全日本学生選手権(インカレ)2日目、男子部に続き早大女子部も初陣を迎えた。対戦相手はホッケー日本リーグ(HJL)にも参加し、今年度の関西学生春季リーグでは天理大、立命大に次ぐ関西の強豪・聖泉大。第1クオーター(Q)に先制されたが、以降は粘…

 全日本学生選手権(インカレ)2日目、男子部に続き早大女子部も初陣を迎えた。対戦相手はホッケー日本リーグ(HJL)にも参加し、今年度の関西学生春季リーグでは天理大、立命大に次ぐ関西の強豪・聖泉大。第1クオーター(Q)に先制されたが、以降は粘り強く守り続ける。迎えた第4Q、MF的場朱音副将(教4=滋賀・伊吹)のパスを受けたFW森田桜(政経2=メキシコ・Greengates School)がゴールへ押し込み同点に追い付く。SO戦に突入し、4人目のMF南家未来(スポ3=京都・立命館) が待望のゴール。聖泉大をSO戦で下し、インカレ8強入りを果たした。

 持ち前のスピードとフィジカルの強さで、ゲーム開始から主導権を握る聖泉大。開始7分、ゴール前にボールを運ばれると、ゴール右上の隅を突くフリックシュートを決められ痛い先制点を許す。第1Qでは3度のペナルティーコーナーを獲得され、苦しい展開が続いた。第2Qは序盤に一進一退の時間が続いたが、聖泉大優位のボールポゼッションは変わらず。積極的にサークル内に攻め入られ、7分にもPCを獲得され早大のゴールを脅かす。しかし、第2Q終盤から早大のオフェンス時間は徐々に増え、コート中心の南家を軸にオフェンスの流れが生まれ始めた。


欠場したFW古屋に代わりセンターフォワードで出場したFW森田。公式戦初ゴールを決めた

 第3Qも2度のPCこそ与えたが、クオーター後半は両チームともに攻め切れない展開が続いた。聖泉大は前半よりも攻撃のスピードを落とし、細かいミスも目立つようになった。「未来(南家)が『このクオーターしかないからしっかり攻め切ろう』っていう声掛けをしてくれて 」とGK高橋詩帆主将(スポ4=栃木・今市)。南家のこの言葉でチームが攻めに転じた。第4Q開始まもなく、的場が持ち味のドリブルで相手を振り切り一気にサークル内へ運びゴール前の森田へパス。それをそのまま押し込み、森田はインカレの舞台で値千金の公式戦初ゴール。スコアは1-1に追い付いた。攻勢を強める聖泉大だが、ゴールを破ることはできずSO戦へ突入した。両チーム合わせて7人連続失敗後、迎えた早大の4人目のシューターは南家。「比較的落ち着いてできました」と相手GKを振り切り決勝点を挙げた。高橋も「SO戦に持っていったら自分がなんとかすると思っていた」と振り返り、SO戦無失点でGKとしての役割を全う。関東学生春季リーグ、全日本学生王座決定戦に続き、このインカレでもSO戦で劇的勝利を収めた。


SO戦でゴールを決めた南家(右)とシューター陣

 秋以降留学で3選手が離脱したことに加え、この日はけがでFW古屋萌杏(スポ3=埼玉・飯能) も欠場しており、FW陣を中心に選手層は春夏よりも確実に薄くなっていたはず。その穴をカバーし強豪の聖泉大から勝利をもぎ取れた要因は、間違いなくチーム力の向上だ。経験者と初心者の連携に加え、経験者を生かす戦術づくりは確実にチーム力を押し上げている。そして準々決勝の対戦相手は東海地区王者の東海学院大。大学女子ホッケーの『四強』と呼ばれる強豪だ。格上であることは間違いないが、スポーツはなにが起きるか分からない。全員ホッケーで東海学院大に挑戦する。

(記事 細井万里男、写真 新藤綾佳)

結果
TEAM1Q2Q3Q4QTOTALSO
早大
聖泉大
コメント

GK高橋詩帆主将(スポ4=栃木・今市)

――このインカレへ向けてチームで意識したこと、練習してきたことはありますか

1回戦が聖泉大学ということで、相手は日本リーグにも出場していて実力のあるチームだと思っていたので、ディフェンス面の強化と、ポジションを駿河台大戦の時と同じようにする対策をしました。でも守ってばかりだと勝ち切れないので、前でカットできた時に、どう点数を取りに行くかを考えながら練習してきました。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

個人的に第1Qの半分くらいで失点をしてしまって、しかもその失点の仕方が結構「あっ」ていう一瞬のことだったので、ちょっとまずいなと思ったんですけど、その後みんなグダることなくしっかり走ってくれて、失点をその後は0に抑えられたというところが大きかったと思います。

