第41回皇后杯全日本女子選手権早大00-00-11日体大FIELDS横浜【得点】(早大)なし(日体大FIELDS横浜)65’嶋田千秋 皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)2回戦が24日、新潟市陸上競技場にて行われた。『皇后杯ベスト8』と『なでし…

第41回皇后杯全日本女子選手権
早大0-0
0-1
日体大FIELDS横浜
【得点】
(早大)なし
(日体大FIELDS横浜)65’嶋田千秋

 皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)2回戦が24日、新潟市陸上競技場にて行われた。『皇后杯ベスト8』と『なでしこリーグ1部撃破』を目標に掲げるア式蹴球部女子(ア女)にとって、この日の日体大FIELDS横浜は絶対に負けられない相手。試合は、なでしこリーグ1部に所属する格上相手に終始主導権を握られる。前半はGK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)を中心に体を張った守備を見せ無失点で凌ぐものの、迎えた65分、こぼれ球を決められ先制点を許す。あとがないア女はロングボールを中心に攻めるが決定機はつくれず、無得点のまま試合終了。0-1で敗北を喫し、皇后杯の戦いは幕を閉じた。

 普段通り4-4-2の布陣で臨んだア女。開始早々は互角の戦いを見せた。6分、MF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)のパスからDF中田有紀(スポ4=兵庫・日ノ本学園)が左サイドを突破しクロスを上げる。ファーサイドでFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が頭で合わせるがこれは惜しくもバーの上。先制点の匂いを感じさせたア女だったが、これ以降はほとんど好機をつくれず押し込まれる展開になる。15分には相手FW李誠雅にゴールキックの流れから一気に裏を取られるが、中田とDF井上萌(スポ1=東京・十文字)がスライディングでブロックし難を逃れる。続く20分には右サイドからのクロスのこぼれ球に対して、相手MF瀬野有希が強烈なボレーを放つ。これは枠の右にそれたが、流れはそのまま日体大FIELDS横浜にある展開が続く。33分には右サイドを崩され相手DF橋谷優里にシュートを許すが、これは川端が好セーブ。前半、サイドの突破やFWの裏への飛び出しを許す場面が目立つものの、ゴール前では体を張り決定的な仕事をさせなかった。しかし、「プレスの強度は大学チーム以上のものがあった」(MF高瀬はな主将、スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)というように、ア女はボールを持った局面では相手の素早い寄せに苦しみ、攻撃のかたちをつくれないまま試合をスコアレスで折り返した。


味方に指示を出す高瀬主将

 後半も、最初に好機を迎えたのは日体大FIELDS横浜だった。ゴール正面での細かいパス交換に翻弄(ほんろう)されると、李にエリア内正面からシュートを浴びる。シュートがGK正面に飛んだことで窮地を脱したが、その後も細かいパス回しとサイドチェンジで揺さぶられ、危うい場面が続く。それでも59分には中田のフィードから好機を創出。反応したFW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)が一度廣澤に預け、リターンパスをダイレクトで狙うがこれは相手DFのブロックに遭い、得点には至らない。そしてついに均衡が破れたのは65分。相手MFに左サイドを突破され、早いクロスを供給される。この試合安定したプレーを見せていたGK川端だったが、「慌ててしまった」と痛恨のキャッチミス。そのこぼれ球を相手FW嶋田千秋に蹴り込まれリードを許した。
 何としてでも追いつかなくてはならないア女は、相手DFの裏へのロングボールを多用し好機をつくり始める。失点直後の67分には、蔵田が左サイド深くからマイナスのパスを廣澤に送り、直接シュートを放つも枠の右へ。攻勢を強めるア女は78分、MF村上真帆(スポ3=東京・十文字)に代えてMF中條結衣副将(スポ4=JFAアカデミー福島)を、山田に代えてMF冨田実侑(スポ3=岡山・作陽)を投入し、右サイドに入っていたMF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)のポジションを1列上げ、勝負に出る。82分には右サイドハーフに入っていた冨田から松本にボールを送り、その落としに反応した廣澤がシュート。2分後には右サイドを冨田が個人で突破しCKを得る。高瀬が送ったボールはゴール前でこぼれ、チャンスとなるが決めきれない。その後は長身のDF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)を前線に置きパワープレーに出るが、細かくパスをつなぐ攻撃で時間を使う相手に対してなすすべなく、皇后杯敗退を告げる笛が鳴った。


