全日本インカレ直前特集、第5回はスナイプ級スキッパー対談。全日本学生個人選手権(全日本個選)で10位以内に4艇が入るなど、実力者ぞろいのスナイプチームから、入江裕太(スポ4=神奈川・逗子開成)、尾道佳諭(スポ2=山口・光)、蜂須賀晋之介(…

 全日本インカレ直前特集、第5回はスナイプ級スキッパー対談。全日本学生個人選手権(全日本個選)で10位以内に4艇が入るなど、実力者ぞろいのスナイプチームから、入江裕太(スポ4=神奈川・逗子開成)、尾道佳諭(スポ2=山口・光)、蜂須賀晋之介(スポ2=茨城・霞ヶ浦)の3人が登場です。互いに競い合い、学び合って成長してきた1年間を振り返っていただき、全日本インカレ(全日本学生選手権)への抱負を伺いました。

※この取材は10月23日に行われたものです。

「相乗効果で一人一人のレベルが上がった」(蜂須賀)


5月に行われた江の島スナイプ級選手権での蜂須賀(右)

――スナイプチームは春から好成績を残してきましたが、今季を振り返っていかがですか

入江 春からスナイプは団体戦でいい結果を残せています。冬から蜂須賀晋之介(スポ2=茨城・霞ヶ浦)がスナイプチームにコンバートしたというのもあって、尾道佳諭(スポ2=山口・光)と谷川隆治(商3=千葉・稲毛)と僕の4人で切磋琢磨(せっさたくま)してやってきた成果が、しっかりと出てきたのかなと感じました。春の時点で他大にアドバンテージを感じて、今年のスナイプチームの目標として個人戦に6艇いきたいと思っていました。結果として5艇通過して、全日本個戦(全日本学生個人選手権)では10番以内に4艇入れました。どこに行っても通用するスナイプチームというのが、松尾虎太郎(スポ3=山口・光)を筆頭に着実にできているのかなと感じています。秋は関東(秋関東インカレ)で勝てたので、全日本(全日本インカレ)に行ってやるべきことをやって、やってはいけないことをやらないというのを徹底していけば、しっかりした結果がついてくるのではと考えています。

蜂須賀 スナイプチームの皆が速いから、ミスをしても結果はついてくるのかなと思います。スナイプチームは強い方だと思うのですが、入江(裕太、スポ4=神奈川・逗子開成)さんとか、松尾さんとか海老塚(啓太、政経3=神奈川・鎌倉学園)さんとか、速くて経験を積んだ人がいるおかげで、自分がスナイプに移行した後もいい技術を吸収できたし、皆が強かったので相乗効果で一人一人のレベルが上がりました。またミーティングでも一人一人が意見を持って、個人のミスはチームの収穫にして、一人一人がレベルアップする環境が増えているので、強くなったのだと思います。

尾道 今年1年を振り返ってみると、スナイプは確実にレベルアップしていて全国でもトップを争えるレベルにきていると思っています。自分がここまでレベルアップできたのは、1年生の頃から入江さんや松尾さんがいたおかげで、負けたくないなと思って、試合も練習でもやってこれたからです。競争率の高い早稲田の中でレギュラーを取りたいのもありますが、早稲田の中でトップを取りたい。その上で全国でトップを取りたいと思っていました。その中で蜂須賀がコンバートしてきたので、中学生や高校生の頃からずっとライバルとして戦ってきて速かった。実際高校生の時は全部負けているので、負けたくないなと思って頑張ってきています。一人一人の負けたくないという思いはどこの学校よりも強いので、レベルアップすることができて春関東インカレ(関東学生秋季選手権)も優勝。秋関東インカレ(関東学生秋季選手権)も優勝することができました。先程入江さんが言ったように、すごい結果を残すことができました。全日本インカレ(全日本学生選手権)でもレギュラーとして出場して、絶対に勝つという意識で、チームとして優勝したいです。

――蜂須賀選手はスナイプに転向してからペアの海老塚さんとはどんな関係を築けていますか

蜂須賀 今は海老塚先輩と乗っていて、彼は小学校からセーリング競技をやっているので、一般から始まった他のクルーよりも話が通じやすい。また昔からの知り合いなので、先輩と後輩ではあるのですが、割とフランクに話をすることできる。僕が焦っている時はいい意味で助言をしてくれる先輩なので助かっています。

