熱戦続く関東学生選手権(関カレ)も4日目を迎えた。この日行われたのは男子エペと女子サーブルの個人戦。男子エペは安雅人(スポ4=茨城・水戸一)が準決勝、決勝と苦境をはねのけ、優勝を果たした。早大勢は他にも増田陽人(商1=岡山・大安寺中教校)…

 熱戦続く関東学生選手権(関カレ)も4日目を迎えた。この日行われたのは男子エペと女子サーブルの個人戦。男子エペは安雅人(スポ4=茨城・水戸一)が準決勝、決勝と苦境をはねのけ、優勝を果たした。早大勢は他にも増田陽人(商1=岡山・大安寺中教校)が三位決定戦で勝利を収め、金髙大乘(社1=香川・高松北)も初出場ながらベスト8と結果を残した。一方女子は木村結(社4=山口・柳井)がベスト4に進出の好成績。最終日の団体戦、そして全日本学生選手権(インカレ)に向けて手応えを得た一日となった。

★安が関カレ制覇!早大勢の躍進を印象付けた(男子エペ個人)

 安はシードで関カレを迎えた。4回戦では同点に追いつかれるなど苦しむ場面もあったが、勝ち進んでいく。準決勝では増田との同士討ちに挑んだ。「特に作戦はなかった」(安)と普段通りのプレーを心掛けて挑んだが、ディフェンスを固める増田から得点を挙げることができない。増田を翻弄(ほんろう)しきれず、中盤までビハインドを背負いながら戦う。そんな戦局が変わったのはファイナルセット。「頭の中で切り替えられた」(安)と自身のプレーを修正。するとここまで通らなかったアタックが決まるように。打開に成功した安は一気に巻き返し、逆転勝利を収めた。迎えた決勝戦は、序盤から安が主導権を握る。だが「自分から負けに行ってしまうようなプレーがあった」(安)と失速し、一時は逆転を許す苦しい展開に。だが、またしてもここ一番で修正力が光った。動じず相手の隙を突いた安は終盤に試合を決める4連取の猛攻。最後の一本が決まった瞬間、安の顔には自然と笑顔がこぼれた。4年生にして初の関東王者の栄冠を勝ち取った。


決勝戦後、笑顔を見せる安(左から1番目)

 早大男子エペは優勝した安を含めベスト8に3人の早大勢が名を連ねた。準々決勝では増田と金髙の先輩後輩対決となる。お互いに手の内を知っている中で流れをつかんだのは増田だった。「僕の苦手なことばっかりをやってきた」と金髙が振り返るように、一貫して金髙の弱みに付け込む。早々に6連取を挙げると、ファーストセット終了時点で13-7と大きく突き放す。金髙は巻き返すことができず、ベスト4の切符を懸けた一戦は増田が上級生の意地を見せつける結果となった。
 振るわなかった全日本選手権の借りを返すような、目覚ましい活躍を見せた早大男子エペ。個人の持っている力をしっかり出せたことが、躍進につながった。それでも今大会は多くのシード選手が早々に敗北するなどして、強敵と顔を合わせずに済んだこともまた事実。インカレではより一層厳しい戦いが待っているはずだ。全国の舞台でも実力を出し切りたい。

(記事 小原央、写真 本野日向子)

★木村が4位に!団体も奮起なるか(女子サーブル個人)

 早大女子サーブルからは、6人が出場。中でも木村結(社4=山口・柳井)が4位と好成績を残した。木村は1、2回戦では相手に一歩もリードを譲らず、大差を付けて勝利。続く3回戦は、ベスト8をかけた重要な戦いとなった。序盤から拮抗(きっこう)した状態が続き、1点ビハインドで前半を折り返すと後半、「最後の関カレだし、相手はまだ1年生なので、気持ちでは絶対負けたらダメだなと思って、前で前で勝負しよう」と意地を見せる。同点に追い付くと、流れは木村に。そのまま相手を引き離し、15−12で白星を挙げた。迎えた準々決勝ではテンポよく得点を重ね、手堅く勝利。ベスト4以上を決め、木村は試合終了後マスクを取ると笑みを見せた。次の準決勝では接戦となるが、終盤相手に主導権を握られ惜しくも敗戦。最終的に4位で、最後の関カレ個人を終えた。


攻撃を仕掛ける木村(右)

 木村は4位となったが、他の早大選手は2回戦止まりに。接戦を制することができず、僅差での敗戦が目立ってしまった。しかし団体戦では個人のスキルも必要だが、チームワークが重要になってくる。「チーム力では負けていないと思うので、みんなで勝ちにいきたい」(木村)と次戦への意欲を見せた。早大女子サーブルは強みであるチーム力を生かして、目標であるベスト4以上をもぎ取りに行く。

