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姫野和樹インタビュー vol.2

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 地元・愛知の豊田スタジアムで行われたワールドカップ3戦目のサモア戦では見事なトライを決め、そして先週末の予選プール最後のスコットランド戦でも日本初のベスト8進出を決める勝利に大きく貢献した姫野和樹。開幕前のインタビューをもとに彼の魅力に迫る。第2回はその圧倒的なフィジカルの秘密と、ラガーマンとしての”理想像”について聞いた。



フィジカルの強さについても語った姫野和樹

──187cm・108kgという恵まれた体躯を十二分に生かしたパワフルなプレーが姫野選手の信条だと思いますが、ご自身としては身体のどの部分に最も自信を持っていますか?

う~ん、自分の身体を評価するのは難しいですけれど……(笑)、強いて挙げるなら大胸筋(胸囲は116cm!)ですかね。自分としても意識的に鍛えているつもりです。

──大胸筋を鍛えることでゲーム中にどのようなメリットが生まれますか?

まずタックルやボールキャリーの時に単純に当たり負けしにくくなるという利点がありますし、またハンドオフ(ボールキャリー時にタックルに来た選手を、ボールを持っていないほうの手で突き飛ばすプレー)も強くなりますね。

──実際にどういったトレーニングで強化しているのですか?

何と言ってもベンチプレスですね。僕の今のベストは170kgで、日本代表でも1番か2番くらいの重さ。そのあたり、ウェイトトレーニングでの選手間の競い合いはありますし、それがモチベーションになっている面もありますね。選手それぞれが自己ベストを出した時はチーム内で拍手が起こりますしね。

──トップアスリートであっても、ハードなウェイトトレーニングを持続させるのは相当な覚悟がないとできないと思いますが、どのようにご自身を奮い立たせているのでしょう。

ウェイトトレーニングは自分自身との戦い。「これを挙げられなかったワールドカップで勝てないぞ!」って、常に言い聞かせながら取り組んでいますから(笑)。

──ちなみに、姫野選手のその分厚い筋肉の源になっている「パワーメシ」があれば教えてください!

いちばんは「うな重」です。トヨタの練習場やワールドカップの会場でもある豊田スタジアムは愛知県豊田市にあるのですが、その隣の三好(みよし)市に行きつけのうなぎ屋さんがありまして。普段トヨタで練習している時は毎週食べに行っていますね。1人でも行きますし、チームメイトみんなで行く時もあります。外国人選手たちも気に入ってくれていますよ。お店を営まれている大将と奥様にも非常にお世話になっていまして、いつも「現役を引退したらここに弟子入りさせてください!」とお願いしているんですよ(笑)。それくらいそのお店のうな重が好きで、まさに僕のパワー源ですね。

──次に、姫野選手の”バイブル”についてもおうかがいしたいのですが、ラグビーをプレーする上で影響を受けている本などはありますか?

本ではありませんが、実は僕、映画の「グラディエーター」がめちゃくちゃ好きなんです。もう4、5回は観ていますね。ストーリー全体としては悲しい話なのですが、ラッセル・クロウが演じる主人公の生き様に、勝手に自分のラガーマンとしてのあるべき姿を重ねています。僕は試合前、いつも自分に向けてメッセージを送るのですが、よく「グラディエーターのように80分間闘い続けろ!」と言い聞かせています。

──もう1つ、姫野選手が普段の練習や日常生活で「これだけは欠かさずやる」と決めているルールやルーティンはありますか?

ノートをまとめること、でしょうか。練習の前後に何かしら気づいたことを毎日書き留めていますし、試合の前などは、タックルを何回決める、ボールキャリーをどれくらいする、といったような目標となる具体的な数字を明記していますね。また、「誰よりも走れ」、「誰よりも身体を張れ」、「そのための覚悟を決めろ」という自分を奮い立たせるためのメッセージもたくさん書き込んでいます。ちょっとクセは強めですが……(笑)、そんな”姫野ノート”を常に側に置いて置くようにしていますね。

(つづく)

PROFILE:姫野和樹(Kazuki HIMENO)
1994年7月27日生まれ、愛知県出身。187cm・108kg。ポジションはナンバーエイトやフランカーを務める。中学でラグビーを始め、地元の春日丘高校から大学ラグビー屈指の強豪である帝京大学を経て2017年にトップリーグ・トヨタ自動車ヴェルブリッツに加入。初年度から主将を任され、新人賞とベスト15をダブル受賞。将来の日本代表を背負って立つ存在として期待されている。