――チームとして春から秋にかけて一番成長を感じた部分は

尾道 470チームには悪いんですが、チームとしての強化がスナイプチームの方ができていると感じます。早稲田の470チームには田中美紗樹(スポ4=大阪・関大第一)さんと学生トップを走っている選手がいるのですが、470チームの選手の心の中には、その部分で少し安心感があるかなと感じます。それに対してスナイプチームは負けたくないと思える強力なライバルがいます。 自分もそのおかげで成長できました。

蜂須賀 自分がコンバートした時、スナイプはゼロの状態からでした。春関東インカレ出場させてもらうと決まったのが(トップ2が抜けた状態で自分が出れるのが)1カ月前に決まったので、自分は素人だし、とりあえず先輩の技術を盗んで真似して、先輩の技を再現になるようにいけないと感じて練習していました。春関東インカレに急遽出ることが決まって、今までやっていたことをさらに再現できるようにと考えていました。自分の長期的な目標だけでなく、長期的な目標を達成するために何個かに(目標を)分けました。(直近の課題を)残りの期間で克服すると決めていたら、練習の長さが気にならなくなり、練習が終わると1日があっという間だったなと。逆に(課題を)克服できない日は、もっと1日があったらいいなと思えるくらい、いい練習ができたと思えました。チームとしても、同じことを思った人が増えたのかなと思います。

入江 チームとして成長したことで言えば、春関東インカレで慶大に8点差で負けていて、僅差の1点の重みを、その時点で再認識できた。練習でも前の一艇を抜かそうという部分から、学生や社会人を含めた関東で行われたレースでも一艇を抜くという部分を取り組んできたことが実って、この前の秋インでもそこに拘って、皆が着実にレースで実践できたことで勝てました。一点の重みを一人一人が理解しながらレースをできた部分が春から秋にかけての成長だと思います。

――スナイプチームは切磋琢磨(せっさたくま)して練習できているとお聞きしますが、日頃はどのような練習をしているのですか

入江 ベーシックな練習をしています。ベーシックというのが少し(説明が)難しいんだけど。まずは動作練。普段練習で使うセールがいい状態ではないので、スピードの練習をしてもいいセールに変わった時に同じフィーリングを得れるか分からないので、悪いセールの時は動作練をやっています。あとはマークを打って、(470級の選手と一緒に)レースと同じ形式でやっています。スナイプ級として特別にやっているのは、出艇してからサークリングを時計回りと反時計回りに出艇してから10分以内に10回ずつしてから練習していることです。他の競技だと、ウォーミングアップで走ったりするなどあるのですが、ヨットの場合はウォーミングアップのようなものを今までしてきてなかったので、8月の夏合宿が始まる辺りからやってみようとやってきました。

――練習で他に昨年から変わった部分はありますか

入江 冬の練習は今までスタート練習をそこまでしてきていなかったのですが、今年は(開催地が)西宮ということでスタートが重要だと監督(関口功志、平18人卒=愛知・半田)から代替わりした時から言われていて、小松一憲コーチもすごい仰っていたので冬の練習からすごいスタートに拘って練習してきた点は、去年と一昨年とは違うのかなと思います。

――今のスナイプチームの雰囲気はどうですか

蜂須賀 470チームとは違って皆が意見を出し合える。(ミーティングの)時間は変わらないと思うのですが、一人一人が意見を出し合えるので、内容のある議論がしっかりとできる。

尾道 仲良いと思います。仲良いよね(笑)

蜂須賀仲良くはないかも(笑)

尾道 仲良いでしょ。

尾道 皆がいい刺激をしあえてるので。まあ、(二人に)全部言われてしまったので(笑)

入江 スキッパーはスキッパーで仲良いんですよ。クルーも、クルー全員でクルー会を昨日か一昨日にやったりしました。

――スキッパー会はしないのですか

蜂須賀 スキッパーは個人のプライドが高いので。

入江 確かに(笑)。でもやると決まったら、自分たちはやりたいタイプですよ。集まって。インカレ終わったら虎太郎(スポ3=山口・光)の家で、皆で鍋パしよう。僕から見るとスナイプチームの雰囲気で言うと、新入生の実技期間に1年生と話す機会があったのですが(1年生はそこまでヨットに乗ってない)。それでもヨットをうまくなろう。ヨットが好きで、1年生から質問受けることもあったりしました。皆でうまくなろうとしてたり、上下関係があまりなく、知らない知識や練習で良かった部分など、一人の経験が皆の経験になったりと相乗効果で良くなっている部分はありました。その日負けても次の日頑張ろうと、皆が(そのような気持ちを)持っています。上級生になって、勝たないといけない雰囲気はあるのですが、ミーティングとかで新しい考え方を知れたりと、濃いミーティングができたりと、雰囲気はいい感じです。

