●林 優樹(はやし ゆうき)
●守備 投手 ●身長・体重 174cm・64kg
●生年月日 2001年10月29日 ●所属 近江高
●球歴 近江高 ●出身地 滋賀県 ●投打 左左
【写真提供:共同通信社】

 締め切り一週間前にプロ志望届を出した。進路は社会人と伝わっていたから、驚いた関係者も多かったと思う。

 宝刀はチェンジアップ。

「オーソドックスなチェンジアップでレベル、激高」

 ダルビッシュ有が林についても褒めるツイートをしている。

 昨年の夏の甲子園、このチェンジアップがクローズアップされる。

 1回戦、智辯和歌山との1回戦でリリーフして3回を無失点に抑える好投。優勝候補を破って、周囲を驚かせる。その年、ドラフト指名される林晃汰(現広島)からチェンジアップをインコースの落とし三振を奪った。

 2回戦、前橋育英戦は6回、次の常葉大菊川戦は先発して8回3安打11奪三振。4人の投手の継投で相手打線をかわし、ベスト8に進む。細身の2年生左腕の存在感が光った。

 しかし、金足農とは好ゲームを展開したが、2ランスクイズを決められ、逆転サヨナラ負け。その鮮烈なシーンはまだ、記憶に新しい。

 そして今年、林は安定感を増して、大エースとなって春の近畿大会で優勝。甲子園に帰ってきた。また、キャッチャー有馬ら、昨年からのメンバーが6人残り、優勝候補の一角に挙げられていた。

 1回戦は東の横綱、東海大相模と。屈指の好カードとなった。

 林は4回に味方のエラーで1点を失うと、6回にはまた2失策がからんで3失点。9回、完投したが計6点を奪われ、自責点1で敗戦投手になった。

 近江は6失策。滋賀県大会、無失策だったので、悔いの残る結果だったか。

 林と有馬。昨年からのコンビ。〝バッテリー大賞〟があったとしたら、この二人が受賞するような美しいバッテリーだった。

 帽子のつばには“日本一のバッテリー”と書いて、頂点を目指した二人。涙を流しながら林はこう言って有馬を称える。

「有馬がいなかったら今の自分はいない。誰にも負けない日本一のバッテリーだと思う」

 一方の主将の有馬は淡々と答えた。

「林は打たれたのは6本だけ。今までで最高のピッチングをしてくれた。軟投派の投手だからこそ、自分もリードの勉強させてもらった。林と出会えたことに感謝したい」

 ノーワインドアップから体をひねって右足を高く上げる。身長は大きくないが、ダイナミックで大きなフォームだ。ストレートの最速は136キロ。ただし甲子園では133キロまでだった。

 ヤクルトの石川タイプと言うスカウトが多かった。

「小柄で細身だけど、指先の感覚がよさそう。球種の緩急、投球術で勝負できる。ピッチングのセンスを感じる」

 WBSC U-18ベースボールワールドカップにも貴重な変則投手として選ばれる。3試合に登板したが、韓国戦でタイブレークからバントを自ら悪送球して逆転負けのきっかけを与えてしまった。この痛恨の負けがプロへの道を急がせたのかもしれない。

「勝てる投手になりたい」という。プロでのお手本はいくらでもいる。

(文・清水岳志)