試合後、悔しさを見せる選手たち

 昨年に引き続き、皇后杯は2回戦での敗退となり、目標達成とはならなかった。なでしこリーグ1部に属する相手との試合となった今カード。このような劣勢の試合展開になることは予想通りだったこともあり、0-1での惜敗は決して悪いものではない。「内容は悪くなかっただけに悔しい」と語った高瀬の言葉通り、粘り強く戦った点は次戦につながるだろう。しかし、なでしこリーグ1部のチームとはいえ、この試合に出場した選手のほとんどが大学生。昨年度の全日本大学女子選手権(インカレ)では、決勝で4連覇を阻まれた因縁の相手なだけに、この敗戦は大きい。残す公式戦は優勝の可能性を残している関東女子リーグ戦(関東リーグ)とインカレのみ。「残りのタイトルは全部獲るという強い気持ちで戦う」(高瀬)。『頂』へ向かうため、正真正銘の『絶対に負けられない戦い』が続く。

(記事 山崎航平、写真 永池隼人、手代木慶)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません


スターティングイレブン


早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK16川端 涼朱スポ3東京・十文字
DF35船木 和夏スポ1日テレ・メニーナ
DF小林 菜々子スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF31井上 萌スポ1東京・十文字
DF中田 有紀スポ4兵庫・日ノ本学園
MF11松本 茉奈加スポ3東京・十文字
MF10村上 真帆スポ3東京・十文字
→78分中條 結衣スポ4JFAアカデミー福島
MF◎8高瀬 はなスポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
→90分32高橋 雛社1兵庫・日ノ本学園
MF13蔵田 あかりスポ2東京・十文字
MF11松本 茉奈加スポ3東京・十文字
FW34廣澤 真穂スポ1ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW山田 仁衣奈スポ4大阪・大商学園
→78分冨田 実侑スポ3岡山・作陽
リザーブ:DF5源関清花(スポ4)、DF6佐々木呼子(スポ3)、MF17阪本未周(スポ3)、FW30土居明日香(スポ4)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――きょうの試合を振り返って

チームの目標をまた一つ逃してしまった事はやはり悔しいですが、内容的にはここ数試合の悪い流れを断ち切る良いゲームができたのかなと思いました。

――きょうのゲームプランは

相手が間延びしやすいという話があり、センターバックとボランチの間のスペースを有効的に使おうと話していました。

――前半から相手のプレスに苦しんでいた印象ですが

プレスの強度はやはり大学チーム以上のものがありましたが、自分たちの守備も組織的にできていたので想定内でプレーできていました。

――ハーフタイムで共有したことはありますか

攻撃時に足元へのパスばかりになってしまっていたので、裏に走り出す動きを増やそうという話をしていました。

――後半は少しリズムが出てきていた印象ですが

裏への動き出しが増え、ゴールまで運べる場面もありましたが、得点に結びつけられなかったのが今の自分たちの課題だと思います。

――守備面では粘り強く攻撃を凌いでいた中、サイドからの失点がありました

前半を含め、それまで集中して守れていましたが、一瞬集中が途切れて、マークがずれ、そこをつかれてしまいました。

――後半の途中からシュートではなく、クロスを選択する場面が多かった印象ですが

後半にかけて特にそういうイメージを持たせたわけではないですが、サイドの裏のスペースを使いたかったのと、CKでもチャンスをつくれるとは思っていたのでクロスが増えた部分に関しては悪くはなかったと思います。