――スナイプチームの強みは

入江 スナイプチームの強みは、5艇が拮抗したレベルで練習ができている。全日本個戦でも10番以内に入ってるメンバーでそのような練習ができているのは、他大学に比べで密度の濃い点が早稲田大学のチームの強みです。

蜂須賀 絶対安定。理由のない判断を誰もしないようにしていて、序盤の順位が悪くても確実に順位を上げられる判断をする選手たちばかりなので、比較的安定しています。

尾道 ほぼほぼ二人の言ったことと被るのですが、スナイプチームは一人一人の実力があって速い。個々が力を持っているのですが、皆が協力しあって一つのチームになれるのが強みです。もう一つが晋之介(蜂須賀)が言ったように、途中まで順位が悪くても最後までには順位を盛り上げていて大きく順位を崩すことがないという部分です。毎レース安定してるのが一番の強みだと思います。

――ライバルや意識している選手はいますか

尾道 意識している選手は、学生だと虎太郎さん(松尾)、入江さん、晋之介(蜂須賀)、あと慶應の加藤さん。それと同志社の松尾さんです。

――意識してる理由は

尾道 シンプルに速いです。そこがトップ争いをする中で絡んでくる4人なので絶対に負けたくないです。逆に自分からライバル意識しているのですが、自分が一番速い訳ではないので、単純に負けたくないです。松尾さん(同志社大)は全日本個戦で途中まで勝っていたのですが、最後負けてしまいました。シンプルに走りが速かったです。西宮は無風で、同志社は琵琶湖でやっていて風の吹き方は変わるのですが、海面の状況は似ているので絶対に上位に絡んでくると思います。あとは矢野(伸一郎)さんも意識します。

――他の選手はどうですか

蜂須賀 早稲田の人は全員で、あとは慶應の選手、日大の選手、同志社の選手。自分と離れたコースを取っている時は必ず意識しています。

入江 早稲田の選手は勿論なのですが、日大の矢野伸一郎。慶應の加藤、同志社の松尾の三人はすごい学生の中でもトップ争いをする人たちなのでライバル視はしています。絶対に負けたくない選手で、全日本インカレでも負けたくないです。

――早稲田の2年生は多くの実績を残してますが、どのような学年ですか

尾道 めちゃくちゃ仲がいいですね。普段から馬鹿な話ばかりして笑っていますね。アホが多く、ユーモアがあります。

蜂須賀 責任感が強い人が多くて、自分のプライドが高いかなと。(いいことなのですが)意見を言いたがりで、少しでも不快に思ったら自己主張の激しい選手が多いです。

――2年生は明るい学年とのことですが、4年生の代はどのような代ですか

入江 オンとオフをしっかりと分けれている人が多くて、470級だったらしっかりパンピングして漕いで、スナイプはハイクアウトして陸にあがったら楽しい話をしています。4年部屋では笑ったりと、楽しくやれています。全体としてはすごく明るい雰囲気です。

ヨットを始めたきっかけやオフの日の過ごし方について


全日本個選での入江(右)

――ヨットを始めたきっかけは

蜂須賀 父親が中学生の頃からヨットをやっていて、父親が指導者の影響もあって幼稚園の頃から一緒にいて、小学校1年生に上がる時に始めました。

入江 ヨットを始めたきっかけは、高校が逗子開成で中学の部活にヨット部があったので入ってみようと思いました。最初は、サッカー部や野球部などの一般的な部活に入ろうと思ったのですが、母親にヨット部やってみたらという感じで体験に行ってみたら楽しくて入ったのがきっかけです。

尾道 僕は父がヨットをやっていて、ジュニア部門の体験会に乗ってみたら、次の週から毎週連れて行かれるようになりました。最初の二年は嫌だったのですが、後から(競技に)入ってくる人よりはうまいので、少しずつ表彰をされるようになりました。表彰されるようになった時期と学校の勉強が難しくなる時期が被っていて、俺にはヨットがあるんだなと気が付き始めてからヨットが好きになって、頑張りました。母親には絶対に勉強しろとは言われるのですが、一回テストとレースが被った時に父さんにテストがあることは伝えていたのですが、遠征行った帰りに「遊んで帰らないか」と言われ、自分はヨットを頑張れば何も言われないどころか楽しいぞとなりました。そこからヨットをひたすら頑張りました。

