昨年から公式戦となった女子部の早慶戦。2ー0で見事初勝利を飾った。そこから1年経ち、2度目の戦いが始まろうとしている。しかし、ここまでチームを引っ張ってきた主力たちはけがの影響で戦線離脱。危機的な状態で本番の日が近づいてきた。柔道連載の最…

 昨年から公式戦となった女子部の早慶戦。2ー0で見事初勝利を飾った。そこから1年経ち、2度目の戦いが始まろうとしている。しかし、ここまでチームを引っ張ってきた主力たちはけがの影響で戦線離脱。危機的な状態で本番の日が近づいてきた。柔道連載の最終回にお迎えするのは、佐藤美裕主将(スポ4=千葉・八千代)、岡田蛍(スポ3=愛知・大成)、木村萌乃(社3=群馬・前橋育英)、藤原七海(文構3=福岡・修猷館)だ。試合には出場できないが裏方としてチームを支える佐藤美、岡田、藤原と上級生として唯一早慶戦に出場する木村に今の思いを聞いてみた。

東京都学生優勝大会で優勝し喜ぶ選手たち

――今年1年間を振り返っていかがですか

佐藤美 1年間を通してチームとして一つにまとまったと思います。自分は主将として成長できたと感じる1年間でした。

藤原 今年は試練の年でした。今年は初めて団体戦に出場させてもらったのに、当日にめちゃくちゃ体調不良になりました。結果は優勝できたから良かったのですが、そのコンディションのまま試合に出てました。個人戦の大会の前にはひざをけがしてしまいました。なので、これまでの大学生活の中で、ここが一番乗り越えなきゃいけないかべかなと思っています。

岡田 去年の4年生がすごく強くてその人たちが抜けてしまっただけでも不安だったのに、試合前に自分も含めてけが人が出てしまいました。本当に危機的な状況で試合をしたのですが、それを跳ね返して優勝したことでチームの団結力が深まったと思います。その後に全学があったのですが、自分が代表戦で負けてしまったのが本当に悔しかったです。でもその負けが来年へ向けてのエネルギーになっています。個人としては思うような結果が出せず悩んでいますが、自分たちが最高学年になる来年に気持ちを切り替えてチームを作っていきたいです。だから今年1年はすごくいい年だと思ってます。

木村 簡潔にまとめると、いい波にのった年でした。やっとの思いでメンバーに入れてもらえたのですが、結局戦わせてもらえなかったです。でもそのチームを支えていく中で、周りのみんなが団結している姿を見て、「こんないいチームのみんなと練習してるのだから自信を持とう」と勇気付けられました。

――今のチームの状況はどうですか

藤原 今は危機的状況です。

岡田 私と美裕先輩と藤原がシーズン終わって手術組なので。ここ3人のチームを引っ張っていく立場の人間が今練習できていません。自分たちも焦っていますが、下の学年の子たちも不安は大きいと思います。

佐藤美 だからこそみんなが鍛錬する時期かなと思いますね。

藤原 早慶戦に出る子たちも状態が万全ではなくて、どこかしらのけがをしているので、本当に頑張ってほしいと思います。

――早慶戦とはどのような試合ですか

佐藤美 女子にとっての早慶戦は新体制の最初の一歩だと思います。そういう点で次につながる試合をしてくれればいいかなと思っています。試合の結果よりも試合の内容を重視してほしいです。

佐藤美(右)と藤原

――ではプライベートな話にうつります。まず柔道を始めたきっかけは何ですか

藤原 両親の影響です。父、母、いとこ、叔父、叔母、祖父、祖母とみんな柔道をやっていました。柔道をしないといけない環境にいたので、「じゃあやります」という感じでしたね(笑)。気づいたら柔道着を着ていました。

佐藤美 お母さんが交通事故に遭って、その時にお母さんが通っていた接骨院の先生にスカウトされました。

一同 えぇーーーーー。

佐藤美 幼稚園生だったので、自分の意思というよりもそこでスカウトされて始めました。

藤原 初めて聞いた!

佐藤美 接骨院のイスに座ってたら、先生に「一回柔道見てみないか」と言われ、「はい」と答えたのがきっかけですね。

藤原 やっぱり溢れ出るオーラがあったんだ(笑)。しかも幼稚園で「いやだー」とか言わずに、冷静な声で「はい」って言ったんだ。さすが美裕先輩。

岡田 私が始めたきっかけは、お母さんが「あんたに似てる人が金メダル獲ったよ!」と言ってきたんですよ。78キロ超級の塚田真希選手だったんですけど、それを見て「私も柔道したい」と思うようになりました。

藤原 すごーい。塚田真希様様。

佐藤美 会ったらお礼言わなきゃね。

木村 私は小学校4年生の時にたまたま見学に行って、「回転運動していいよ」って言われたんですよ。その時私側転とかくるくる回ることが好きだったので、楽しそうと思って始めました。

――ではもし柔道に出会っていなかったとしたら何のスポーツをやってみたいですか

岡田 バレーボール!

