TEAM123456789計立 大3000000205早 大0100100002(早)●早川、今西、柴田―小藤、岩本◇(二塁打)田口(本塁打)小藤1号ソロ(5回) 投打ともに「実力不足」(.000)が露呈した試合であった。優勝の可能性を残す…

TEAM
立 大
早 大
(早)●早川、今西、柴田―小藤、岩本
◇(二塁打)田口(本塁打)小藤1号ソロ(5回)

 投打ともに「実力不足」(.000)が露呈した試合であった。優勝の可能性を残すためには、とにかく勝ち続けなければならないという状況の中迎えた立大1回戦。しかし、初回から先発・.000が3点を先取されて試合の主導権を奪われると、8回には2番手・.000がさらに2点を失い勝負あり。打線は好機がありながらも、相手のボークと.000によるソロ本塁打の計2点を返すのがやっと。この日の第1試合で明大に快勝した慶大との実力差が如実に表れる試合運びとなってしまった。


高校時代も含め慣れ親しんだ神宮球場で初アーチを放った小藤

 早川は初回、「慎重に行き過ぎた」と先頭の宮慎太郎(3年)に8球粘られた上に歩かせるなどして、1死一、二塁とされる。すると、4番の山田健太(1年)に内角寄りの真っすぐを右前に運ばれ、あっさりと先制を許してしまう。さらに2死から藤野隼大主将(4年)にも右中間を破る2点適時二塁打を浴びて、いきなり3点のビハインドを背負うこととなった。それでも2回以降は、真っすぐを主体とする配球に変えたことで劇的に立ち直る。5回までに毎回奪三振を記録するなど、2~7回まで三塁を踏ませない投球を披露し立大打線を寄せ付けなかった。


2回以降はエースの名にふさわしい投球を見せた早川

 一方早川を援護したい打線は、相手先発・田中誠也副将(4年)を前に2回。.000の四球を足掛かりに2死三塁とすると、瀧澤の走力を警戒したのか、田中誠が投球動作を止められず。まさかのボークで1点を返した。5回には先頭の小藤が内角のカットボールを振り抜いて右翼ポール際に自身リーグ戦初となるソロ本塁打を放ち、何とか1点差にまで迫る。『次の1点』がどちらに入るのかという展開の中、迎えた7回。先頭の.000が右前にしぶとく運び、早川の代打・佐藤純平(社4=東京・早実)も右前打でつなぐ。下位打線で1死一、二塁の得点機をつくり出すが、続く1番・田口は力のない中飛に打ち取られてしまう。2番・.000も早々に追い込まれると、外角いっぱいに投げ込まれた真っすぐに手が出ず見逃し三振。マウンドで雄たけびを上げた田中誠、一方で肩を落としベンチに引き上げる中川卓。これが明暗の分かれ目となった。


無得点に終わった7回の攻撃が立大に勢いを与えてしまった

 8回からは今西がマウンドへ上がるが、大きなピンチを切り抜け勢いに乗った立大打線を止めることができない。1死から宮﨑仁斗(1年)に左中間を破る三塁打を許し、他投手へのスイッチも考えられたが「彼なら何とかしてくれる」という信頼のもと、.000は続投を決断。しかし続く太田英毅(2年)に中堅深くへ犠飛を運ばれ、「非常に大きかった」(小宮山監督)という追加点を奪われてしまった。その後も四球と暴投で得点圏へ走者を進められ、江藤勇治(4年)に左前適時打を浴びてノックアウト。代わった.000が火消しには成功したが、時すでに遅し。結局、打線も最後まで田中誠を打ち崩すことができず2-5で痛恨の敗北を喫した。


8回に今西がとどめを刺された

 立大1回戦に敗れたことによって、8季ぶりのリーグ優勝奪回が絶望的となった。この状況をつくり出した一大要因ともいえる打線は、7回のみならず好機を逸する攻撃が多数みられた。反撃ムードが高まっていた6回に、先頭で出塁した加藤が唐突に二塁を陥れようとしたが失敗。得点圏でのタイムリー欠乏症も明らかで、勝負所での集中力の欠如が目立った。投手陣も早川は持ち直したが、今西が要所で粘ることができずに相手との点差を広げられてしまった。この試合だけを見ても課題は山積しているが、リーグ戦自体はまだまだ続く。この日の曇り空のようなどんよりとした空気を脱するきっかけは訪れるのか、光が照らす瞬間を待ちわびたいところだ。