(記事 本野日向子、写真 小原央)

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽男子エペ個人

安雅人(スポ4=茨城・水戸一) 優勝

2回戦:◯15-4 伊藤颯馬(専大)

3回戦:◯15-7 加藤巨樹(日体大)

4回戦:◯15-13 大津陽平(日体大)

準々決勝:◯15-4 田村純也(慶大)

準決勝:◯15-13 増田陽人(早大)

決勝:◯15-13 武井倖也(日大)

増田陽人(商2=岡山・大安寺中教校) 3位

2回戦:◯15-12 田代一裕(青学大)

3回戦:◯15-11 平野裕也(慶大)

4回戦:◯15-9 菊池正太郎(専大)

準々決勝:◯15-9 金髙大乘(早大)

準決勝:●13-15 安雅人(早大)

三位決定戦:◯15-8 杠星哉(日体大)

金髙大乘(社1=香川・高松北) 6位

2回戦:◯15-9 金田和樹(東農大)

3回戦:◯15-7 佐々木功喜(日大)

4回戦:◯15-9 吉永亘佑(日体大)

準々決勝:●9-15 増田陽人(早大)

十河昌也(スポ4=香川・三本松)37位

2回戦:●12-15 井上竜平(慶大)

伊藤悠貴(スポ2=三重・津) 46位

2回戦:●10-15 栗栖怜央(中大)

中埜匡貴(創理4=東京・早大学院)47位

2回戦:●12-15 松浦碧也(日体大)

寺井健人(教1=東京・早大学院) 68位

1回戦:●7-15 伊藤颯馬(専大)

▽女子サーブル個人

木村結(スポ4=山口・柳井) 6位

1回戦:◯15-1 松尾美都希(日女体大)

2回戦:◯15-5 安田早希(日大) 

3回戦:◯15-12 月野敬子(法大)

準々決勝:◯15-11 稲野邉南(法大)

準決勝:●10-15 小林かなえ(東女体大)

三位決定戦:●13-15 谷山鈴々花(東女体大)

村上万里亜(スポ2=愛媛・三島) 19位

2回戦:●14-15 高橋七美(日体大)

齊藤里羅子(スポ4=山形東) 21位

2回戦:●14-15 尾里雪菜(日体大)

黒田ほのか(スポ1=香川・三本松) 32位

1回戦:◯15-7 佐林優(慶大)

2回戦:●7-15 江村美咲(中大)

佐野友香(スポ4=静岡・沼津西) 39位

1回戦:●13-15 加藤怜(東女体大)

仙葉楓佳(社3=秋田・聖霊女短大付) 50位

プール戦敗退






コメント

木村結(社4=山口・柳井)

――4位となりましたが今のお気持ちは

目標がベスト8以上で、目標は達成できたし、実力以上の結果は出せたかなと思います。でもやっぱり、勝ちきれなかったのは悔しくて、今は悔しい気持ちの方が大きいです。

――準決勝では、終盤徐々に相手に点差を付けられてしまったが、振り返っていかがですか

準決勝の相手とは、試合で当たることが多くて、お互いに戦術とかを知っている状態でやっていて、後半は自分のやりたいことを相手に読まれていて、相手のペースで試合が進んでいたと思っています。それに対して自分も変えることができずに、相手のペースに飲まれてやられたと思います。

――3回戦では、中盤まで接戦となったが焦りなどはありましたか

すごく焦りました。1回戦、2回戦はすごく余裕がある試合だったので。焦ったけど、最後の関カレ(関東学生選手権)だし、相手はまだ1年生なので、気持ちでは絶対負けたらダメだなと思って、前で前で勝負しようと思ってやったので、それが勝ちにつながったのではないかと思います。

――3位決定戦では、後半相手に追い付くが、勝利することができなかった要因は

自分的にすごく苦手な相手で、最初から苦手意識を持って試合をやっていて、相手にリードされてしまいました。でもベンチに同期の齋藤(里羅子、スポ4=山形東)が入ってくれていて、齋藤がとても的確なアドバイスをしてくれて、その通りにやったら割と相手にはまって、そこから点数が取れるようになりました。でも最後はやっぱり、戦術を変えきれなく、いつもの自分が出てしまい負けてしまい反省しています。

