[記事提供:カラダ・知る・ジム – BODY TIPS(https://www.bodytips.co.jp/)]カラダを第一に思うなら朝ランは不適切 ここ数日マスコミを賑わしている2020東京オリンピックのマラソン開…

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カラダを第一に思うなら朝ランは不適切


ここ数日マスコミを賑わしている2020東京オリンピックのマラソン開催地変更問題。個人的にはまず、改めてIOCという腹黒い組織の傲慢さに呆れるばかり。そりゃあ小池都知事が断固抗議するのも当然かと思う。しかし、トレーナーの視点で見ると、IOCも東京都もどちらも大して変わらないというのが私の意見だ。

それは、マラソンのスタート時間について。変更前の東京で朝6時スタートの予定だった。それに対し、開催地が札幌に変更されるとなり、東京都が提案したのはスタート時間をさらに繰り上げ3時にするというもの。その時間ならまだ涼しいだろうという、気温にのみ視点を当てた浅はかな考えなのか?もしそうだとしたら心底呆れてしまう。

通常、大きな大会のマラソン競技におけるスタート時間は、概ね9時前後が多いように思う。確か、箱根駅伝でも朝8時スタートだったかと記憶する。それが6時スタートでも結構早いのだが、さらに2時間半も早めて3時という時間は朝というより夜中と言っていい。その時間に走る選手のカラダに対する適応など、まるで無視されているとしか思えない。

市民ランナーでも朝に走る人は多く、統計的には6時台が24時間の中で最も多く、次いで多いのが夜の19時台、20時台と続く。昔から走るなら朝がいい、夜がいいと議論が分かれるが、トレーナーとしての私個人の意見は朝走ることのリスクは大きい。その根拠をいくつかお話ししたいと思う。

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40代に入ると感じ始める「疲れやすい体」の正体とは?(https://cocokara-next.com/lifestyle/true-character-of-a-body-that-tends-to-get-tired/)

カラダにはリズムがあることを知ろう!


まずこれを見て欲しい。これは体温の日内変動をグラフにしたものだ。人間は周囲の環境に左右されず体温を一定に保つことが出来る恒温動物だが、上下1度くらいの幅で変動する。24時間周期で見た時に、朝4時前後から6時前後くらいまでが最も体温が下がっているのがわかる。

体温は人間の意志ではコントロール出来ず、それを動かすのが自律神経という仕組みだ。いわゆる交感神経と副交感神経というやつで、日中の活動時間帯は交感神経が支配し、夕方以降から朝方までの休息時間帯は副交感神経が支配する。人間は睡眠に入る前にジワジワと体温を下げ始め、カラダの中の深部体温が下がることで眠りについていくようになっている。

つまり、体温が下がっている時、カラダはお休みモードで、その最も体温が低い時間帯が東京都が提案したマラソンのスタート時間だと言うこと。元々の6時の方がまだ自律神経的にはマシである。ただ、人間は野生動物と違い、深い睡眠と浅い睡眠を繰り返す生き物。朝に向かって徐々に深い眠りが減り、浅い眠りに移行し目覚める準備をしていくのだが、起きてすぐにカラダが自在に動くかというとそれは難しいのだ。

※グラフはテルモ体温研究所HPより

体内時計の適応には準備が必要


さらにもうひとつ付け加えるなら、血圧も1日で最も低いのが朝4時前後とこのグラフから見て取れる。血圧も同じく自律神経がカラダを休ませる時間帯に下げている。では、3時でも6時でも、そんな時間に世界一を決めるマラソン競技を走るためにはどうすればよいのか?