(記事 篠田雄大、写真 今山和々子、宇根加菜葉)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順守備名前
1(左)田口喜将410.375二ゴ 見三 中2 中飛  
2(一)中川卓也410.200中安 二ゴ 空三 見三  
(三)福岡高輝410.259三飛 中安 二ゴ  一ゴ 
(右)加藤雅樹420.207中安 二ゴ  中安 空三 
(遊)檜村篤史300.077一邪  空三 左飛 死球 
6(中)瀧澤虎太朗300.000 四球 空三 見三 左飛 
7(二)金子銀佑310.200 投犠 中飛  右安 遊ゴ
8(捕)小藤翼311.231 一ゴ  右本 投ゴ  
 岩本久重100.000        二飛
9(投)早川隆久200.100 見三  右飛    
 佐藤純平110.667      右安  
 今西拓弥000.—         
 柴田迅000.—         
 今井脩斗100.000        空三
早大投手成績
名前
早川隆久5137528332.73
今西拓弥4000 2/3210225.79
柴田迅5101 1/3113000.00
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位 慶 大法 大早 大立 大明 大東 大勝ち点勝率
慶 大○3-1
○3-1
 ○4-3
○2-0
○4-1○13-4
○10-0
1.00
法 大●1-3
●1-3
○1-0
○2-0
○2-1
○5-3
○2-0
○2-1
 .750
早 大 ●0-1
●0-2
●2-5●0-4
○6-2
○4-1
○4-3
○3-0
.500
立 大●3-4
●0-2
●1-2
●3-5
○5-2 ○6-1
○6-0
.429
明 大●1-4
●0-2
●1-2
○4-0
●2-6
●1-4
 ○4-2
○8-0
.375
東 大●4-13
●0-10
 ●3-4
●0-3
●1-6
●0-6
●2-4
●0-8
.000

コメント

小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)

――きょうの試合を振り返って

もうどんよりとした感じで。(きょうの)天気と一緒です。

――勝敗を分けたポイントを一つだけ挙げるとするならば

…まあ加藤(雅樹主将、社4=東京・早実)が二塁でアウトになったところかな。強いて一つ挙げるならば。言ってしまえば(きょうの試合で起こったこと)全てですよ。今西(拓弥、スポ3=広島・広陵)があの場面で2点を取られたというところもね。

――1死三塁という場面でブルペンには柴田迅投手(社3=東京・早実)も準備していましたが、継投という選択肢はありましたか

(今西の)続投です。先々のことで言うと、あそこは犠牲フライを打たれてはいけないという場面で、彼ならば何とかしてくれると思っていましたから。そういう中で点を取られてしまったので、全体的にがっくりきてしまった感じかな。その後の1点に関しては、ちゃんとやってくれという話ですけどね。

――8回の2点が大きかったと

非常に大きかったね。

――もう1点もう2点がほしいという場面で攻撃のミスが際立ちました

それはね、今に始まったことではないから。この(東京六大学秋季)リーグ戦はとにかく点を取ることに苦しんでいますから、そういった中で選手たちが「どうすれば点が入るのだろう」とそれぞれが工夫しているはずですので。まあまあ、(今季)序盤の法政戦のころに比べれば、雰囲気的にははるかに良くなってきているので。あしたあさっては何とかやってくれると思います。

――直近は金子銀佑選手(教3=東京・早実)のスタメン起用が続いていますが、どういった点を評価してラインアップに名前を載せているのでしょうか

それはこちらからのリクエストにある程度答えてくれるからです。

――それはこれまでスタメンだった吉澤一翔選手(スポ3=大阪桐蔭)と比較してということでしょうか

吉澤だとやっぱりちょっと制限がかかってしまうので、それと比べてです。

――きょうの敗戦で優勝は絶望的となりました

法政にやられた時からかなり厳しい状況になっていますから、それはそれとして(やっていきます)。

加藤雅樹主将(社4=東京・早実)

――試合を振り返っていかがですか

初回に3点先制されてしまって、追う展開から最後までひっくり返せなかったことが悔しいです。優勝に向けて絶対に落とせない試合だったのですが、実力、チーム力不足ですし、田中誠也(副将、4年)が良かったです。

