文=佐保めぐみ 写真=B.LEAGUE「ガタッと崩れそうな時にいかに踏ん張るか」琉球ゴールデンキングスがアルバルク東京のホームに乗り込んだ第8節。琉球は連敗を喫した。岸本隆一は「チャンピオンチームを相手にビハインドを背負ってゲームを展開する…

文=佐保めぐみ 写真=B.LEAGUE

「ガタッと崩れそうな時にいかに踏ん張るか」

琉球ゴールデンキングスがアルバルク東京のホームに乗り込んだ第8節。琉球は連敗を喫した。

岸本隆一は「チャンピオンチームを相手にビハインドを背負ってゲームを展開するのはエナジーがいりますし、難しい試合になってしまった」と振り返る。

第2クォーターに全員がリバウンドで奮闘して良い形を作るも、第3クォーターで失速して20点以上の差を付けられた。岸本はその原因を、ミスを犯した後のフォローだと語る。

「どのチームでもミスは絶対にあると思います。ただ、第3クォーターではターンオーバーが続いて、それをカバーできませんでした。今日は一回ミスしたら、すぐに相手の得点に繋げられてしまった。本来、僕らが目指すべき姿は相手にミスをさせて、自分たちで速い展開に持って行き、得点に繋げることです。やりたいことを、相手にやられた試合でした」

岸本はターンオーバーが増えた要因を「東京さんのディフェンスに対して、上手に攻めようとしすぎていた部分があった」と言う。

「A東京のスイッチディフェンスの穴を見つけようとしすぎました。一人ひとりがもうちょっとシンプルにリングに向かって行けば良かったです。このチームはバスケットIQが高いメンバーが集まっていますが、それゆえに考えすぎて的を絞れずに積極性に欠ける部分が目立ってしまいました。そういう一人ひとりのオフェンスの迷いをそれぞれが消して、自分を信じてプレーするべきだと感じました」

「もう一回やってやろうという気持ちになります」

結果としては2連敗となったが、琉球らしさが出た場面もたくさんあった。岸本も「ディフェンスを激しくやって、全員でリバウンドを取りにいった後は、もう一回やってやろうという気持ちになります」と収穫を挙げる。

しかし、プロである以上は結果を求められる。「本当にあと少しのところで勝ちをもぎ取れるか、というところにはいると思う」と本人も感じているが、その『あと少し』を詰めるのは簡単ではない。

「結果とか数字にすると、少しかもしれないけど、その『もう少し』が大きな差というか。ルーズボール一つにしても、リバウンドにしてもそうです。そういうあと一歩こそが大切なんだとチームで共有して、良い形になればと思います」と、チャンピオンチームと戦うことで、あらためて自分たちがすべきことを、再確認できた。

チームが「良い時は何しても上手く回る」

岸本は琉球での8シーズン目を戦っている。今オフに主力選手が相次いで移籍したことで、「責任感が増した」と開幕前に話していた。その開幕から1カ月が経ち、「今は自信を持ってやれている」と手応えを語る。それでも、「まだまだ自分としては肝が据わっていない」と個人的な課題を挙げた。

「東京さんを相手に、考えすぎてプレーをしたり、そういう迷いを吹っ切らないといけない。極端ですが、ボールを持ったらパスをしないで自ら決めても良いと思えるぐらいの度胸を持ってゲームに挑めるようにしていきたい」

こうして強気なプレーで自分の持ち味を最大限に発揮しようとする姿勢は今までと変わらない。それと同時にチームを強くしたいと願い、その責任を背負う覚悟が岸本の中で強くなっている。

「僕はこのチームの歴史を一番知っている人間でもあります。チームを良くしたいというより、チームが悪い時に崩れないようにすることを僕自身は意識しています。良い時は何しても上手く回るので、いかに悪い時に崩れさせないか。悪い時間を少しずつ潰して埋めていき、ガタッと崩れそうな時にいかに踏ん張るか。そうやってチームを良い方向に持って行きたい」

開幕前にはタレント不足と言われた琉球だが、開幕から勝ち星を伸ばして前節を前に8勝3敗とスタートダッシュに成功していた。それでもチャンピオンチームのA東京に連敗を喫し、ここがシーズン最初の踏ん張り時。チームを支え、チームとともに成長する岸本の出番だ。