それは体内時計をズラすしかない。ズラすというか、思いっきり昼夜逆転させるくらいの感覚ではないだろうか?なぜなら、例えば6時スタートだとして、選手は起きてすぐ走るわけではなく、恐らく4時間前には起き、3時間前には食事をして、そのあと少ししてからウォーミングアップに入る。その想定で起床は夜中の2時。

そして、トップアスリートには一般人以上に睡眠が必要なので9時間は寝るとしたら、就寝時間は前日の夕方5時になる。これをスタート時間が3時想定にすると、就寝時間が前日の昼2時、起床が前夜の11時になる。これはまるで夜勤の人と同じ昼夜逆転だということがわかる。

この時間で動けるカラダにするために体内時計を適応させるには、この時間のリズムで実際に生活・練習する以外に方法はないのだ。睡眠研究の視点からはその適応には3週間が必要だと言われている。間違いなく代表選手たちはそれをすることになる。しかし、体内時計を何とか合わせたとして、そこで今までと同じパフォーマンスが出せるか?そこに選手・スタッフは総力をあげることになるのだろう。

※グラフはアステラス製薬HPより

朝はカラダよりアタマを使うのが賢明

これを機会に是非とも知って欲しいのは、朝は激しい運動には不向きな時間帯だということ。激しい運動とは、息が上がるくらいの運動と読み替えてもらって構わない。私も昔、部活で朝練を散々させられた人間だが、今の時代は朝練も随分と減ってきた。

代わりに朝というのはアタマがかなりクリアで、よく働くということがわかっている。だから、朝はカラダよりアタマを使うことに時間を使うとよい。ただ、息の上がるような運動でなければアリなので、散歩程度のウォーキングや、ポーズばかりに躍起になるヨガでなければやる価値大だということも間違えずに覚えておいて欲しい。

私は夜型人間なので何にしても朝はムリ!なんて言ってる人は、本筋的には朝型に戻していった方がプラスが多いと思うのでチャレンジして欲しい。くれぐれも朝早く起き過ぎないように。朝から筋トレなんて論外!それをやっても例外的に応援するのは、ラグビー日本代表チームくらいかなぁ。

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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

亀田 圭一(かめだ・けいいち)


カラダ・知る・ジムBODY TIPS/コンディショニング・トレーナー
経歴 Career
青山学院大学卒
航空会社勤務などを経て、一転トレーナーを目指し鍼灸師免許取得。鍼灸学校に学びつつ、母校の青山学院大学トレーニングセンターにてトレーナー研修を積み重ね、21世紀よりプロのトレーナーとして活動する。
主なトレーナー歴として、

・青山学院大学女子バスケットボール部トレーナー(1999-2001)
・荏原製作所女子バスケットボール部トレーナー(2001-2002)
・日本IBMラグビー部チーフトレーナー兼フィジカルコーチ(2002-2007)
・神戸製鋼ラグビー部フィジカルコーチ(2008-2009)
・関西電力女子ボート部コンディショニング・トレーナー(2008-2009)
・柏日体高校男子バスケットボール部フィジカルコーチ(2009-2013)

2007年8月より、アスリート専門だった活動を一般の方々のカラダづくりから痛みの解消までを行うコンディショニング・トレーナーとして活動を開始。
2010年8月、大学時代より縁深い東京都渋谷区に株式会社BODY TIPSを設立。一人ひとりのカラダを丹念に見るコンディショニング・トレーナーとしてよりキメの細かい指導をしている。また、2013年より、全国でセミナーを開催して回る傍ら、著書「カラダにいい!が体を壊す」(日本経済新聞出版社)も出版し、真の健康を下支えする知識とケアの啓蒙に務めている。
2015年6月より表参道に拠点を移し現在に至る。

資格 License
はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師、日本陸連医科学委員会医事部トレーナー部会トレーナー、日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者(JATI-ATI)、日本NLP協会&全米NLP協会認定NLPプラクティショナー、DNS認定エクササイズトレーナー(PART3修了)、イーマ・ソナ協会認定調律師&インストラクター

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カラダは肉体という物質で、時間とともに劣化するもの。それが常識的な理解かと思います。そして、溢れる情報に刺激され、まだ何も変化が見られない時期から心配でアレコレやっている人もいれば、逆に無頓着で少々具合が悪くても放ったらかしの人もいます。大切なことは、今のカラダを感じることです。そして、バランスを取りさえすればよいのです。いつも心地よいバランスで生きる。それは誰にでもカンタンに出来ること。丁寧にお伝えしていきたいと思います。

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