佐藤美 絶対できないけど、サッカーはやってみたかった。

藤原 レスリングです。

岡田 一緒やん。

藤原 道具を使うのが苦手なので、自分の手で全部したいです。

木村 私はフィギュアスケート(笑)!くるくるしたかった。

佐藤美 萌乃がやってるの想像できない(笑)。

木村 きれいな女性になりたかった。

一同 あぁ、わかる(笑)。

藤原 でも団体競技は嫌です(笑)。何でもできるなら、バドミントンでもいいなあ。スポーツめちゃくちゃできるのに、スレンダーな体型ですよね。

木村 何かが飛んでくるのが怖い。

岡田 あれ見えん。

藤原 あれ極めたら銃弾とかよけれるんじゃない?(笑)

岡田 無理だろ(笑)。

――早稲田の柔道部に入ろうと思ったのは、なぜですか

木村 完全に挑戦です。

藤原 私はいろんな縁がありましたね。自分の両親の恩師と川田監督が同期で、その二人が飲んでて、私の話になったらしいです。それで恩師からいきなり電話がかかってきて、「今早稲田の監督と飲んどるんやけど、お前は早稲田に行け!」と言われました(笑)。そこから全く考えてなかった早稲田を考え始めて、自分の学校に指定校推薦があったので、応募して通りました。

岡田 柔道もやりたいけど、勉強もしっかりできるところに行きたいと考えていました。高校生の時に早稲田と慶應の練習を見学しに行って、早稲田の方が環境が整っているなと思って早稲田に行こうと思いました。

佐藤美 スカウトしていただいたことと文武両道だったことですね。柔道だけだと将来的につながりがないと思うので、まずは勉強と柔道が両立できるところから学校を絞っていきました。

――文武両道という言葉が出ましたが、大学ではどのようなことを勉強されているのですか

佐藤美 今は健康スポーツ関連です。

岡田 一緒。スポ科だから。

藤原 なにやってるんですか?

佐藤美 健康と身体活動量と…みたいな。

藤原 めっちゃスポ科っぽい。

佐藤美 そりゃスポ科だもん(笑)。文構こそなにしてるの?

藤原 文構はなにやってるんですかね。今年からゼミが始まって、サステナビリティについてやってます。

佐藤美 社学もよくわかんないよね。

木村 社学は幅広すぎますね。自分が好きなのは景観とかです。コミュニティのデザインのゼミに入ってて、地域の商店会と企画をして中学生とワークショップやってます。

藤原 地域活性化しちゃってんじゃん?⤴︎

岡田(右)と木村

――オフの日はどのように過ごしていますか

岡田 予定がない時はずっと寝てます。

藤原 私は同部屋なんですけど、本当にずっと寝てるんですよ。

岡田 起きるんですけど、携帯見てまだ寝れるわと思って、二度寝をします。

佐藤美 最近は卒論ばかり書いてるかな。あと料理してます。

藤原 確かに料理よくしてますね。キッチンに行って「なにしてるんですか?」って聞いたら、「親子丼作ってる」って返ってきます(笑)。

佐藤美 簡単な料理は平日でもしますけど、手の込んだ料理はオフにしかしないですね。

藤原 ケーキ焼いたり。

岡田 誰かの誕生日があれば、ケーキと夜ご飯作ってくれるんです。

藤原 1ホール焼いてもってきてくれます。

佐藤美 やろうと思ったものを作ってます。

藤原 まずやろうと思うことがすごい。私冷蔵庫に材料が全部そろってないとやだ。

佐藤美 冷蔵庫にある食材から作るものを考えるんだよ。

藤原 それはすごい。主婦だ。

藤原 私はオフの日は基本アウトドアです。

岡田 よく買い物行きます。

藤原 入間のアウトレット行ったり、コストコ行ったり、外出しかしてないね。

木村 この間は朝からひみつ堂というかき氷屋さんに並びました。そこがめっちゃ美味しいんですよ。11月から冬の部になって、かぼちゃのかき氷を食べてきました。

岡田 結構美味しいものを求めて出かけます。食べるのが好きなので。

藤原 柔道部はみんな食べるのが大好きなんです。生きるために食べるんじゃなくて、食べるために生きてるんです。この中では美裕先輩が一番食べるかな。お寿司をめちゃくちゃ食べます。

――最高で何皿ぐらい食べられるんですか

佐藤美 1つのネタがあるのも含めて、36皿です。

藤原 すごい。あとうちの岡田も麺類めちゃくちゃ食べるんですよ。

岡田 この前1キロのパスタ食べました(笑)。高田馬場のアッパーカットというお店で。

藤原 ミスドの食べ放題も行ってたよね。

岡田 そうそう。ミスドの食べ放題は15個だったかな。

藤原 ドン引き〜。3人で食べ放題に行ったりすると、確実に元取れますね。美味しさじゃなくて、これは食べやすいか食べにくいかの基準で食べるものを選んでます。食べ放題は戦いやもんな。

