グランプリ(GP)シリーズ第3戦フランス杯女子シングルで、日本勢のメダル獲得はならなかった。



フランス杯フリーで4位となった坂本花織の演技

 全日本女王の坂本花織は、ショートプログラム(SP)6位からフリー4位と巻き返したが、総合4位。2018年世界選手権銀メダルの樋口新葉はSP5位、フリー7位の総合6位。体調不良からの復帰戦となった白岩優奈はSP7位からの総合10位に終わった。

 日本勢が振るわなかった一方、フィギュア王国のロシア勢の活躍が光り、なかでも超新星の鮮烈なシニアデビューに注目が集まった。昨季ジュニアGPファイナル覇者で16歳のアリョーナ・コストルナヤだ。SP、フリーともに1位となり、シニアGP初陣を完全優勝で飾った。

 女子史上10人目のトリプルアクセル成功者は、その大技を武器に躍進。SPで76.55点を出すと、フリーでは世界歴代3位の159.45点をマークし、合計236.00点も世界歴代3位となる高得点だった。フリー、合計でそれぞれ自己ベストを更新するなど、試合をするたびに自己最高得点を更新する勢いだ。

 合計216.06点で2位となったのは平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ。同門の後輩に約20点の大差をつけられて敗れた結果に、悔しさを募らせる姿が見られた。 

 戦前の予想では日本対ロシアの戦いになるかと見られていた女子シングルだが、日本勢はロシア勢の強さに圧倒された。ただ、今後の成長が期待され、先行するロシアに一矢を報いる可能性がある選手がいたのは救いだろう。GP第1戦のスケートアメリカに続き、フランス杯でもあと一歩のところで表彰台を逃した坂本だ。

 坂本は、スピードに乗ったダイナミックなジャンプと、作品に力のあるプログラムを表現することで、見る者を引き込んだ。今季のSPとフリーのプログラムは、これまで以上に坂本のよさを引き出すものになっており、今後の滑り込み次第でさらに味のあるプログラムとなり、それにともなって得点もアップしていきそうだ。
 
 フリー『マトリックス』では、観客の反応もよく、その声援に後押しされるように波に乗り、ほぼパーフェクトな演技を披露。坂本は「初めて全要素を入れて通してできたので、それはすごく自信にもなった。あんなに(3つも)回転不足を取られたことも次に生かせると思うので、今後も頑張ります」と、笑顔を見せた。

 フリーで「今できることをやり切れた」のは、SPで、ダブルアクセルを跳んだあとに転倒し、得点が伸びずに4位と出遅れたからだと言う。

「もう失うものは何もないと思って、思い切って自分なりに楽しんでやりました。細かい部分、回転不足とかエッジエラーを取られたのは仕方ないんですけど、ぱっと見、ノーミスでできたので(笑)、次にある全日本選手権につなげられるように、練習が大事になると思うので、やっていきたいです」

 目標のひとつだったGPファイナル出場の可能性は消えたが、演技の手応えと自信はついたようだ。ただ、今季はシニアデビューしたロシアの若手3選手が、戦前の予想どおりGPシリーズ前半の3大会で旋風を巻き起こしている。そんな彼女たちに、4回転やトリプルアクセルをまだ跳んでいない坂本がどこまで通用するのか。これについては当の本人も手探りの状態だ。

「昨年はGP2大会で表彰台に乗って、ファイナルに行って、全日本でも表彰台に乗って……と、自分の中でモチベーションがすごく上がっていたし、勢いがあったんですけど、今年は昨年の勢いがなくて……。まず、4回転を跳ぶ子たちに勝てる気がしないという気持ちがあって、それに勝っていくにはどうしたらいいんだろうなと思いながら何となく練習して、そして試合が来て(結果が)悪くて、やっぱり練習しないといけないなと思って練習して、でもまた試合が来るとまた悪くて……というのが今年は続いているなと思います」

 それでも戦っていくしかない現状で、どうモチベーションを保てばいいのか。今後はそこがカギを握ってくるだろう。

「モチベーションを持つことが一番難しいんですけど、とにかく自分がいまできることをしっかりやるしかないので、全部の要素で(GOEを)プラスしてもらえるようにしていきたい。そうやってちょっとずつ点数を稼いでいかないと勝ち目はないと思っています」

 理想の演技を100パーセンだとすると、現時点ではまだ「65パーセントくらい」と坂本は言う。それは、35パーセントも伸びしろがあることを意味している。さらに習得中のトリプルアクセルが武器のひとつになれば、4回転時代を迎えた女子のトップ争いにも再び加わっていける可能性は高い。

 次元の違うロシアの若手選手が席巻している今季だが、坂本を含めて、日本勢が対抗できる余地はまだ十分にあるはずだ。