――大学までヨットを続けられた要因は

尾道 消去法。他に道がない。

蜂須賀 全日本で優勝したことがなく、中学生でも2位、高校も国体(国民体育大会)で2位、全日本で2位でした。1位取るまで辞められないのはありました。

入江 僕も高2の時から大学で470級を乗ってみたいなと思って入学したのですが、入学したらスナイプに乗って(笑)。(大学に)来て最初に言われたのが、「スナイプいける?」でした。

一同 (笑)

入江 自分は高校3年生の時の愛媛で行われた全日本スナイプ級選手権に、今の監督から出る話を頂いて、その辺りからスナイプなんだと思ってました。僕の4年間はその時点で決まった感じでした。

尾道 俺も乗るつもりはなかったのですが。早稲田は自分たちの代を含めて皆が強いじゃないですか。420級の国体の4位までが入っているんですよ。それでも譲る気はなかったですけど、おかしいなと。スナイプはしんどいし、まだ乗りたいです(笑)。

――どの辺りがしんどいのですが

尾道 470級はトラピースと言ったマストに付いたワイヤーを使って外に体を投げて艇を起こすことができるのですが、スナイプはそれがないのでクルーとスキッパーが一緒に体を出して、外に体を出せないと伝えれる力が少ないです。船の重さも違いスナイプのほうが重くて、470級は滑走台に入る分スピードが出ていくのですが、そのスピードが出ていれば体をほぼ動かすことなく、スピードをセールの出し引きや舵の使い方でカバーできます。スナイプはそれよりも体を使っているので、何回も練習を諦めたくなりました。

――高校と大学での練習の違いはありますか

入江 僕は出廷時間が延びたなと。高校の時は9時くらいに出艇し、昼に一回陸に上がり、もう一度海に出て16時に帰ってくるのが普通だったのですが、大学の練習では朝8時に出て夕方の17時に帰ってくる。昼は陸に上がらないことは最初驚きました。とりあえず海に出る時間が長くなりました、倍くらいに。

尾道 同じでめっちゃ長くなったと。早稲田だと8時から17時。高校の時には9時半に出艇して17時だと片付けが終わってるくらいの時間です。あとご飯も海で食べるというのは、初めは考えられなかったけど慣れましたね。土日だけの練習が増えて平日が空いてるのですが、高校の時は毎日練習でした。自分たちが練習しているところは公共の施設でもあるので、開門時間と閉門時間が決められていて、日の長さで変わるので冬は練習できなかったです。夏から冬にかけては、陸上でもトレーニングをしたりとハードでした。

蜂須賀 高校はレスリング道場に住んでいたのもあって、その道場の2階が宿泊施設になっていたのでそこで暮らしていました。入学して少し経つと、朝練始まるぞと言われて降りたら、頭が丸いゴツい人ばかりで驚いたのですが、それが入ってからの当たり前になっていました。学校のある朝(月曜から土曜)は朝練習をレスリング部とやり、午後練は16時から18時までやっていたので、先生に怒られながらも何も考えずに練習してもうまくなる感じでした。練習を作業のような感じで、早く上がりたいと思っていました。大学では練習の頻度が少なくなったので、トータルでは同じ時間だとしても自分が再現したいことをノートに記しておかないと次の練習では復習から入らないといけないので、勿体ない時間を過ごしてしまうので、時間の使い方を改めました。また高校の時はヨットの道具を何でも買える環境だったのですが、大学では器具を壊して文句ばかり言っていたのですが、今では壊して練習する道具を使いにくくするよりも、道具を手放すタイミングまでしっかりと使い減らした上で、すごく丁寧に使っています。高校の時と大学1年生の時は感情任せの判断が多かったのですが、スナイプチームの上位にいれる要因でもある、焦った判断をしないことができています。現実を一旦受け入れて、自分の走るべきコースやペアにどのような判断を求めるべきかなどを一つ一つ自分の中で考え、感情任せの判断をしないようになりました。

――オフの時間が高校の時に比べて長くなった印象を受けますが、オフはどのように過ごしていますか

尾道 オフ何してるだろ。バイトか遊ぶか寝るかです。

蜂須賀 それ以外学校だろ(笑)

一同 (笑)

