抜けて今大会出場をつかみ、そしてまた劇的な勝利で2回戦進出を決めたチームなら、日大も打倒できるのではないか。見る者にそう思わせるだけの魅力が、今の早大にはある。

(記事 町田華子、写真 内海日和)


 興奮冷めやらぬ早大と肩を落とす天理大の様子から、激闘が見て取れる

第71回全日本大学選手権 vs天理大
  1Q2Q3Q4Q合計
早大2326181178
天理大1616311477
C#7 宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)
G#12 土家大輝(スポ1=福岡大大濠)
G#14 柳川幹也(スポ3=京都・洛南)
F#39 桑田裕平主将(商4=京都・洛南)
C#41 小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)
コメント

F桑田裕平主将(商4=京都・洛南)

――率直なお気持ちをお聞かせください

ほっとしたなというのが素直な気持ちです。

――きょうはどのような気持ちで試合に臨みましたか

負けたら終わりで一発勝負なので、思い切ってやろうと思って入りました。

――天理大のセンターに対して何か対策はありましたか

ボールを持って仕掛けてきたところで潰しにいこうというルールを作っていたので、そこを徹底して潰しに行けたのである程度防げたと思うんですけど、その分ミドルシュートなどをやられてしまったのは反省点かなと思います。

――点差が離れたり競ったりの繰り返しでしたが試合内容を振り返っていかがでしたか

前半で離して、3ピリで気持ちが緩んだところを相手に突かれて、4ピリでもう一回締め直すという形で、前半と4ピリに関しては自分たちのバスケットをしっかりできていたと思うんですけど、3ピリのところで徹底しきれなかったというのが、きょうはツメが甘かったかなと思います。

――苦しい時間があったと思いますが、チームで何を意識していましたか

やらなければいけないことは明確でしたし、それをやるかやらないかだけだったので、苦しい時間も我慢して自分たちのバスケットを丁寧にやっていこうという風にやっていました。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

きょうはシュートが当たっていたので、ボール飛んできたら思い切って打とうと思っていて、しっかり決め切ることができたのでよかったなと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

あしたも同じで負けたら終わりですし、リーグで2つボコボコにやられている相手なので、しっかりと準備をして40分できょうみたいに1点でも勝っていれば次につながるので、そういう試合ができるように頑張りたいなと思います。

C小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)

――今の率直なお気持ちを教えてください

良かったです。早稲田は何かをもっているというのがあって、去年もそうだったのですが、試合の展開的に僕がフリースローを4本外してしまって、でも最後に神田が決めてくれて、とりあえずほっとしました。

――後半点差が縮まった場面のお気持ちはいかがでしたか

前半10 点以上離していて、そこでおごりが出てしまって、そこをすごく悔やんでいました。そのおごりがプレーにつながってしまって、これは正直負けてもしょうがない試合というか、自分達があそこで気を抜いてしまったから、こういう結果になったんだということが明確でした。競り合った場面での気持ちは、自分達がおごってしまったことに対する悔やみです。しかし、試合は続いているので、とにかく1点差でもいいから勝とうという気持ちでした。

――特に前半は声を出している姿が印象的でした

インカレということで、みんなも緊張してるだろうし、大事なシュートが入るか入らないかというのは、トーナメントなので、それによって大きく左右されると思います。とりあえず、自分が声を出すことによってみんなの緊張をほぐそうというふうに思っていました。みんなで鼓舞しあって、意識してやっていたのですが、40分も試合に出ていると疲れてしまう部分もあって、それを40分間続けられなかったことが、リーグ戦を通しての自分の課題でもあって、ただこのトーナメントでそれをしっかり克服して、成長できればいいなと思います。

――相手のディフェンスについてはいかがでしたか

基本的には下がってくるディフェンスで、最初は何かわからない変則的なゾーンをやっていたのですが、フォーアウトでドライブというのを何回も繰り返して、何回も作って、最後強く中でフィニッシュするというように、簡単にスリーポイントは打たずに、ドライブとキックアウトをしてスリーポイントを決めようとしていました。それが早稲田のセット以前のベースのオフェンスなので、そこのベースを貫こうという形でやっていました。マンツーマンに変わった時はピックアンドロールが僕たちは増えるのでそれに対して相手がどのように守っているのかというのを見定めてやろうというふうに試合前は話していたのですが、そこをなかなかアジャストできずに3ピリで相手のディフェンスにやられてしまって、ターンオーバーだったり上手く攻めれなかったりということがあったので、そこは一度ピックのディフェンスで決まった守り方をされたら、全員で共有して、同じ手には乗らないようにしたいなと思います。

