写真:村上恭和総監督(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部

Tリーグ、2年目のシーズンが開幕した。

前卓球女子ナショナルチーム監督として、福原愛、石川佳純、伊藤美誠らを率い、2016年リオ五輪で銅メダルを獲得した村上恭和氏は、総監督を務める日本生命レッドエルフをTリーグ・女子初代王者に導いた。




写真:日本生命レッドエルフを初代女王に導いた村上恭和監督(写真右)/提供:©T.LEAGUE

そんな名将・村上氏が見据えるTリーグ第2シーズンの展望は。そしてその先にあるTリーグと日本の卓球の未来とは――。

開幕戦のポイントは「試合内容じゃない」

――Tリーグ第2シーズンが開幕しました。昨晩も開幕戦に相応しい熱戦(日本生命 2-3 KA神奈川)でしたね。
村上恭和総監督(以下、村上):開幕戦の一番のポイントは試合内容じゃないところにありまして…。

――試合内容じゃないところ?
村上:はい。女子の開幕戦。しかも大阪でどれだけのお客さんが来てくれるか。これが一番の心配事でしたね。

特に僕は大阪に30年以上住んでいるから分かるんですけど、卓球を観に行く文化が定着していないから、どんなことをしてもお客さんは今まで沢山は集まらなかったんですよ。

それで、去年の全日本選手権(大阪開催)で初めてあれだけ来て…。

でも、(昨季の)Tリーグではまだお客さんの数は大したことはなかった。で、それが(女子開幕戦では)3000人ですか…?大雨の中の3000人やから、晴れてたら3500人は来てたんじゃないかな(笑)。だからすごいなと。Tリーグの効果はあるなと思います。




写真:3,046人の観客が女子開幕戦を盛り上げた/撮影:ラリーズ編集部

――どのような取り組みをされてきたのでしょうか?
村上:まず1シーズン目でリーグもチームもいろんな広報をしましたよね。テレビ放映もして頂いて、ファイナルでいい試合が全国に流れていた。そういうのを見た人と、もうひとつは評判を聞いた人がいっぱいいましたね。

それで『ああ、開幕は大阪なんか』と。『今年は一回見に行こうか』と。そういう流れがちょうど開幕戦であって、いいカードだったから。まあ僕も頑張って集めましたけど(笑)。

――日本生命の応援団や、ハッピを着た方の息の合った応援も会場を盛り上げていました。
村上:うん。あれはね、うちが呼んだ人に対してこれを着て応援しましょうと。




写真:日本生命レッドエルフの大応援団/撮影:ラリーズ編集部

初代王者に導いたチーム戦略




写真:日本生命レッドエルフ/撮影:ラリーズ編集部

――去年なぜ優勝できたかについて教えて下さい。レギュラーシーズンでは木下アビエル神奈川が18勝3敗で独走状態でした。


村上:うちは13勝8敗。

――そうですね。勝ち点では17点差もありました。その相手をどうしてファイナルでは倒せたのでしょうか。
村上:まずTリーグは長丁場で、特別なルールがある。その中で選手の登録を試合によって使い分ける。そういうことができる試合なので、戦力っていうのは総合力で見た方がいいですね。

――なるほど。総合力の勝負だと。
村上:そして、ファイナルを優勝したチームがチャンピオンっていう確実な定義があったから、まあ、申し訳ないように聞こえるかもしれないけど、分かりやすく言えば(レギュラーシーズンの)21試合は予選リーグなんですよね。

で、ファイナルは一発決勝なんです。このシステムが良いか悪いかはまだわからない。でもこれが今のシステムですから(笑)。

――予選と決勝で分けて考えていたということですね。
村上:そういう状況だったから、うちは当然2位までに確実に入るためにシーズンを通して数多くの選手を使ったし、そして決勝では一番、つまり21戦あった中でのベストを使った。つまり第1ステージで13勝8敗の2位という結果で(1位とは)大差をつけられているけど、それは見た目が違う。

――作戦勝ちですね。
村上:作戦と言えば、うちのトップがオリンピックを狙ってるから、全ての試合には出られない。だから、うまく勝つ試合と外せる試合を分けたらこういう結果になりましたね。

今シーズンの展望




写真:早田ひな(写真右)にアドバイスする村上監督/撮影:ラリーズ編集部

――今年に関しては、長いシーズンはどのように戦いますか?
村上:今年も基本は一緒ですね。レギュラーシーズンの1位と2位が決勝ですから。

ちょっと変わったのが、中国選手や韓国選手が減ったこと。ただ、日本人はほぼ一緒ですから、4チームの戦力もほぼ一緒じゃないかなと思ってます。

――去年、日本生命は中国選手同士のダブルス(常・蒋ペア)が12勝5敗と強かった。ダブルスが抜けた穴についてはどのようにお考えでしょうか?
村上:ダブルスだけ見れば木下(アビエル神奈川)さんがすごく有利ですね。長﨑・木原ペアは、Tリーグ以外でも組んで結果を残しているし、ずっと固定して強化できるから、そこは有利じゃないですかね。

実業団時代から続くチーム文化




写真:田希志(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部

――田志希(チョン・ジヒ)選手の獲得は元々狙っていたのでしょうか?
村上:昨年活躍した2名が参戦できないとなると、ダブルスに不安がありますよね。左の選手を探してましたから、それで(トップ名古屋から)自由契約になってすぐに、これはいいんじゃないかと。




写真:日本生命レッドエルフのベンチ/撮影:ラリーズ編集部

――田志希選手は開幕戦で見事勝利しました。その際の日本生命のベンチワークがすごく良かった。森選手と前田選手が一生懸命応援していましたし、時折「加油(ジャーヨ)」と中国語でも声をかけていた。チームの応援文化は実業団時代からの積み重ねなのでしょうか?
村上:チーム戦しかない日本リーグを10年以上戦ってきたわけだから、団体戦で勝つためのチームは出来上がっていた。ちゃんと専用の練習場があって、寮があって、チームメイトと一緒に生活して練習しているチームは、Tリーグ男女通じて無いんじゃないですか?

※取材日:8月31日
文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)