蜂須賀 学校行かない日はヨットでしょ。オフと呼べるオフはあまりないですよ。

蜂須賀 練習がない日は確かにオフですけど、その日は学校行っているので。

尾道 学校。僕も学校終わって、バイト行ってみたいな感じですね。(学校は)あまり行ってないかも。

蜂須賀 (インタビュアーが)めっちゃ笑ってるじゃん。

尾道 最近行ってるんですよ。

蜂須賀 逆に去年、五輪キャンペーンしてるのかってくらい行ってなかったじゃん。こそ練しすぎだよ、本当に。

入江 学校自体はそこまで行ってなくて、家が海に近いので波がある時はサーフィンしたり。あとは小泉凱皇(スポ2=山口・光)と遊んでる時が多い気がします。OBの平川(竜也、平29卒=神奈川・逗子開成)さんや小泉颯作(平28卒=山口・光)さんとかとサーフィン行ったりするのが多いです。一人でぷらぷらと歩くのが好きなので、予定をあまりたてないで、どこかに散歩したりなどはたまにしています。

蜂須賀 僕は週に1、2回を高校の友達とどこかに行っていて、それ以外の平日は金曜日は部活の集合なのでオフでないと考えると、月曜から木曜まで筋トレとバイトしかしてないです。

――(入江選手からは散歩の話が出ましたが、)どこに散歩しに行かれるのですか

入江 何も考えずに、代々木公園とか行きました。

尾道 僕公園好きです。春や秋の夜の公園が好きです。

――どの部分が好きですか

尾道 一人で音楽聴きながら考えごとしたりとか。

入江 夜よりは昼間派だわ。

尾道 夜の若干冷たい空気が好きなんですよ。昼間が好きなのは女性ばかり追いかけてるからです。

入江 いや、そんなことないです。(流れに)乗せられないわ(笑)

――4年生は就活が、2年生は必修があり大変だと思うのですが、学業との両立の面で大変なことはありますか

入江 就活はしてないです(笑)早稲田の場合は月曜日から金曜日は部活がほとんどないので、ちゃんと授業に行って出席していれば多分単位は取れる(笑)

尾道 僕に言っていますね。

一同 (笑)

蜂須賀 でも授業は、全部行っても単位は取れないです。出席を必ずしていても単位を取れない教科ばかりなので、学校に行けば単位が取れるというのは迷信です。全然無理です。

入江 先輩がうまく取れている授業(単位がAやBとかの授業)を取れば単位は取れる。逆にギリギリの授業(単位がCの授業)はテストがあったりするかもしれないので…。

尾道 4年生とかの幹部が、これを履修しろと送ってくだされば円滑な学校生活が送れるし、他の部活は複数人で受けて先生に気に入られて顔を覚えられているので…。

入江 じゃあ今年から単位を取った授業を写真に撮って、尾道にあげないとね。

尾道 ありがとうございます。

入江 スポ科全員にもらって、どの授業が取れるか吟味をしていかないと。

尾道 これは何人取っていますというのをまとめてくれてもいいですよ(笑)

入江 慶應だと金曜日にも部活があるので、そういう面では分けて考えられるのだとは思います。休みの時は部活しかないですが。まあ、しっかりと先輩から後輩にしっかりと(どの授業を取るべきか)伝えていきます。自分は1年生の冬に自動車学校に通い詰めて単位がやばいという事態に一度なったのですが、それ以外は特にないです。

――二人は学業との両立で苦労したことはありますか

蜂須賀 自分は1年生の春学期に先輩に全て履修を組んでもらって、頑張ったけど半分くらい落としました。後期は自分で履修したつもりだったのですが履修登録期間を過ぎてしまい、自動登録で入ってる科目しかなくて、週に2回しか学校に行ってなかったです。それで後期は3コマくらいでした。1年間だと25単位程度くらいでした。

尾道 僕はもう、苦戦しまくりですね。まず朝が起きれない。学校に遅刻して、サボってしまう毎日です。もうその繰り返しです。

尾道 火曜だけゼミが1限に入って、それ以外は1限ないです。

入江 そしたら芝崎鉄平(スポ2=東京・三鷹中教校)と一緒に、お前の家に泊まればいいんだよ。

尾道 単位取得は団体戦ですよ。

――入江さんは4年生ですが、インカレが終わってから、引退後にやりたいことはありますか

入江 趣味でサーフィンしているのもあって、海外に行ってサーフィンをしたいなという思いもあります。昨年はやれなかったのですが、一昨年にスナイプチームでスノボー合宿をやっているので、今年は復活させたいなと思います。スナイプスキッパー、クルーも含めて行きたい人で行ければと思います。まあヨットがない生活がよく分からないので、ヨットからは少し離れるかもしれないですが、クルーザーに乗ってみたり、「スナイプでクルーをやらない?」という話があるので、出来る限りヨットに乗りたいという思いはあります。