――田中誠投手相手に8安打と、好機を演出する機会も多かったですが

ベンチの雰囲気は途中まですごく良くて、いいチームになってきているという感じはします。

――そんな中で勝ち切れなかった要因はどこにあったと思いますか

打撃でも守備でも、細かいミスがあったので。そういうところが最終的には(敗戦に)つながってしまうと思うので、そういった状況でも冷静でいなければいけないと思います。

――寮に帰ってから、どんなことをチームで話しますか

4年生は最後なので、一人一人に悔いがないように。それと、厳しい顔をして黙ってやっていてもつまらないので、楽しむというと語弊があるかもしれませんが、一瞬一瞬をかみしめてプレーできればいいと思います。

小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)

――神宮球場での人生初本塁打でしたね

そうですね。ホームランは素直にうれしいです。

――打った球は

カットボールでしたね。インコースを抜けてきました。

――狙っていたものでしたか

いえ、球種は狙っていませんでしたが、流れも良かったので初球を強く振り抜こうとは思っていました。

――早川隆久投手(スポ3=千葉・木更津総合)の立ち上がりについては

最初に先頭バッターにフォアボールを出して、自分も早川も次打者にも続けてフォアボールを出すことを嫌がって勝負を焦ってしまいました。そして高めに浮いたところを打たれてしまいました。フォアボールを出した後にもう少し慎重に攻めることができれば、抑えられたと思うのでそこは少し反省点かなと思います。

――今西拓弥投手(スポ3=広島・広陵)についてはいかがでしたか

少し制球が定まらなかったということが一つあると思います。ですが、そこをしっかりとうまくリードしてあげられなかったことは申し訳ないと思っています。次の試合でも登板はあると思うので、そこは切り替えてやってほしいですね。

――制球はブルペンにいる時から不調だったのでしょうか

一応(ブルペンで)受けていた岩本(久重、スポ2=大阪桐蔭)からは「少し真っすぐが垂れている(伸びがない)」という感じの話がありました。最近のシート打撃でも少し変化球を多めに投げていたので(真っすぐに影響が出たのかなと)。そこは本人にしっかりと修正してもらいたいと思います。

――きょうの結果についてはどう受け止めていますか

負けてしまい優勝からは遠のき、ほぼゼロに近いかたちになりました。そこは本当に悔しいです。

――あすに向けて

リーグ戦はまだ終わっていないので、しっかりとやっていきたいです。まだ優勝の可能性はゼロではないので。ここからしっかりと勝っていって、最終的には勝ち点4を目指していきたいです。

早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)

――序盤の3失点を振り返って

コミュニケーションを小藤さん(翼副将、東京・日大三)と取れなかったので、先頭の宮(慎太郎、3年)にフォアボールを出した時点で慎重にいき過ぎたなというのがあったので。後半からストレートをアバウトに使えたのは初回のあの失点があったからなので、反省を生かして後半は投げられたかなとは思います。

――序盤は球のスピードが出ていましたが、それは意識的にですか。それとも調子が良かったのでしょうか

直球が走っていたというのはあったので、直球で押そうとは思ったのですが、小藤さんの考えでは「慎重に」ということで変化球を多めに投げていました。逆に自分は2回から直球が走っていると気付いたので真っすぐで押そうと(スタイルを)変えてからだいぶ良くなったかなと思います。

――山田健太選手(1年)、藤野隼大主将(4年)に打たれた球種は何でしたか

山田は真っすぐで、藤野さんはチェンジアップの外のボールです。

――1回に打たれてからは徐々に立ち直ってきたと思いますが

とりあえず3失点したことを引きずっていても前に進めないので。こういうふうにつなげられるような投球をしていかないといけないと思っていたので、そこはだいぶ良かったかなと思います。

――今季は粘り強く投げていますが、勝ち星がつきません。心につっかえている部分やもどかしさなどはありますか

正直もう諦めているというわけではないですが、自分の仕事を全うするだけだと思っているので、そこは勝敗というよりもチームのためにどれだけ頑張れるかだと感じています。

――優勝が絶望的になりました。その点に関していかがですか

優勝はなくなってしまいましたが、4年生にどういうかたちで恩返しできるかというのが大事ですし、早慶戦もまだ控えていて(立大との)第3戦もまだあるということなので。しっかり気持ちを切り替えて、優勝がなかったとしてもできることを全力でやれればと思います。