東京六大学野球秋季リーグ戦 第4週 明大1回戦 2019年10月5日(土) 神宮球場    開幕4連勝で波に乗る法大。1週空いた中で迎えた昨季王者・明大との『血の法明戦』は緊迫した戦いとなった。明大は絶対的エース・森下暢仁が先発。しかし…

東京六大学野球秋季リーグ戦 第4週 明大1回戦
2019年10月5日(土)
神宮球場

 

 開幕4連勝で波に乗る法大。1週空いた中で迎えた昨季王者・明大との『血の法明戦』は緊迫した戦いとなった。明大は絶対的エース・森下暢仁が先発。しかし、その森下に対し、法大は初回、毛利元哉(法4)の適時内野安打で先制に成功する。法大先発の朝山広憲(法4)は走者を背負いながらも5回まで無失点に抑える粘投を見せると、7回、代打・西山翔真(法4)の意表を突いたスクイズで貴重な追加点。8回に無死満塁と最大のピンチを招いたものの、クローザー・三浦銀二(キャ2)が回の途中から登板すると、圧巻の投球を見せ、無失点。9回もそのままマウンドに上った三浦は三者連続三振で仕留め、ゲームセット。2—0で明大に先勝した。

 

戦評

 今季、開幕から4連勝と最高のスタートを切った法大は、勢いそのまま2週間ぶりに神宮へと乗りこんだ。相手は昨季リーグ覇者の明大。秋連覇のためには1試合も落とすことはできない。

 1回表、法大の1、2番は明大先発・森下暢仁に打ち取られるものの、3番・福田光輝(人4)が二塁手の頭上を越える右前打で出塁すると、伊藤寛士(文4)も内野安打で2死一、二塁の好機に。ここで今季打率.500と好調の5番・毛利元哉(法4)がしぶとく内野安打を放ち、幸先良く先制に成功する。法大の先発は今季から先発に配置転換され、ここまで2勝を挙げている朝山広憲(法4)。安打と四球で走者を出したものの、威力のある直球と闘志あふれる気迫で初回を無失点で切り抜ける。その後は両先発の白熱した投手戦が繰り広げられ、5回までスコアボードに0が並ぶ。6回裏からは鈴木昭汰(キャ3)にマウンドを託し、5番・森下に安打を許したが、テンポの良い投球で付け入る隙を与えない。

 好機は7回表にまた訪れる。7番・相馬優人(営4)が右前打で出塁すると、すぐさま盗塁。走者を得点圏に進めると、8番・舩曳海(キャ4)の足を使った内野安打で1死一、三塁に。すると青木久典監督は代打に西山翔真(法4)を起用。バントの構えで投手を揺さぶると、スリーボールから意表をつくセーフティースクイズを見事に決め、貴重な追加点をもたらした。

スリーボールから見事にセーフティスクイズを成功させた西山

 しかし8回裏、内沢航大(キャ4)からスイッチした新井悠太朗(営4)が3連打を浴び、無死満塁。長打が出れば逆転のピンチに。ここでまたも青木監督が動く。クローザーの三浦銀二(キャ2)を8回途中から繰り上げ登板。「自分ができることを精一杯しようと思った」と試合後に語ったように、三浦らしい150㌔前後の直球で押す投球を見せる。4番・喜多真吾を二飛に抑えると、5番・森下の放った打球は右翼へ。しかし、宇草孔基(営4)の好返球で走者を本塁に返さない。最後は147㌔の直球で6番・渡邉涼太を三球三振に仕留め、無失点で切り抜けると、ベンチ前で新井と熱い抱擁を交わした。9回のマウンドにも引き続き三浦が上がる。相手打線を手玉に取り、三者三振に抑えるすばらしい投球で試合終了。青木監督の好采配もあり、明大打線を2-0と完封した。

8回裏無死満塁のピンチを凌いだ三浦は雄たけびを上げた

 これで開幕からの連勝を5に伸ばした法大。明日も1点を争う厳しい試合展開が予想されるが「明日もチーム全員で戦っていきます」と語ったのは先発の朝山。チーム全員で貪欲に勝ち点を取りに行く。『優勝』の2文字は着々と近づいている。