――ヨット(やマリンスポーツ)の魅力はどこにありますか

入江 趣味のサーフィンに関しては、子供からおじさんまでやっていて近所の人と仲良くなったり、波を待っている間に隣の人と話をしたりすることができることで輪が広がっていく感じがします。サーフィンは様々な人と一緒にできるスポーツだと思います。ヨットもスナイプだと60歳のおじさんが前を走っていたりする面では、そういう共通した部分があるのかなと感じます。

――二人も魅力を感じる部分はありますか

蜂須賀 フィジカルだけじゃない部分。多くの要素があって、それを判断する部分。チェスのマスが30倍くらいあるみたいなイメージ。五輪セーラー(女子470級)の吉田愛さんの記事を見たのですが、ヨットはマラソンしながら将棋をするようなものだと言っていて、「それな!」と思いました。自分的にはウエイトトレーニングしながら将棋するようなものだと思いますが、すごくゲーム性が高い。何を判断すべきか、何も判断しないことが正しいのかを冷静に、ヨットで一番早くなるように調整するのが。それがこなせる前提で抜かせる。フィジカルだけではなくて、沢山の判断が当たった時が面白いです。

尾道 まあゲーム性が高いことですね。コースを取るのが好きなので、一番魅力に感じる部分はセーリングをしていて自分でコースを取るのが魅力です。野球とかだと監督の指示があるのですが、ヨットはそれがない。その場の状況でコースを取るのが魅力的です。

――お互いについて紹介をしていただけますか

入江 僕から見る蜂須賀はすごい真面目に競技に取り組んでいる。部活に入ってきた時から生活面ではすごく変わっていて、自分から仕事を頑張ったりとチームに貢献してくれる部分が大きくなりました。1年生の時は感情で物事を判断することが多かったのですが、下級生が入ってきたことで自分でしっかり考えて判断をしているので、そこはすごく変わった印象を持っています。学校では授業が全然被っていないので会わないですが、部活で見る限りではすごい変化しました。尾道も学校では全然会わなかったけど(笑)、まあ最近会うようにはなってきてるけどね。競技に関しては頭を使っていて、ヨットの走らせ方も尾道は感覚派で自分は理論派なのですが、感覚が鋭い部分もあったりと、自分が考えられないことをできるのはすごいなと思っています。もう少し生活面でしっかりとしないといけない部分はあると思うのですが、1年生の時と比べると成長していると思っていて、競技面では成長を感じます。あと2年間二人ともあり、伸び代もあるので、学業も部活もしっかりとやっていけば1位から3位までを(来年は)松尾と独占できるのかなと思います。

――それでは入江さんの紹介をお二人から

蜂須賀 ヨットではチームをまとめようとしてくれる人で、自分にとっては身の痛い話をすることもあるのですが、上級生からか正しい判断を後輩に伝える時に誤解となる使い方をしない。いい見本として、ヨットが走る時もそうでない時も、陸の上での行動で横着をしないなど模範的で、当たり前のことを教えてくれる存在です。

尾道 入江さんとはタイプが結構真逆で、突き詰めていく中でいい感覚を持っているのですが、自分と違い自分の納得のいくまで考えいる。すごく尊敬できて見習わないといけないなと思います。陸に上がってからの行動面でも、自分たちにすごい答えてくれます。自分に決して妥協せずに、チームのことを考えてくれるなと感じています。

――二年生のお二人でお互いに紹介をしていただけますか

尾道 晋之介(蜂須賀)は怖かったですね。スナイプにくると決まった時から、抜かされたらどうしようと。元々ポテンシャルが高いので、コンバートとなった時に一波乱あるかもしれないなと思い、負けないぞと思って練習していました。その中で晋之介は感覚もあるのですがしっかりと考えているので、自分の納得いかないことは考えるし、分からないこと聞いてきます。課題を積極的に解決しようとする姿勢が、ヨットを真剣に取り組んでいるなと思います。

蜂須賀 佳諭(尾道)は感覚の話ばかりをいつもしていて、自分はそれを再現するのに時間がかかるのですが。(自分は)過去を振り返った時に一番しない方法を消去法で見つけ出しているのですが、佳諭は一人だけ違う話をいつもしているので、振り返りをしている皆の中に新しい感覚を持ち込んでくれる。それを誰かがやってみると、再現になるかどうかはセンス次第なのですが、私たちの引き出しを枯渇させないために必要な存在です。生活面では見習う部分はないのですが、ヨットの面では自分の持っていない知識を豊富に持っています。とりあえず佳諭を本気にさせるように、僕は練習のレースから意識しています。全員のモチベーションが高くないと、その時の出来が分からないので、満足度は自分の中ではある程度は決まるのですが、比較しないと分からない部分も自分にはあるので、感覚よりもという感じです。

