第11回BFA U-18アジア選手権の2日目、31日に行われたチャイニーズ・タイペイとの試合に3-0で完封勝利を収めた日本。先発を務めた甲子園優勝投手・今井達也(作新学院)が得意の直球を封印し、変化球を駆使しながら4回1/3を無失点と粘投し…

第11回BFA U-18アジア選手権の2日目、31日に行われたチャイニーズ・タイペイとの試合に3-0で完封勝利を収めた日本。先発を務めた甲子園優勝投手・今井達也(作新学院)が得意の直球を封印し、変化球を駆使しながら4回1/3を無失点と粘投したが、マウンドで一際強い光を放ったのは、2番手で登板した左腕・堀瑞輝(広島新庄)だった。

■小枝監督「そのままいっちゃいました。流れを変えたくなかったので」

 第11回BFA U-18アジア選手権の2日目、31日に行われたチャイニーズ・タイペイとの試合に3-0で完封勝利を収めた日本。先発を務めた甲子園優勝投手・今井達也(作新学院)が得意の直球を封印し、変化球を駆使しながら4回1/3を無失点と粘投したが、マウンドで一際強い光を放ったのは、2番手で登板した左腕・堀瑞輝(広島新庄)だった。

 2点リードの5回1死一、二塁の場面でマウンドに上がると、いきなり迎えたのは“台湾の大谷翔平”ことチェン。長打が出れば同点、一発が出れば逆転というシビれる場面での登板になったが、スリークオーター気味の腕の振りから繰り出されるスライダーで勝負。初球128キロのスライダーでバットを振らせると、2球目も空振り。あっという間に追い込んだ3球目も123キロのスライダーで、見事3球空振り三振に仕留めた。

 次打者に四球を与えて2死満塁としたが、6番リーを初球スライダーで投ゴロに打ち取って無失点。6回以降も四球と安打で2度走者を背負ったが、次打者を打ち取り、傷口を広げず。終わってみれば、先発の今井を上回る4回2/3を1安打7奪三振2四球無失点という満点リリーフとなった。

 堀の見せた快投に、小枝守監督は「あそこで出されて、自分のピッチングができるのは素晴らしい。並みじゃない」と大絶賛した。3番手として、一度は高橋昂也(花咲徳栄)に肩を作らせたが、すぐにキャンセル。「(堀で)できるだけ引っ張りたかった。僕の(変える)目安が高さなのか、コースなのか、球威なのか。ずっと見ていても変わらない。横から見ていると、みんなストライクに見えるんですよね(笑)。これはきてるなって思ったので、そのままいっちゃいました。流れを変えたくなかったので」と、マウンド上でノっていた堀を続投させた。

■シビれる場面での起用に「絶対に抑えてやろうと思った」

 堀の武器はスライダーだ。「一番自信がある」と本人がいえば、対戦したチェンも「あのスライダーはすごかった」と舌を巻く。小枝監督は「曲がりが打者の手元なので、スイングができないんでしょうね」と分析。甲子園でも一目置いていた存在だが、代表に招集されてから「フォームが大きくなっている感じがしますね。投げたくてしょうがないのが伝わる」と指揮官は顔をほころばせた。

 プロでも難しい場面の救援だったが「絶対に抑えてやろうと思った」と、勝負の分かれ目での起用を意気に感じた。台湾に傾き掛けた試合の流れをグイッとたぐり寄せる力強いピッチングに打線も応じ、6回の追加点につながった。両軍の実力はほぼ互角。ワンプレーで立場がアッという間に逆転しかねない試合の中でも、イニング間に指揮官から状態を聞かれると「楽しいです!」と答える強心臓も持っている。

 甲子園優勝投手と「高校BIG3」の他にも、まだまだ実力者を抱えるU-18日本代表。贅沢な選手層を持つ小枝監督は、継投策を考えるだけで、自然と笑みが漏れるに違いない。