最高時速60km、最大8人が一斉にスタートし様々な起伏があるコースで速さを競い合うBMXレーシング。レース中の接触や転倒、何が起こるか分からない激しさから“自転車の格闘技”とも言われている。北京五輪から正式種目となっていて、中井飛馬(日本体…

最高時速60km、最大8人が一斉にスタートし様々な起伏があるコースで速さを競い合うBMXレーシング。レース中の接触や転倒、何が起こるか分からない激しさから“自転車の格闘技”とも言われている。北京五輪から正式種目となっていて、中井飛馬(日本体育大学・1年)は2020年東京五輪でメダル獲得を目指す。

新潟県上越市出身、5歳の頃に父親の友人の影響でBMXを始めた。
スピード感、浮遊感、普段味わうことのできないような感覚を体感することができ純粋に“楽しい”と感じた。その頃からBMX以外は考えられなかったという中井、9歳の時には世界選手権に出場した。“もっと強くなりたい”という思いから中学ではアメリカのBMX強豪選手のもとへ単身ホームステイ、極めるためにできることは何でも挑戦した。

現在は海外に拠点を置きトレーニングを積んでいる

どんなことにも“果敢に挑戦する” この気持ちはレースをする上でも大きな武器になっていると、日本代表の三瓶将廣監督も評価する。「レース中にスペースの空いているところがあればすぐにいくことができる、積極的にどんどん攻めていく闘争心は本当に凄い」。誰よりも速くゴールをするために、スピードや技術はもちろんBMXレースにおいて他選手との駆け引きは非常に重要なポイントとなる。中井自身、得意なレース展開のひとつに「前半2、3番につけていてそこから抜いていく」ことを挙げている。他選手がどう動いてくるかを読む能力、そして一瞬の隙を見逃さず攻める勇気、これは幼い頃から出場してきたレースの経験で積み重ねてきた。

レースが始まったら本能で動くと語る中井選手。本能で動けるようにするためにも普段の練習を大切にしている

中学の頃は国内で敵なしという強さを誇っていたが世界ではなかなか勝つことができなかった。後ろから選手を追いかけていく中で“どうしたら抜くことができるのか” タイミングやフォームの修正、試行錯誤を繰り返し技術の“引き出し”を増やしていった。負けたことで得られた経験をひとつひとつ強さに変え、スタイルを確立させていったのだ。

2016年リオデジャネイロ五輪は年齢制限もあり出場することはできなかった。その分、東京五輪に懸ける思いは強い。「世界で勝つための技術を身につけるために、完成形はないと思っている。繰り返し練習を積み重ねることが結果に繋がっていく」

継続は力なり、原点を大切に中井は今日もスタートラインに立つ。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、中井選手を特集します。
 →過去の「THE STARS」はこちら
中井飛馬(なかい・あすま)
新潟県出身。2000年6月24日生まれ。178センチ、72キロ。現在は日本体育大学スポーツマネジメント学部1年。5歳でBMXレーシングを始め現在競技歴は14年。2017年世界選手権4位、今年7月の全日本BMX選手権大会はエリート部門1年目ながら初優勝を飾った。