早稲田アリーナで初めての開催となった伝統の早慶定期戦(早慶戦)。今までチームを引っ張ってきた4年生を含むこのチームの最終戦は、選手たちの1年間の成長が表れた試合となった。試合開始から連続得点などで相手を突き放し、後半に入ってからもこまめな…

 早稲田アリーナで初めての開催となった伝統の早慶定期戦(早慶戦)。今までチームを引っ張ってきた4年生を含むこのチームの最終戦は、選手たちの1年間の成長が表れた試合となった。試合開始から連続得点などで相手を突き放し、後半に入ってからもこまめな選手交代で全選手が出場しながらリードを広げ、終わってみれば、33-14の完勝。この1年の集大成として最高のかたちで締めくくった。

 慶應のスローオフで始まった試合。まず、見せてくれたのはこの1年幾度となくチームを救ってきた守護神の大沢アビ直美(スポ4=東京・佼成学園女)だった。開始直後、相手のシュートを難なくセーブし、チームに安心感を与える。すると、前半2分にこれまでチームを先頭から牽引してきた杉山瑞樹主将(社4=神奈川・横浜創英)が熟練のサイドシュートで先制点を奪取する。その後は、4年生の大きな背中を見てきた後輩たちが続いた。前半4分に吉田瑞萌(スポ3=東京・佼成学園女)、5分に阿部美幸(スポ2=東京・佼成学園女)、6分に紅林詩乃(スポ2=東京・佼成学園女)が次々とシュートで相手ゴールネットを揺らす。さらに、前半15分ごろからは勝負所での強さとコーチングで力を発揮してきた北村早紀(スポ4=群馬・富岡東)が3連続セーブで魅せ、観客を沸かせる。そして、前半23分にはひたむきにチームに尽力してきた山本彩椰(スポ4=神奈川・川和)がペナルティスローで得点を挙げると、25分にも相手キーパーの死角から鮮やかなブラインドシュートを放ち、連続得点。最後の舞台で4年生が躍動し、16-6の大差で前半を折り返した。 


ペナルティスローを決めた山本

 後半が始まると、衣川紗菜(スポ3=愛知・旭丘)、衣川直緒(社3=愛知・星城)の電光石火の速攻が連続して決まり、幸先のよいスタートを切る。後半10分すぎから次々と選手交代を行うも、12分に岡崎麗(教3=埼玉・浦和実)の巧みなサイドシュート、17分には垣内美春(社3=富山・氷見)の華麗な速攻などで順調に得点を積み上げながら、連動したディフェンスも見せ着実に点差を広げていった。後半22分にはペナルティスローを獲得すると、キーパーである北村が7メートルラインに向かうという珍しい光景も。しかし、北村は落ち着いてシュートを決め、会場を盛り上げた。その後も点差を広げ、試合終了まで1分を切る。すると、華麗なパス回しが行き着いた先はやはり杉山主将が待つ左サイドだった。丁寧にそのボールをキャッチし、しっかりと踏み切り高く跳んだその秀麗なフォームから放たれた鋭利なシュートは、相手ゴールに突き刺さる。同じくして早稲田に笑顔の花が咲いた。試合はそのまま33-14で終了し、早稲田の圧勝で早慶戦は幕を閉じた。


シュートを決め、喜ぶ杉山主将

 この1年間、チームを引っ張ってきた4年生はこの試合をもって、大学ハンドボール生活に終止符を打つ。勝てなかった悔しさ、チームメイトとの衝突、成長を感じた喜びや勝利の楽しさ。4年間で経験したであろうすべては仲間と共に過ごしたからこそ。学んだことで大きくなったその背中を、3年生以下の選手は、憧れ、越えていってくれるだろう。今は寂しい惜別の時もいつか訪れる歓喜の瞬間のため。残された選手たちは、その瞬間を迎えるために新たな仲間と共に再び鍛錬を重ねる。そんなワセダセブンからまだまだ目が離せない。

(記事 杉原優人、写真 小松純也、栗林真子)


集合写真

早慶定期戦
早大3316-6
17-8
14慶大
GK 大沢アビ直美(スポ4=東京・佼成学園女)
LW 杉山瑞樹(社4=神奈川・横浜創英)
LB 吉田瑞萌(スポ3=東京・佼成学園女)
PV 紅林詩乃(スポ2=東京・佼成学園女)
CB 岡崎麗(教3=埼玉・浦和実)
RB 阿部美幸(スポ2=東京・佼成学園女)
RW 衣川直緒(社3=愛知・星城)
COLLEGE ATHLETE TV   2019.12.04 21:40
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