(加瀬航大)

 

クローズアップ:三浦銀二

 今日も三浦銀二(キャ2)の笑顔は絶えなかった。試合後、「勝ちに一歩でも近づけたと思ったので、すごくうれしかった」と満面の笑みの理由を振り返る。

 今季、抑えとして4試合に登板し、被安打・四死球共に0と好投を続けている三浦。今日は、無死満塁の絶体絶命の場面での登板となった。ピンチの場面になればなるほどテンションが上がり、ギアも上がるという三浦は、投げるたびに球威が増し、次々と直球で空振りを奪う。同じ投手で好打者でもある森下暢仁との対戦では、「めちゃくちゃ力が入っていた」と振り返るように、球速は150㌔を記録。その後、見事にピンチを切り抜け、笑顔でベンチに戻っていった。続く9回にも登板。勢いそのままに前のイニングから4者連続三振を奪い、今日もまた完璧な投球を披露、笑顔で試合を締めた。試合後、笑顔の理由を聞くと、「こっちに流れを呼び込むことができ、勝ちに一歩でも近づけたと思ったのですごく嬉しかった」とうれしそうに答えた。

 今季は投打が噛み合い、昨秋以上の強さを見せる法大。秋連覇に向けて三浦の力は必要不可欠だ。明日以降も、『銀二スマイル』が法大に勝利をもたらす。

(髙橋尚輝)

選手インタビュー

朝山広憲 副将

—今日の投球を振り返って

苦しい場面が多くて、今日は正直調子も良い方ではなかったんですけれど、先発として試合を作らないといけなかったので、そういう意味で良かったと思います。

—空き週に取り組んだこと

立大戦は自分の中ではすごく良い出来だったのでその調子を維持できるようにというのを心がけて練習をしました。

—立ち上がりに走者を背負いましたが、しっかりと切り抜けました

相手の森下(暢仁)投手も本当に良いピッチャーですし、うちの打線でも森下投手からではそんなに点数は取れないと思っていたので、初回に取った1点を大切にしようと思いました。簡単に追いつかれてしまっては向こうにも流れが行きますし、こっちもなかなか点数が取れないという状況になると思ったのでしっかり粘っていこうという気持ちでした。

—作新学院高時代に同じチームで戦った添田真海選手と対戦しました

1打席目にセンター前へ打たれた球なんかは、かなり厳しい球だったと思うんですけれど、その厳しいボールをはじき返されたので、高校時代も含めて改めて良いバッターだなと思いました。

—これで今季3勝目、好調の要因は

好調の要因は気持ちの持ちようだと思います。春に不調だった時は一人一人の打者に対して「厳しいところを攻めていこう」だとか、中継ぎ、抑えというポジションでもあったので「一人のランナーも許さないぞ」という気持ちでいっていました。それだと、なかなか制球も定まらず難しかったんですけれど、今季先発をやらせていただいて、福田(光輝、人4)も声を掛けたりしてくれるんですけれど、「一人のランナーを気にするな」という気持ちで大胆に攻めていけているので、気持ちがバッターに対して向かっていけているというのが今季はいいのかなと思います。

—明日の試合に向けて

今日まず1勝したということはとても良いことですし、相手にもプレッシャーをかけられていると思うので、明日も勝って連勝したいという気持ちです。(明日は)相手も負けられないと向かってくると思うので、明日負けてしまうと3戦目に森下投手が来ると思うので、絶対落とせない一戦になると思います。明日もチーム全員で戦っていきたいと思います。

 

