前日の雨が上がり少し湿った空気のなか、賑わう東京・秩父宮ラグビー場で行われた関東大学対抗戦(対抗戦)、明大の第6戦目。前節、宿敵・慶大に圧勝し、対抗戦全勝をキープしている明大が迎え撃ったのは、言わずと知れた強豪・帝京大。好試合が予想された…

 前日の雨が上がり少し湿った空気のなか、賑わう東京・秩父宮ラグビー場で行われた関東大学対抗戦(対抗戦)、明大の第6戦目。前節、宿敵・慶大に圧勝し、対抗戦全勝をキープしている明大が迎え撃ったのは、言わずと知れた強豪・帝京大。好試合が予想された試合は、終始明大のペースで進んでいく。前半で4トライを奪う攻撃力を見せると、後半は相手のトライにつながってしまうミスが見られる部分もあったが、前半のリードを守りきり、結果は40-17の圧勝。チームの地力を見せつける結果となった。

 明大は前節の勢いそのまま、エンジン全開の立ち上がりを見せる。出足のよい帝京大ディフェンスをフッカー武井日向主将が切り裂くと、繋がったパスをFB雲山弘貴が受け取り、帝京大のわずかな隙を見逃さずに約20メートルを駆け抜けインゴールにダイブ。前半3分に幸先よく先制する。続いてSO山沢京平が着実にゴールを成功させ、得点を重ねた。前半14分にはPGによる得点を許すものの、20分に帝京大のキックからリターンを図ったWTB山村知也のパスを受けた武井が気迫あふれるステップで魅せ、インゴール中央へ飛び込んでトライを挙げる。その後は相手の反則を誘いながらじわじわと追い詰めていく。試合の流れを完全につかんだのは、前半36分だ。NO・8坂和樹が猛進しインゴール手前まで侵入すると、起点からパスを受けた山沢が絶妙に裏へ転がすキックパスを披露し、そのまま山村がボールを左隅で抑え、トライ。帝京大を突き放した。また、直後の40分、得意のラインアウトからモールで敵陣を進撃し、抜け出したロック箸本龍雅がグラウンディングし、前半を26-3と理想的な展開で折り返す。


ステップで相手をかわしインゴールに飛び込む武井

 後半が始まっても明大はミスを恐れず早いパス回しをするなど攻撃の手を緩めることはない。しかし、積極的姿勢が裏目に出たか。オフサイドを取られた後のラインアウトからモールで押し込まれ、後半3分にこの試合初めてトライを献上。その後はルーズボールを素早く拾い右サイドを駆け上がるもタッチラインを割るなど、相手のミスを生かしきれないプレーが散発し、両チームともに停滞した時間が流れる。だが、後半22分、明大はまたもラインアウトからモールでじりじりと押し上げ、最後はプロップ安昌豪が捻じ込むかたちでトライ。さらに攻勢を高める明大は、帝京大にとどめを刺しに行く。後半34分、ラインアウトを制し、ドライビングモールでそのままインゴールへ一直線。帝京大に力の差を見せつけるようなトライとなった。その後のゴールもしっかりと成功させ、40-10と試合を決定づける。ほどなくして後半37分に得点を許すが、落ち着いたプレーを見せ、最後は帝京大のセットプレーの綻びを見逃さずボールを奪取し、外に蹴り出しノーサイド。終わってみると、40-17の快勝となった。


ハンドオフで突破を図る坂

 試合後、武井主将が「後半の入りなどまだまだ課題は残る」と語ったように、パーフェクトな試合運びとはならなかったが、多彩な攻撃パターン、相手を一撃で仕留めるタックル、圧倒的な空中戦の強さなど随所で輝くプレーが見られた。次戦の相手は明大と同じく対抗戦全勝をキープしている早大。伝統の一戦かつ25年ぶりの全勝対決で優勝を争うこととなった。しかし、王者として君臨しながらもディテールにこだわり、対抗戦で『真価』を見せている明大に死角はない。連覇を祝うファンファーレはもう聞こえ始めている。

(記事 杉原優人、写真 千葉洋介、山本小晴)

関東大学対抗戦
明大スコア帝京大
前半後半得点前半後半
261414
40合計17
【得点】▽トライ 箸本2、雲山、武井、山村、安 ▽ゴール 山沢(4G)森(1G)
※得点者は明大のみ記載
関東大学対抗戦Aグループ星取表(11月24日現在)
 帝京大早大慶大明大筑波大青学大日体大成蹊大
帝京大●32‐3411/30 11:30秩父宮●17-40◯24-22◯80‐7◯59‐30◯78‐7
早大◯34‐32◯17‐1012/1 14:00秩父宮◯52‐8◯92‐0◯68‐10◯120‐0
慶大11/30 11:30秩父宮●10‐17●3‐40●14‐17◯35‐3●27‐30◯101‐0
明大◯40‐1712/1 14:00秩父宮◯40‐3◯59‐33◯63‐12◯103‐0◯139‐5
筑波大●22-24●8‐52◯17‐14●33‐5911/30 14:00江戸川〇46‐23◯87‐19
青学大●7‐80●0‐92●3‐35●12‐6311/30 14:00江戸川●18‐37〇21‐17
日体大●30‐59●10‐68◯30‐27●0‐103●23‐46◯37‐1811/30 11:30江戸川
成蹊大●7‐78●0‐120●0‐101●5‐139●19‐87●17‐2111/30 11:30江戸川

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、菅平は菅平サニアパークM/C、筑波大Gは筑波大つくばグラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、たつのこFは茨城たつのこフィールド、ケーズデンキはケーズデンキスタジアム水戸、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。

関東大学対抗戦Aグループ順位表(11月24日現在)
順位チーム試合得点失点得失トライ
早大66003836032358
明大66004447037466
帝京大640229014015044
筑波大63032131912232
5日体大6204130321‐19115
5慶大62041901078328
7青学大610561323‐2628
8成蹊大600665546‐4817
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。