木村 追い込んじゃう。みんな帰る時顔白くなっちゃう(笑)。

――最近ハマっているものはありますか

岡田 GENERATIONSです。元々LDHが好きだったのですが、この間GENERATIONSのライブに行って、今もまだ余韻が残っています。ずっと歌聴いてます。♡

藤原 知らんがな。早スポでEXILEの宣伝するなよ(笑)。

岡田 もしかしたら見てくれてるかなと思って。

藤原 じゃあうちもジャニーズ大好きって言っとこ。

岡田 ライブ行ってないやん。

藤原 でも大好きやもん。今ハマってるものはなんだろう。読書とマリカですかね。

木村 私はカノックスターというYouTuberにハマってます。何かを作って食べるYouTuberです。

藤原 それがおもしろいの?やっぱ変わってるね。

――早稲田の中での推しメンはいますか

藤原 早稲田はみんな推しです。

木村 わかる。でも年が離れるにつれてどんどん可愛く思えてくるから、来年が怖いです(笑)。

藤原 私は中野愛巳(スポ2=福岡・南筑)を推します。 同じ福岡県出身で、親近感が湧きます。あと、私は小豆が好きなんですけど、愛巳ちゃんも小豆が好きなので、2人で小豆同好会をしています。

岡田 じゃあ私は尾崎美玲(スポ1=愛知・大成)を推します。中高が同じなので、可愛いです。

木村 じゃあ私は知莉ちゃん(野澤知莉、スポ1=神奈川・桐蔭学園)で。

藤原 美裕先輩だれにします?テツ(伊藤哲、スポ4=秋田)さん?

佐藤美 なんで?(笑)

藤原 ズッ友だから(笑)。幽体離脱やった仲じゃん(笑)。

佐藤美 えぇ〜。じゃあこの3年生全員で!この2人(藤原、岡田)はけがしてて大変だし、萌乃はチーム引っ張らなきゃいけないし、その上主務まであるから大変だと思います。みんな頑張ってほしいですね。

3年生 ありがとうございます!

――今年の早稲田のキーマンとなるのはどなたですか

岡田 尾崎が一番取らなきゃいけないところですね。絶対落とせないところです。

――慶大に対してはどのような印象がありますか

藤原 年々やりづらくなってます。油断できないですね。

岡田 実力が上がってきてます。

――ご自身のアピールポイントはありますか

佐藤美 めっちゃ圧かけれます。突進型というか…。

藤原 内股とか背負いとかいろんな技をして、どの技がくるかわからないので、相手を惑わします。

岡田 めちゃくちゃ力が強いので、相手を止められます。手先は不器用なのですが、足技がさえている時があります。あと、受けがすごいです。絶対飛びません。

木村 自分はケツ筋です。相手から技入られても絶対止められます。あとトルネードです。止まるのが怖いからずっと動いてます。

――改めて意気込みをお願いします

藤原 選手を全力でサポートします。自分に何ができるかを考えて、選手が120%の力を出せるようにしてあげたいなと思います。

岡田 4年生にとっては最後の試合になる人がほとんどなので、早慶戦優勝で有終の美を飾らせてあげられるようにしたいです。頑張ってほしいです。

木村 4人でる中で最上級生なので、自分が先陣を切って取ってこようと思います。

佐藤美 当日はいれないんですけど、前日まで全力でバックアップしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 瀧上恵利)

楽しそうにポーズを決めてくださいました

◆佐藤美裕(さとう・みゆう)(※写真右上)

1997(平9)年4月19日生まれ。164センチ。千葉・八千代高出身。スポーツ科学部4年。料理上手な佐藤選手。主婦のように冷蔵庫に残っている材料からご飯を作れるという高技術を持ち合わせているそうです。ここまでチームを引っ張ってきたことから「纒める(まとめる)」という文字を選びました。

◆岡田蛍(おかだ・ほたる)(※写真左上)

1998(平10)年4月11日生まれ。160センチ。愛知・大成高出身。スポーツ科学部3年。人一倍力が強いと自負する岡田選手。岩と表現されるほど、強靭な肉体をお持ちだそうです。けがから完全復活した姿は、今までより何倍もバージョンアップしているでしょう。

◆藤原七海(ふじわら・ななみ)(※写真左下)

1999(平11)年3月31日生まれ。160センチ。福岡・修猷館高出身。文化構想学部3年。中野選手と2人で小豆会をしているという藤原選手。試合前には必ずあんこを食べるそうです。ようかんと大福がパワーの源となっている様子。今年の早慶戦は全力でチームのサポート役に徹します。

◆木村萌乃(きむら・もえの)(※写真右下)

1999(平11)年3月21日生まれ。157センチ。群馬・前橋育英高出身。社会科学部3年。回転運動が好きという理由で始めた柔道。木村選手は書道でもかなりの腕前だそうです。まさしく「文武両道」。早慶戦では、どちらも極めた木村選手のプレーから目が離せません。