内閣総理大臣杯全日本大学選手権が開幕した。今大会は1階級に1人が出場し、それぞれの結果に対するポイントが8階級を合計して最も高かった大学が総合優勝となる。いざ総合優勝へ、その思いで早大の戦士たちは臨んだ。初日の結果は、山﨑弥十朗(スポ4=…

 内閣総理大臣杯全日本大学選手権が開幕した。今大会は1階級に1人が出場し、それぞれの結果に対するポイントが8階級を合計して最も高かった大学が総合優勝となる。いざ総合優勝へ、その思いで早大の戦士たちは臨んだ。初日の結果は、山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)、安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)、米澤凌(スポ2=秋田商)の3人が決勝進出。吉村拓海(スポ4=埼玉栄)、岩澤侃(スポ4=秋田商)、鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)、山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)の4人が3位入賞を目指す敗者復活戦にまわった。7人の入賞候補がいる早大は、総合優勝候補の筆頭となった。

 準々決勝まで堅固な守備で失点を最小限に抑え白星を挙げた安楽。さらに準決勝では宿敵である谷山拓磨(拓大)相手にフォール勝ちを収め、全日本学生選手権(インカレ)覇者の快調ぶりを見せた。米澤も同様に準々決勝まで無失点で抑え順調に進んだ。準決勝では残り45秒で1点差に追い込まれたが、最後残り5秒でバックを獲り勝利。勝負強さを発揮した。2人に対し準々決勝まで少し苦戦を強いられることとなった山﨑。1回戦では1点差、準々決勝では2点差と、リードは始めから保ち続けていたものの攻めあぐねる展開があった。しかし、準決勝では山﨑のタックルが怒涛に決まり、バックポイントを着実に重ねて、テクニカルフォールで決勝進出。「点数差以上に実力差が出た試合が多かったと思います」と佐藤ヘッドコーチが試合後語っていたように3選手それぞれが自分の持ち味を発揮していた。


準決勝で攻撃を爆発させた山﨑

 今大会先陣を切った岩澤の初戦の相手は、8月に行われたインカレの準決勝で4−5と惜敗を喫した荒木大貴(専大)。しかし、今回は第1ピリオドからバックポイントとローリングを決め4点のリードを獲得。終了1分前バックをとられ1点差で詰められたものの、今回は耐えきり辛勝。インカレの屈辱を晴らした。その後順調に駒を進めたが、準々決勝で惜しくも敗退。敗者復活戦にまわった。吉村も準々決勝のシーソーゲームをビックポイント差で勝利し準決勝へ臨んだが、今年の全日本準優勝の実力者に終始圧倒され、また初戦で負った怪我も戦いに響き、テクニカルフォールで敗退。悔しい結果となった。インカレぶりの実戦となった鈴木と山崎はそれぞれ準々決勝、準決勝に進出。ともに善戦したものの強敵相手に阻まれる結果となった。


初戦でインカレの雪辱を果たした岩澤 

 3人が優勝、4人が3位入賞を目指す今大会。入賞可能性のある階級数は、全大学で早稲田の7階級が最多。また、3階級で決勝に進んだのは早稲田と日大だが、敗者復活にまわった階級数は早稲田が3階級多い。つまり、早稲田が総合優勝に最も有利であるといえる。しかし、成績が振るわなければすぐに他大学に越される状況でもある。現状5大学で優勝争いをするなか一人一人が確実に白星を挙げチームを優勝へ導けるか。6年ぶりの総合優勝に向け、最終日に臨む。

(記事 北﨑麗、写真 林大貴)

結果

▽57キロ級
岩澤 準々決勝敗退 敗者復活戦進出


▽61キロ級
吉村 準決勝敗退 敗者復活戦進出


▽65キロ級
安楽 決勝進出


▽70キロ級
米澤 決勝進出


▽74キロ級
鈴木 準々決勝敗退 敗者復活戦進出


▽86キロ級
山﨑 決勝進出


▽96キロ級
松本 1回戦敗退


▽125キロ級
山崎 準決勝敗退 敗者復活戦進出

コメント

佐藤吏ヘッドコーチ(平17スポ卒=秋田商)

――まず今大会のチームとしての目標は

総合優勝ですね。全員が優勝、ないしは入賞を目指さないと勝てないので、そこをしっかりと学生にも意識させていました。

――1日目で特にパフォーマンスを発揮できたと思う選手はいらっしゃいますか

決勝に行った3人、65キロ級の安楽と、70キロ級の凌、86キロ級の弥十朗ですね。

――今挙がった3選手についてお伺いしたいのですが、まず安楽選手の戦いぶりを振り返っていかがですか

点数差以上に実力差が出た試合が多かったなと思います。

――安楽選手は本人も意識している谷山選手をフォールで下しましたが、準決勝の戦いぶりは振り返っていかがですか

自分から入って、点数を取って勝ったので、いい流れだったのかなと思います。

――山﨑選手は苦戦する場面も多かったと思いますが、プレーのほどはどう映っていましたか

まあ向こうも強いですからね、1年生とはいえ日体大の選手もアジアジュニアのチャンピオンなんですよね。準決勝の山田もリーグ戦で負けているので。でも点差以上に実力差があったと思います。しっかりと攻略できていましたし、気持ちも、決勝に行った3人は特に気持ちを切らさずにちゃんと目的意識を持ってやれていたと思います。