――きょう最も大きな勝因は何だったでしょうか

第4Qが始まる前に未来(南家)が「このクオーターしかないからしっかり攻め切ろう」っていう声掛けをしてくれて。そこでみんなもう一回気合入り直しました。開始1分もしないくらいでで点を取れたところ、あの場面で追い付けたというのが今回の勝因だと思います。

――SO戦では高橋選手が全て止めましたが、SO戦を振り返っていかがですか

緊張はしていないと言ったら嘘になるんですが、割とリラックスして臨めました。東京ヴェルディさんの方々と練習試合をした時にSO戦もやっていただいて、リフトで来た選手に対しての対応の仕方をヴェルディさんのキーパーの方に教えていただいていたので、それが今回すごく助かりました。

――SO戦が早稲田の勝ちパターンになっているようにも感じますが、今日のゲームプランはどのようなものでしたか

SO戦は最初から狙っていたわけではなくて、しっかりこっちが守って1点を取りにいければ勝てるのではないかと考えていました。フィールドゴールでしっかり決めて、こっちは無失点で勝ちましょうというプランを立てていたんですけど、最初に失点してしまったので、それだったらしっかり取り返して、「SO戦に持っていったら自分がなんとかする」と思っていたので、ゲームプラン通りではないんですけど、SO戦でしっかり勝ち切れているというところは早稲田の強みだと思います。

――あすは東海学院大戦となりますが、意気込みをお願いします

4強の東海学院大さん対戦するということで、今までに相手にしてきたどのチームよりもさらに上手い人たちの集まりだと思います。ですがこっちはこっちなりにしっかり堅実に守って、しっかりカウンターで点も取りに行くと言うゲーム運びをして勝ちに行きたいと思います。

MF南家未来(スポ3=京都・立命館)

――きょうの試合を振り返って

きょうは厳しい試合になると思ったのですが、みんな最初から足を動かして、フォワードも前からプレッシャーにいってくれて、ディフェンスも粘ってくれたのですごく良い雰囲気でできた試合だったかなと思います。

――聖泉大学に対して想定していたゲームプランなどはありましたか

戦ったことがなかったので全くどういうチームかわかりませんでした。なので最初は守り重視で、私たちの得意な粘るゲームにしようとしていました。ですが速い段階で1点を入れられてしまい、また何回か(得点の)チャンスもあったのでポジションを攻め重視の形に変えました。

――試合をしてみての聖泉大学の印象はどのような感じでしょうか

結構スピードでくる選手が多かったり、あたりが強よかったりしました。(相手は)スピードが武器のチームだと思うのですが、芝が重くて相手のスピードを抑えてくれたという印象があります。

――秋季リーグ戦を同じ会場で戦った時に芝がやり辛かったというお話がありましたが、きょうはいかがだったでしょうか

やはり2回目ということで身体も慣れてました。逆に相手は(この会場が)初めてだったと思うので相手の方が細かいミスが目立った様な気がします。そこを(早大が)拾ったり、トラップミスをするだろうなという想定ができた上で次のプレーに移れていたので、そこは私たちにアドバンテージがあったかなと思います。

――SO戦では勝ちにつながるゴールを奪いましたが、その場面についてはいかがでしょうか

いつもは緊張していたり、「絶対に決めるぞ」という思いが強すぎて空回りしてしまう感じでした。ですがきょうは試合から流れを作ってSOでも落ち着いていこうと思っていたので、比較的落ち着いてできました。順番が4番目ということで、みんなのSOを見て少しイメージがつかめていたので決まったのかなと思います。

――あすの東海学院大戦へ向けての意気込みをお願いします

厳しい試合になるのは分かっています。そこで早大の良さである粘り強さを発揮してなんとか自分たちの雰囲気に持ち込みたいです。きょうみたいに1つのカウンターを大事にして勝ち切りたいなと思います。

FW森田桜(政経2=メキシコ・Greengates School)

――第4Qの同点ゴールは森田選手の公式戦初ゴールだったと思いますが、感想はいかがですか

本当に入ると思っていなくて、めちゃめちゃ嬉しくて、朱音さん(的場)のおかげで点が決まりました。

――古屋選手が欠場して普段よりFW陣が手薄だったと思いますが、その点はいかがでしたか

萌杏さん(古屋)がいつも出場しているセンターフォワードの場所にいたんですけど、サイドの2人の位置をすごく見ていて、2人が下がっていたら私が(攻め)上がるとかを意識して、なんとか頑張りました。

――インカレに向けてどのようなことを練習してきましたか

先輩にすごく「キープ力がない」と言われていたので、キープすることを頑張りました。あとはとにかく走ること、走って相手に追い付くということを意識していました。

――次は東海学院大戦となりますが、次戦への意気込みをお願いします。

すごく強い相手ですが、気持ちで頑張って、気合い入れて頑張ります。