――チームのまとめていく立場として、4年生でこれまでやってきたことで大変なことはありましたか

入江 早稲田大学ヨット部として思った部分は伝えようとしていたので、先輩から教わってきたことを伝えるようにしてきています。何回も繰り返し伝えることが一番苦労していて、少しずつは変わってくるのかなと思います。早稲田大学ヨット部として違うかなと思った時は伝えるようにしています。

全日本インカレに向けて


個人成績トップに輝いた、関東学生春季選手権での尾道(左)

――インカレに向けてどのように過ごしていますか

入江 この前も個人として全日本スナイプ級選手権に出たりと高いレベルで10本レースをすることができているので、同じような高いレベルでレースができたのは良かったです。生活面では普段とあまり変わらないように、特別なことはしないようにしています。体調管理だけはしっかりとしようと思って、これまでもレースメンバーだったけど熱を出してインフルエンザになった例などを聞いたりしたので、その部分は気にしています。代が変わってから体調を崩したり、けがをする人が多かったので、そういう点から一人一人が気をつけることを徹底するようにしてます。

――入江選手は同志社との定期戦の時に残り日数を気にされていましたが、現在も意識してますか

入江 8月が始まってから日数が経つのが早くて、1日を大切にしていくのがインカレで勝っていく上で重要なので、日数はあまり考えてなかったです。最後に日数を考えたのは秋インの少し前で、あと何回自分がヨットに乗ってインカレに臨めるのかな、あと何回成長できる機会があるのかなとは少しだけ考えてました。最後に全体練習ができたのが秋関東インカレが最後でした、全日本スナイプ級選手権と分かれて練習していたので、そこは少し気にしていました。全体練習できる日数は意識していたのかなと思います。

――二人もインカレが近付く中での心境の変化はありますか

蜂須賀 ここ最近体調を崩すことが多くて、原因が分からないので、マスクはするけど窓を開けっ放しだったりとかしています。自分は筋肉を育てる筋トレが好きで、それをすることでモチベーションを維持しているのですが、体調崩すと筋トレができずに情緒不安定になっています。そういう時はいいフィーリングを再現できるようにヨットのことを考えたり、この前の台風で練習が潰れた時はヨットのことで深入りしてしまう部分で、ヨットが好きだなと感じています。インカレまでは数日しかないですが、特に変わったことはしようとは思わず、練習をレースと同じように考えているので、練習でしっかりと話をしています。誰と乗っても勝つためにはそれこそ感情任せの判断はしてはいけないので、ヨットで勝つための変わらない条件を二人で共有し、焦った時にどちらかが正しい判断の引き出しを出せるようにするために練習の時からそれをずっとやってきたので、レースでも特に変わったことをしないで済んだのかなと思います。インカレも自分が出れるかは分からないですが、レースでやることは決まっているのでそれを徹底します。去年はサポートメンバーとしてインカレに行くのも嫌だったのですが、今年は臨時で春関東インカレにレースを出させてもらったりと、穴埋めに相応しいパフォーマンスを任されたのだなと。自分がレースに出て思ったのは、自分は必死なのですがそれを引き出してくれるサポートメンバーが充実しています。自分が去年何をしていたんだろう思って、今年はサポートメンバーになったとしても、チーム早稲田として最善のパフォーマンスができるように最善を尽くします。

尾道 シンプルにワクワクしている部分があって、1年生の時にインカレ出場していないのもあるし、自分よりもレベルが高い選手たちが出てくる団体戦なので、チームの力が大事になってくる。(今までで)一番日本トップに近いレースで出場機会を与えてもらえるかもしれないので、出ることになったら全力でレースをしたいと思います。最近走りの部分でいい感覚があるので、その感覚をそのまま西宮に持っていきたいなと思います。最後の練習だったのですが、これまで数多くあった課題の一つでもあるコミュニケーションの部分。これまではコミュニケーションの量や(話の)的が違うなと、スナイプに乗り始めてから感じていたので、最近走ってる状態で船を昇らせたり、降らせたり、起こしたりする動作でしっかりとコミニュケーションを取ったことで、スピードが維持できるようになりました。またさらに改善がされたと思うので、その部分も踏まえてインカレに出たいなと思います。スナイプチームは誰が出ても安心できるので、皆が考えることをする選手なので、信頼できる仲間しかいないので秋インも安心して見れましたし、すごくワクワクしてます。変にプレッシャーは感じてないです。