――米澤選手は準々決勝までほぼ無失点抑えて、準決勝もしっかりと勝ち切ったという印象です

なかなかしっかりとしたテクニカルポイントは取れなかったんですけど、その中でも自分の流れをつくろうという意識はあったと思うので、その部分は成長ですね。

――敗退した選手についてお伺いします。岩澤選手は1回戦でインカレで敗れていた荒木大貴選手に接戦で勝ちきりました

入りは良かったですね。優勝を目指す上で彼は負けられない選手なので、しっかりと仕事をしてくれたかなと思います。

――準決勝の敗因はどこにあるでしょうか

相手の方が組手からの流れがうまかったというのもありますし、最初取ったんですけど、あそこで本当はもう一回自分の展開に持っていければ良かったかなと思います。

――山崎選手は階級が上という中で、準決勝まで勝ち進みました。その点については

自分のスタイルをやればある程度いけるかなと踏んでいたので。ただ少し重量級と胸を合わせるというか、相手のテリトリーで戦う試合が多かったので、それは課題として残るかなと思いますね。

――吉村選手の準々決勝までの戦いぶりを振り返っていかがですか

1回戦でケガをしてしまって、その中でもよく気持ちを切らさないでやってくれたなと思います。優勝する上で自分がポイントゲッターだということはわかっていると思うので。

――決勝に挑む3選手にはどういう戦いを期待しますか

やっていることをしっかり出す。通用すると思うので、練習でやっていることをしっかりと出すことですね。出せなければそれはしょうがないです。やり切ったのであればもう一度練習を重ねて組み立てるだけなので。淡々と試合を運んでくれれば結果はついてくると思います。

安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)

――今大会の目標は

12月に天皇杯(全日本選手権)があるので、インカレと国体の調子のままいくことができるようにここで優勝を。今回の準決勝で戦った谷山選手は今年4回目なんですが、2連敗してから2連勝できたというのは自分にとって収穫があります。

――谷山選手との戦いは山場であったと思いますが、その相手にフォール勝ちを収めたお気持ちは

たぶん相手も結構減量してる人で体重を結構落としています。自分とやる前に6分間フルで接戦をものにしていたのですが、スタミナが結構なくなっていたと思うので、自分もそうだったんですが、そこで勝てたというのは自分の忍耐力が強かったのだと思います。気持ちで勝てたかなという部分ですね。

――準々決勝まで堅い守備でしっかりと勝ちを重ねた印象でした。ご自身で振り返るといかがですか

ヒヤヒヤした部分は正直あります。谷山選手と戦うまでは絶対バテないように自分のペースでやっていたところがあったので。ちょっとそれは反省点かなと思います。

――その焦りというのはプレーには出ましたか

焦りはプレーには出てないですが、空回りした部分があったので。

――初日上手くいった点というのはありますか

攻撃のバリエーションが増えました。自分のスタイル確立に向けて決まってきているので、収穫かなと思います。

――今回体力が不安面であったと思いますが、ご自身の中で体力の部分は上手くいきましたか

今日の準決勝が一番山場だったので、体重のことは気にせず。その試合が終わったら落とそうという気持ちだったので、そこまで体重をストレスには思ってなかったです。明日の決勝までにしっかりと落とします。

――最後に決勝への意気込みをお願いします

決勝しっかり集中して。集中だけですね。相手がどうこうということではなく、しっかり頑張ります。

山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)

――今大会初めての内閣杯ですが、目指している位置や目標というのはありましたか

最低条件としては3位には食い込んで、チームのポイントの獲得に貢献しようと思っていました。

――一つ階級が上でしたが、準決勝まで勝ち進みました。きょうのパフォーマンスとしてはいかがでしたか

最初ちょっと焦りすぎて、点数を大幅に落としてしまったんですけど、徐々に吏コーチに言われたことを守ったら、大差は開かなくてもいいペースで試合を運べるようになりました。

――準決勝は山梨学院大の主力でもあるアルメンタイ選手でしたが、試合を振り返っていかがですか

アルメンタイさんは強い人で、厳しいかなと思っていたんですけど、自分のペースを守ってやってみたら意外と戦えて、3−0というスコアだったので。本来だったら優勝を狙いたかったんですけど、負けてしまったので、明日の敗者復活戦では絶対に勝って3位に食い込みたいです。

――アルメンタイ選手と戦って手応えを感じた部分と、及ばなかった部分は

競れたっていう部分は手応えを感じました。力が強いと聞いていたんですけど、力勝負でもフィジカルでそんなに負けなかったですし、押し勝てた部分もあったので、そこは自分としても成長しているのかなと思います。及ばなかった部分としては相手の気迫みたいなものがあって、そういう部分に押されてしまったかなと思います。押し出されてしまったり、タックルに常に入られてしまったりということもあったので、気迫負けという部分はありました。

――3位入賞は天皇杯の出場権もかかっていますが、その点についてはいかがですか

これで3位に入っても125キロ級の出場権しか取れないんですよね(笑)。自分は本来97キロ級なので、秋季新人(東日本秋季新人選手権)で取らないとですね。ここで3位に入れて、秋季新人で取れなければ125キロ級で出ると思います。

――ここまで早大としては上々の結果です。改めて、あすの3位決定戦へ向けて一言お願いします

いい感じなのでここは取らないといけないと思います。相手が重いということもあるので、的も大きいので、そこに思い切ってタックルに行って倒していきたいと思います。