――相手の上背のあるプレーヤーについて対策はされましたか

関東リーグでそこは慣れているので、いつも通りやろうと思っていました。また、やはりガード陣がドライブしてくるのに対して自分がゴール下でシールドすることで、1個ブロックがなくせるので、そこのタイミングをしっかり合わせてビックマンをとばせないようにしようとしていました。

――明日への意気込みをお願いします

なんとか首の皮一枚つながったので、リーグ戦と一緒で一戦必勝。入れ替え戦くらいの気持ち、最後の神大くらいの気持ちを出して、きょうできる準備、またあしたの朝できることをしっかりやって、あしたも勝ちたいと思います。

G神田誠仁(社1=静岡・浜松開誠館)

――劇的なブザービーターで試合を決めましたが、今のお気持ちは

難しい気持ちです。嬉しい反面、前半あれだけ点差を離していたにもかかわらず、第3Qで追いつかれて競ったゲームにしてしまったということは反省かなと思います。でも勝ちは勝ちなので、明日に繋がったという意味では良かったと思います。

――第3Qで詰められた要因は何だと考えていますか

相手のシュートがよく入っている時、一つのスクリーンを壊すことや、ディナイ一つ、リバウンド一つ、どこで頑張れるかという部分にこだわれなかったことだと思います。相手のシュートはコントロールできないので、シュート以前の自分たちがコントロールできるところにどこまでこだわれるかが大事になってくると思います。

――天理大はスピードと高さを備えているチームでしたが、どのようなゲームプランを立てていましたか

天理大はインサイドにいい選手がいて、ガード、シューター、フォワードもいい選手がいて素晴らしいチームだと思うのですが、正直関東で22試合やってきた中でぶつかったチームに比べたら怖いチームではなかったので、対策としてはインサイドでやられないような戦術、例えばポストの守り方、ピックアンドロールの守り方などを対策しました。また、相手の選手の特徴も研究しました。自分がマッチアップする佐々木選手(佐々木隆成・4年)については、スリーポイントは打たないけど、ミドルのジャンパーが上手くて、ドライブも速いという特徴をしっかり把握したうえで臨んだので、対策自体は良かったと思っています。

――オフェンスで多彩な活躍が見られましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

前半はドライブも見えていましたし、ディフェンスの状態もよく見えていて、点差が空いた状態だったので当然といえば当然なのですが、後半相手の流れになった勝負所で、自分たちの得点を伸ばすようなプレーをできなかったことは後悔しています。もう少しクリエイトできる場面もあっただろうし、いいシュートを選択できる場面もあったと思います。

――苦しい時間はどういう気持ちでプレーをしていましたか

相手のシュートがよく入っていて我慢するしかない状態で、そこはコントロールできない部分なので、我慢我慢と思ってやっていました。

――ディフェンス面で特に意識していたことがあれば教えてください

僕がチームで求められていることはディフェンスなので、ディフェンスは誰よりもハードにタフにやろうということを常に心がけています。リーグの時から、神奈川大の小酒部さん(小酒部泰暉・4年)など相手のエースに付くチャンスを修平さん(吉岡修平ヘッドコーチ・平27スポ卒=広島皆実)からもらって、ディフェンスにはこだわってやってきました。きょうも佐々木選手には自分が付いている時にはあまり点数を取られなかったので、そこは継続していけたらなと思います。

――最後に明日の試合に向けて意気込みをお願いします

明日の対戦相手は今やっている試合次第なのですが、多分日大でリーグでは二敗した相手です。今まで通りやっていたら同じようにやられる相手なので、明日の試合の中でも少しずつ成長してアジャストして、少しでも勝ちを近づけられるように頑張っていけたらなと思います。