――2回戦敗退という結果をどう捉えていますか

内容が悪くなかっただけに、目標としていたなでしこ1部の相手に勝つ事ができなかったのが非常に悔しいですし、もっと勝ち進んで行きたかったとみんなが思っていると思いますが、この試合で得たこと、課題を今後に生かし、またさらに成長していかなければいけないと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

関東リーグ、インカレと重要な試合がまだこれから残っているので、きょう来れなかった人たちも含めて全員で気持ちを合わせて高め合って行きたいですし、残りのタイトルは全部取るという強い気持ちで戦います。

GK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返って

前半は立ち上がりからチャンスもあり、ルーズボールも拾えていたと思います。立ち上がりの戦い方は課題だったので、1つ基準ができたかなと思います。後半、相手が落ち着いて回せるようになり、プレッシャーをかける場所が曖昧になってしまいました。全体としては悪くなかったと思いますが、自分の甘さが出てしまった試合でした。

――終始押され気味の印象でしたが、GKからはどう見えましたか

前線からのプレスに対してディフェンスラインもカバーに入れていたし、相手も中から攻めてくることが少なかったので押されている印象はあまりありませんでした。我慢する時間帯もありましたが、全員が身体を張ってくれたと思います。

――前半はクロスやシュートに対して良い対応を見せていました

クロスは苦手だったのですが、チャレンジできているという点では自信を持ってもいいかなと思います。弾く位置やセカンドボールへの対応など課題はまだまだあります。シュートに関しては、GKコーチの内田さんのおかげで様々なボールに対応できるようになってきたと思います。満足することなく継続して高めていければと思います。

――失点シーンを振り返って

完全に自分のミスでした。クロスを上げた人に対してシュートの準備をしてしまい、小林(菜々子)の右側から抜けてくるクロスに慌ててしまったことがミスの原因です。

――優勝の可能性が残る関東リーグ最終戦、インカレに向けての意気込みをお願いします

関東リーグもインカレも自分のすべきことは変わらないので、これまで以上にこだわっていきたいと思います。また、チームとしてもそれぞれの大会、で全てを出し切れるよう準備していきたいと思います。

DF井上萌(スポ1=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返って

正直、この試合に関して良い印象を持っています。お互い譲らず拮抗(きっこう)した試合ではどれだけ我慢強く戦えるか、小さな積み重ねが1点につながると感じました。それが今回、相手の方が少し上回っただけで自分たちにも十分チャンスがあると思います。ですが、やっぱり失点してしまったことは悔しいですし、ディフェンスラインとGKとは言わずにみんなで改善していきたいと思いました。

――皇后杯という大舞台でスタメンに抜擢されましたが、プレーしていかがでしたか

2日前くらいからずっと緊張していましたが、周りの先輩方や同期から後押ししてもらえたので、90分間楽しみながらプレーできました。

――前半から押される展開となりましたが

立ち上がりは前線からプレッシャーをかけて左サイドで取り切るシーンなどの共通認識は明確だったと思います。ですが、相手のサイドチェンジのボールに対しての横ずれが間に合わないシーンなどがうまくいかないところもありました。

――相手の寄せが早くビルドアップに苦戦した印象でしたが

いつもなら、試合が落ち着いてくるとFWへのコースが見えてきて仁衣奈さん(山田)や真穂(廣澤)への縦パスを狙えるのですが、終始塞がれてしまい配球できず苦戦してしまいました。また、ボランチが前を向くスイッチのパスも入れられなかったので、そこは課題だなと感じています。

――要所で持ち味のロングフィードが生きていました

逆にきょうは多用しすぎたかなという印象です。もっと左右に揺さぶりながらボランチや落ちてきたFWと出し入れをして、相手のベクトルを自分に集中させてからフィードしていけば受け手はもっと楽に攻められたと思います。

――関東リーグ最終戦、インカレに向けて意気込みをお願いします

4年生とできる大会はもう数えられるほどの回数となってしまいました。自分がこのチームにいる存在意義を見出しながらプレーしていきたいです。次こそ勝利をつかめるよう、今回の試合を糧にまた頑張っていきたいと思います。