――お二人は昨年はサポートメンバーでしたが、今年違うなと感じる部分はありますか

尾道 去年は出場機会がないと思っていましたが、いつでも出れるように準備はしていました。今年は去年よりも実力が付いてきていて、まだまだレベルアップできる部分はあるのですが、一人が抜けた時に入れるように努力してきました。多分僕か晋之介が入れると思うので、そこで自分がチャンスを与えられた時に(チャンスを)生かしていきたいと思います。変に気負ってしまうとプレッシャーを感じてしまうので、いつも通りにいきたいです。

蜂須賀 僕も去年出ていなくて、去年は470チームとして乗っていたのですが、チームメイトと仲良くないし、そこまで部活に貢献したいと思ってなくて、蒲郡が地元なので帰れるかぐらいにしか思ってなかったです。でも、今年は何回かレースになるようになったし、スナイプに移ってから先輩とのコミュニケーションが多くなりました。自分が知識不足という面もあったし、経験値を得るためにはコミュニケーションが必要な状況だったのですが、それが今考えるといいふうになったと思います。それで仲の良し悪しに関係なく、いい関係を築き上げているのかなと思います。誰が出てもいい状態をつくる、春関東インカレの時に初めて出て、チーム戦で勝つとこれ程うれしいのかと分かって、上の二艇が外れてドキドキしかなくて、勝った時の達成感がありました。スナイプだけに限らず、部活としていいコミュニケーションを取れるようになりました。今一番感じるのは、海でゆとりのあるパフォーマンスするには陸でも行動にゆとりを持ってないといけない。2年生は1日の予定を管理する役割があるので、タイムスケジュールを確実に把握できてる時はヨットが速いなという感覚があって、だから陸で真面目にやっていれば海で速い時あるからなと思ってやってみてます。陸でゆとりがないと海で好パフォーマンスができないので、サポートの時もレースの時も、陸と海での行動にどちらもゆとりを持っています。1時間前行動とかではなく、先のことを把握する。次のパフォーマンスを上げるために自分で考え、それを当たり前にするようにすれば、いい感覚を持てるようになれると思いました。

――入江選手はインカレの出場経験がありますが、これまでとの違いや変わらない部分はありますか

入江 去年と違うのは、チームとして戦う中で4年生・チームリーダーとしては周りが盛り上がれるように雰囲気作りを意識するようにしてます。普段通りにしっかりとやれればと思っています。5艇がいい力を持っている状態なので、誰が出ても心配がない状態です。1艇が外したとしても、他の2艇が上位にいればチームとしては問題ないので、そういう部分の安心感は去年よりも強いです。

――最後にインカレに向けた意気込みをお願いします

尾道 絶対に優勝します。

蜂須賀 スナイプのクラス優勝も総合優勝も、絶対にします。

入江 最後のインカレというのもあるのですが、去年優勝したからと言って今年も勝てる訳ではないので、まずは総合優勝をするという意識を両クラスで持っていく。どちらかが駄目でもどちらかが勝てる状況。最後の最後で早稲田が勝つというイメージを皆が持っていれば、駄目な時も戦えるので4年生全員で雰囲気づくりをしていきます。チームとして皆で戦っていくサポートも、レースに出てるメンバー全員で臨む一体感を大切にしたいと思います。最終日に皆で笑って過ごせるように、いいイメージを持って西宮に行きたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 大島悠希、町田華子)


全日本インカレでも3人の走りに注目です!

◆入江裕太(いりえ・ゆうた)(※写真中央)

1997(平9)年12月6日生まれ。170センチ。68キロ。神奈川・逗子開成高出身。スポーツ科学部4年。お家が海に近く、休みの日はサーフィンに出かけることが多いそうです。理詰めで考えるタイプだと評されていた入江選手のクレバーな走りに注目です!

◆尾道佳諭(おのみち・けいと)(※写真左)

1999(平11)年10月15日生まれ。160センチ。61キロ。山口・光高出身。スポーツ科学部2年。試合前にはSuperflyの曲を聴くそう。春インカレから安定して好成績を残してきましたが、全日本インカレではどんな走りを見せてくれるでしょうか。

◆蜂須賀晋之介(はちすか・しんのすけ)(※写真右)

1999(平11)年9月3日生まれ。170センチ。65キロ。茨城・霞ヶ浦高出身。スポーツ科学部2年。趣味は筋トレ。2年生になってから、種目だけでなく、部活動への向き合い方も大きく変わったそうです。初出場となる全日本インカレでの活躍に期待です!