――今日の良かった点はどんな点ですか

予選が2勝2敗で正直よくなかったのですが、しっかり気持ちを切り替えて、トーナメントでは、いつも通りのプレーができたかなと思います。いつもは緊張で最初は動きが硬いのですが、今日はトーナメントの最初からいつも通りリラックスして戦えたところが良かったかなと思います。

――団体戦に向けて一言お願いします

団体戦の目標はベスト4以上です。ベスト4以上に入るためには、法大に勝たなくてはいけなくて、正直法大は3人とも選手がそろっているし、実力も上かもしれないのですが、チーム力では負けていないと思うので、みんなで勝ちにいきたいと思います。

安雅人(スポ4=茨城・水戸一)

――優勝という結果になりましたが、率直な感想をお願いします

うれしいです。それだけです。

――安堵の気持ちと初優勝でうれしい気持ちのどちらが強いですか

安堵した感じですかね。いや、初優勝でうれしいかな、どっちもあります(笑)。

――準決勝での増田陽人(商2=岡山・大安寺中教校)選手との試合を振り返っていただけますか

正直、事実上の決勝戦だと思っていたので、特に作戦とかなかったんですけど、なるようになるかなくらいの気持ちでいて。途中リードされたときは今回は負けるかな、と思ったんですけど、自分の中で3セット目にイメージをリセットして、切り替えて何本か取れたので、そこで流れがつかめたのが良かったかなと思います。

――準決勝のセカンドセットまで仕掛けに行って点を取られることが多かったと思うのですが、ファイナルセットで攻略できた要因は何でしょう

彼が疲れていて、足が動かない中でディフェンス主体のプレーになっていて、最初は色んなフェイントを出して、剣を避けてというプレーをして引っ掛かっていたんですけど、相手の足が止まっていたので、単発の早いアタックで取れるかなと頭の中で切り替えられたので、そこが良かったのかなと思います。

――続いて決勝戦を振り返っていただけますか

ちゃんとやれば負けないって思っていたので、途中自分から負けに行ってしまうようなプレーがあったんですけど、そこで切り替えて最後は勝つことができたので、そこは良かったところかなと思います。

――決勝戦では緊張はありましたか

ないです。今日は1回も緊張しなかったです。

――明日の団体戦に向けて意気込みをお願いします

団体で勝ちたいだけなので、個人はインカレ(全日本学生選手権)に出られればいいかなと思っていたのですが、団体は5冠がかかっているので、3つ目の勝ち星を挙げられるように。フルメンバーなので、勝てたらいいなと思っています。

増田陽人(商2=岡山・大安寺中教校)

――3位という結果をどう捉えていますか

去年と一緒の成績で少し残念です。しかし、最近調子が悪いなかでひとつ結果が出たことはほっとしています。

――金高大乘(社1=香川・高松北)選手との試合を振り返って

よく大学で練習相手だったので対策はたてやすかったです。大乘は動きが速いので大乘が動きだす前に攻撃することを心がけました。

――準決勝で対戦した安雅人(スポ4=茨城・水戸一)選手の対策はありましたか

前日まで体調を崩していて全体的に体力が少ない状態だったのでなるべく動かずにかつ仕掛けるときには大胆にと心がけてやりました。

――準決勝のファイナルセットで連取された要因は何でしょうか

単純に体力不足で相手に対策されて、それで作戦を変える体力がありませんでした。

――明日の団体戦に向けて意気込みをお願いします

あしたこそ自分の中では本番だと思っているので優勝します。

金髙大乘(社1=香川・高松北)

――ベスト8という結果をどのように捉えていますか

悔しいかなって思います、先輩に負けちゃったので。嫌いなことばっかりやってきたのでちょっとイライラしていました(笑)。いつも大学で練習していて、苦手なところを知られていたので。

――フットワークをしっかり使っていたように見えたのですが、どう考えていますか

大学に入ってから前後の動きを取り入れたので、確かにフットワークは意識していたかなと思います。

――増田陽人(スポ2=岡山・大安寺中教校)選手との試合前に対策はありましたか

いつも通りを心掛けたのですが、僕の苦手なことばっかりをやってきたという感じです(笑)。

―試合で連取された要因も苦手なことをされたということでしょうか

そうですね。

――苦手な部分を具体的に教えていただけますか

シュクストという技で先輩の外側から突こうとしていたんですけど、そのポジションの守りが堅くてなかなか突けなかったんですよね。そこじゃないラインから攻められるようにしたいと思いました。

――全日本学生選手権(インカレ)に向けて意気込みをお願いします

インカレは初めてなのでよく分からないんですけど、誰か一人大物を倒したいですね。大物を倒してベスト4に入りたいです。