ラグビーワールドカップも、いよいよ今週末でプールステージすべての試合を終える。10月9日は、静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムで、日本代表と同組のプールA、スコットランド代表(世界ランキング9位)とロシア代表(同20位)が対戦した。 …

ラグビーワールドカップも、いよいよ今週末でプールステージすべての試合を終える。10月9日は、静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムで、日本代表と同組のプールA、スコットランド代表(世界ランキング9位)とロシア代表(同20位)が対戦した。

スコットランド代表は初戦でアイルランドに3-27で敗戦したが、サモアには34-0と完封しボーナスポイントも獲得して現在勝ち点は5。ロシア戦で快勝して勝ち点を伸ばし、最終戦の日本代表戦に臨みたいところだった。

グレガー・タウンゼントHC(ヘッドコーチ)は、日本戦まで中3日という日程を考慮して、先週のサモア戦から、14名の先発メンバーを変更した。LOジョニー・グレイ、SHグレイグ・レイドロー、SOフィン・ラッセル、FBスチュアート・ホッグらを休ませた。

弟のSHジョージと兄のCTBピートのホーン兄弟が、ワールドカップで初めて揃って先発する。またゲームキャプテンはFLジョン・バークレーが務めた。

対するロシアは開幕の日本戦で10-30、サモア戦では9-34、アイルランド戦では0-35と、部分的には善戦したものの3連敗ですでに敗退が決まっている。しかし、最終戦となるこの試合で悲願のワールドカップ初勝利にチャレンジした。

スコットランドを長く支援してきた、英国王室のアン王女が臨席され、44,123人が集った試合は、ロシアボールでキックオフされた。

ロシアはSOラミール・ガイシン、スコットランドはSOヘイスティングスのハイパントキックを軸に戦うものの、なかなか試合が動かない。前半12分、スコットランドはゴール前のラインアウトからボールを展開するもWTBグラハムがノックオンしチャンスを逃す。

しかし、直後のスクラムでスコットランドはスクラムを押し込み、相手のペナルティを誘いターンオーバー。13分、スコットランドはスクラムを選択し、SOヘイスティングスがパスダミーからラインブレイクし右中間に押さえてトライ。自身でゴールも決めて7-0と先制する。

19分、ロシアが自陣から右に展開して攻め込むも、ノックオン。そのボールをスコットランドがすぐに切り返し、SOヘイスティングが裏にキック、インゴールに転がったボールをロシアのキャプテンFBアルテミエフが足を滑らしてしまい、SOヘイスティングがそのまま押さえてトライ、ゴールも決まって14-0となる。

スコットランドの勢いは止まらず、21分、相手陣奥、相手ボールのラインアウトから出たパスをSHジョージ・ホーンが判断よく前に出てインターセプトしそのままトライ、21-0とリードを広げた。

その後は得点が動かず、前半終了間際にもスコットランドに相手ボール前に攻め込んだが、どうにかロシアがディフェンスで粘りを見せてノックオンを誘って、21-0のまま前半を折り返した。

後半4分、相手キックからWTBグラハムがカウンターを仕掛けて50mほど走り、最後はSHジョージ・ホーンにパスし、そのまま左中間にトライ(28-0)。スコットランドが4トライ目を挙げて、きっちりボーナスポイントを獲得した。

ここからはスコットランドの一方的な展開となる。10分にはモールを押し込んで、最後はモールから抜け出したHOジョージ・ターナーが飛び込んで、ゴールも決まって35-0。

15分にはFBブレア・キングホーンのグラバーキックをWTBトミー・シーモアがインゴールで押さえた。さらに18分にはカウンターからパスをつないでSHジョージ・ホーンがハットトリックとなるトライを決めて47-0と大きくリードし勝負を決めた。

ロシアは残り20分、1トライを返そうと果敢にアタックするものの、なかなかスコットランドのゴールラインを割ることはできなかった。

34分にもゲームキャプテンFLジョン・バークレーがラインブレイク、40mを走りきってトライを挙げた。37分にも自陣からFWとBK一体となって展開し、HOスチュアート・マキナリーがファイブポインターとなった。結局、9トライの猛攻を見せたスコットランドが61-0で大勝し、きっちりと勝ち点5を獲得。プレイヤー・オブ・サ・マッチには正確なキックとゲームメイクが光ったスコットランドのSOヘイスティングスが選出された。

ロシアのリン・ジョーンズHCは、

「スコットランドはスピードとスキルが高かった。しかし全体的にロシアとしては大きな成果を得た大会だった。出場が決まったのが遅く、準備期間の少ない中で選手たちがよくやってくれた。もし1年前にこの大会があったらもっと悪い結果になっていただろう。選手たちはとてもステップアップしたと思う。国を代表する誇りを持って戦った。ロシアのフィジカルのポテンシャルは無限大だ。これからもっと成長していくので将来が楽しみだ」と胸を張った。

この大会が選手としての最後のワールドカップであることを示唆しているキャプテンのFBワシリー・アルテミエフは、「この大会で色々な収穫を得た。若い選手たちのためにもっとロシアが高いレベルで試合ができるように僕は力を尽くしたい。そして僕にモチベーションと力を与えてくれたリン(・ジョーンズHC)とスタッフとチームを成長させ続けたい」と語った。

スコットランドのグレガー・タウンゼントHCは、「けが人もなく前半でボーナスポイントを取れたことは嬉しい」と勝利を喜んだ上で、

「まずはリカバリーが必要で、それから日本戦について備える。日本戦は非常にビッグゲームになる。向こうもそうであるように我々も彼らのことをよく見ている。

日本は毎回長い休みの後で試合に入り、今回もしっかりと休んでから試合に臨む。日本は良いチームなので、ベストのパフォーマンスを出さないといけない」とベスト8をかけた最終戦での抱負を語った。

これでロシアは4試合すべて戦い終え、スコットランド代表は総勝ち点を10として、決勝トーナメント進出に向けて日本との直接対決に臨む。

 

◇スコットランド、SOヘイスティングスは日本を警戒!

本日のプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたスコットランドのSOアダム・ヘイスティングスは、

「今日はとても楽しくプレーすることができたチームできちんとプレーできた。スコットランドのプレーができた。ボーナスポイントも取れてハッピーです」と喜んだ上で、

「(日本は)分析的で非常にトレーニングされていて、セットプレーが強い。No.8アマナキ・(レレィ・)マフィはビッグボールキャリーで危険です。

(勝つには何が大事?)それは言えません」と日本代表への警戒を怠らなかった。