ブンデスリーガを代表する「2強」の周辺が騒がしい。 インターナショナル・マッチ・ウィークに入る1週前、バイエルンは…
ブンデスリーガを代表する「2強」の周辺が騒がしい。
インターナショナル・マッチ・ウィークに入る1週前、バイエルンはニコ・コバチ監督を解任した。アウェーでフランクフルトに5−1と大敗した翌日のことだった。カール・ハインツ・ルンメニゲCEOは公式サイトで「この数週間の我々のチームのパフォーマンスと結果は、対策が必要なことを示していた。ウリ・ヘーネス(会長)とハサン・サリハミジッチ(スポーツ・ディレクター)、そして私は今日、これについてニコとオープンで真剣な話し合いを行ない、全員の合意の上でニコの退任という結論に至った」と述べている。
アウェーで大敗した直後。しかも就任2季目の序盤での解任といえば、2シーズン前のカルロ・アンチェロッティの時と酷似している。2017年9月、アンチェロッティはチャンピオンズリーグ(CL)でパリ・サンジェルマンに3-0で敗れた直後に解任された。
常勝を義務づけられているバイエルンだが、確かに今季はリーグ戦で低空飛行が続いていた。開幕戦でヘルタ・ベルリンに引き分けたのを皮切りに、第10節のフランクフルト戦までで5勝2敗3分け。大敗はひとつのきっかけにすぎなかったのかもしれない。
その後はアシスタントコーチのハンス・ディーター・フリックが暫定監督を務め、CLのオリンピアコス戦、ブンデスのドルトムント戦と2連勝して中断を迎えた。

監督交代が奏功したのか、ドルトムントに快勝したバイエルン
この間、後任の監督候補としてアーセン・ベンゲルやマッシミリアーノ・アッレグリ、ジョゼ・モウリーニョ、シャビ・アロンソら大物の名前が挙がったが、ヘーネス会長は「当分の間(クリスマスまでと言われている)、フリックが監督を務めることになるだろう」と発言している。
フリックは昨季、ホッフェンハイムでマネージャーを務め、それ以前にはドイツ代表でヨアヒム・レーヴ監督のアシスタントを8年間務めてきた。選手たちからの信頼も厚く、チームは混乱することなく新体制に移行した。しばらくバイエルンは”小康状態”となりそうだ。
より深刻なのは、そのバイエルンと首位争いを演じるべきドルトムントだろう。直近のバイエルン戦では4−0で敗れ、現在6位に沈んでいる。
バイエルン戦後、『ビルト』紙は「誰がドルトムントを崩壊させた? 選手か監督かクラブ幹部か」と、犯人探しでもするかのような見出しで記事を配信した。記事では選手に50%、監督に30%、クラブ幹部に20%の責任があるとしている。
選手に関しては、最大の問題点として「心臓が小さい」ことを挙げている。というのも、今季のドルトムントはアウェーで6戦して1勝2敗3分けと、やけに内弁慶ぶりが目立つからだ。バイエルン戦やCLのような注目が集まるビッグマッチで実力を発揮できないのも難点だ。
クラブの責任とは、戦力補強に失敗したことを指す。今季は1億3000万ユーロ(約156億円)をかけて、ユリアン・ブラント、マッツ・フンメルス ニコ・シュルツ(いずれもドイツ代表)、ベルギー代表トルガン・アザールを獲得したが、ストライカーを獲得することができなかった。ちなみにロベルト・レバンドフスキ(現バイエルン)が去って以降、ドルトムントには生粋のストライカーがおらず、それが成績の低迷につながっていると考えるファンも多い。
だが、ここへきて大きくなっているのは、戦術家として知られるルシアン・ファブレ監督への疑問の声だ。ファブレは昨シーズンから指揮を執り、今季開幕前には、2021年まで契約を延長したばかりだ。
そのひとつは、ファブレのドイツ語力のせいでロッカー内での理解が不十分だというもの。ファブレはフランス語圏のスイス人で、確かにドイツ語が得意ではない。ある試合のハーフタイムに、ポルトガル人のラファエル・ゲレイロにフランス語で指示を与えたが、夢中になって話しているあまり、マルコ・ロイスにもフランス語で指示を与えていた。ロイスはドルトムント出身の生粋のドイツ人。「ロイスはまったく理解してなかったよ」とゲレイロは明かしている。
調子がいい時であれば笑い話で済むようなエピソードだが、チームが危険水域に入ると、小さなほころびが大事になりかねない。そしてドルトムントを報じる記事の多くが「早く手を打ったほうがいい」「何らかのカンフル剤が必要」という結びで終わっている。それが何を示唆しているかは明らかだろう。
両チームとも、落ち着かない冬になりそうだ。