三浦銀二 投手

—ナイスピッチングでした。振り返ってみてどうでしたか

満塁だったので、自分ができることを精一杯しようと思って入りました。

—ピンチの場面での登板でした

いつもよりはテンション上げて、しっかり気持ちつくっていかなければいけないとブルペンで思っていました。

—ピンチの場面ではギアが上がりますか

上がりますね(笑)。新井さんがつくったピンチですけど、自分が(ピンチを)つくった気持ちでいかないといけないので、そこはしっかりテンション上げていけたと思います。

—森下選手との対戦では球速150㌔を記録しました

力入りすぎてましたね、めちゃくちゃ力入っていました。テンション上げ上げです(笑)。

—森下選手との対戦ではやはり意識しますか

特に意識したというよりは、1死満塁だったのでしっかり腕振って投げないといけないと思っていました。

—登板前の監督からの指示は

いえ、特にないです。しっかり投げてくれと言われたくらいです。

—直球で空振りが取れていましたが、コンディションはいかがですか

悪くはないのですが、もうちょっと指にかかってくれればなという球が多かったので、そこは修正したいと思います。

—8回のピンチを抑えたあとの気持ちは

嬉しかったですし、何より8回を抑えたことでこちらに流れもくるし、勝ちに一歩でも近づけたと思ったので凄く嬉しかったです。

—中継ぎでの登板に対しての慣れは

まだ気持ちの部分では慣れというものはないですけど、コンディショニング的に体の合わせ方というのは徐々に分かってきたと思います。

—法大の強さの要因は

キャプテンにしっかりついていっているというのもありますし、監督が戻ってきたことで、以前の法政の野球になっていることが大きいと思います。しっかりピッチャーとバッターも噛み合っていますし、本当に良い傾向だと思います。

—次戦に向けて意気込みをお願いします

また、いつ、どの場面で投げるか分からないので、しっかり準備して自分ができることを精一杯しようと思います。

 

西山翔真 内野手

—今日の試合を振り返って

ヒヤヒヤした試合でした。

—貴重な追加点をスクイズで決めました

4球来たんですけど、全部サインがセーフティースクイズで、そこまでやられたら決めるしかないなと思いました。

—代打を送られる前に監督と話されていました

ここで決めてくれよと言われて逆に変なプレッシャーをかけられました(笑)。

—開幕5連勝となりました

チーム自体もすごい良い雰囲気で来ているのでこのまま勝ち続けたいなと思います。

—明日の試合に向けてお願いします

明日もしっかりレギュラーメンバーが決めてくれると思うので、自分は声を出すことで頑張りたいです。

 

舩曳海 外野手

—今日の試合を振り返って

ピッチャーがやっぱり、頑張ってくれているので、そこが5連勝できた要因だと思います。

—自身は今日、2安打を放ちました

良いピッチャーの森下相手だったので、とにかく必死にいこうという気持ちでした。その結果が2安打につながったと思います。

—今日は外野の守備が良かった印象があります

センターである自分が、ポジショニングについては指示している部分があって、それが結果につながって本当に良かったと思います。

—試合中のポジショニングは舩曳選手が指示している

でも、アナライザーの上原や石松がしっかりデータを研究して、自分に教えてくれていて、それが本当に大きいです。分析した通りの場所に打球が実際に飛んでいて、本当にありがたいなと思います。試合前のミーティングで毎回、しっかり確認して、それを実践することができています。

—次戦に向けて

まだ一敗もしていないので、このまま無敗で優勝できるように、一戦一戦しっかり戦っていきたいと思います。

 

毛利元哉 外野手

—先制の適時打を放ちました

チャンスだったので、良い当たりではなかったですが、結果的に点が入ってくれて良かったと思います。

—ここまで絶好調です

そうですね。すごく良い状態でできています。

—今日は守備でも良いプレーがありました

この夏、守備を課題にしていた部分もあったので、結果が出て良かったです。

—森下選手の打球は惜しくも捕球できず、悔しそうな表情をしていましたが

あれは打ったバッターがすごかったですね。

—次戦に向けて

明日も多分、右投手を相手にすると思うので、左バッターである自分が活躍できるように頑張っていきたいと思います。

 

【フォトギャラリー】

先制の適時打を放った毛利
先発の朝山は走者を背負いながらも5回を無失点に抑えた
舩曳は2安打を放ちチャンスメイク
朝山の後を受けた鈴木は1イニングをテンポよく抑えた
今日も2安打を放ち、好調を維持している相馬
西山のスクイズで相馬が生還し、ベンチも大いに盛り上がった
3番に座る主将の福田も状態の良さをうかがわせる
9回を三者三振で抑えた三浦は仲島大雅学生コーチらとハイタッチを交わした