9月17日、チャンピオンズリーグ(CL)が開幕する。欧州の新シーズンは8月中に始まっているが、CL本大会で常連のビッグクラブにとっては、いわばオープン戦のようなもの。たいていはCLの開幕に照準を合わせて調整を図っている。

グループA 
パリ・サンジェルマン、レアル・マドリード、クラブ・ブルージュ、ガラタサライ
グループB
バイエルン、トッテナム・ホットスパー、オリンピアコス、ツルヴェナ・ズヴェズダ
グループC
マンチェスター・シティ、シャフタール・ドネツク、ディナモ・ザグレブ、アタランタ
グループD
ユベントス、アトレティコ・マドリード、レバークーゼン、ロコモティフ・モスクワ
グループE
リバプール、ナポリ、ザルツブルク、ゲンク
グループF
バルセロナ、ドルトムント、インテル、スラビア・プラハ
グループG
ゼニト、ベンフィカ、リヨン、ライプツィヒ
グループH
チェルシー、アヤックス、バレンシア、リール



レアル・マドリードでスペインでのデビューを飾ったエデン・アザール

 レアル・マドリードは、この週末に行なわれたレバンテ戦の後半、エデン・アザールをスペインリーグにデビューさせた。チェルシーから推定1億ユーロ(約120億円)で入団するも、左腿を痛め、戦列を約1カ月間、離れていたアザール。満を持しての登場だった。

 そこでアザールは、本来の快活なプレーを披露した。4-3-3の左ウイングながら、逆サイドを担当するヴィニシウス・ジュニオールと機を見てポジションを入れ替える、多彩な側面を見せた。18日に行なわれるCL初戦、パリ・サンジェルマン(PSG)戦に期待したくなるプレー、とはこのことである。

 アザールのレアル・マドリードへの移籍は、バロンドール受賞に近づいたことをも意味している。同賞は長年、リオネル・メッシ(バルセロナ)とクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)の2大巨頭が交互に獲得してきたが、2018年にルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)が獲得したことで様相は一変。2人の時代に終止符が打たれ、他の選手にチャンスが巡ってきている。CLにおける活躍は評価の一番の対象だ。

 初戦でレアル・マドリードと対戦するPSGでも、週末のフランスリーグ、ストラスブール戦で、バロンドール候補が復帰を果たした。バルセロナへの復帰を望んでいたネイマールだ。結局それは実現せず、PSGに残留することになった。地元ファンから冷たい扱いを受けていたが、チームがCLで悲願の初制覇を狙うには不可欠な存在だ。こちらもアザール同様、初戦の大一番を前にした国内リーグに満を持して登場してきた。

 PSGは現在、エディンソン・カバーニ、キリアン・ムバッペらが故障で戦線離脱中。レアル・マドリード戦は、ネイマールが復帰しても苦戦必至とみられるが、今季の開幕を飾る一番の好カードであることに変わりはない。

 両チームが所属するA組は、この他にクラブ・ブルージュとガラタサライがいる。日本人チャンピオンズリーガーのひとり、長友佑都が左サイドバックとして相変わらず頑張っているガラタサライは、10月1日にPSGと、10月22日にレアル・マドリードと対戦する。長友にとっては、代表戦よりもこちらの方が何倍も晴れ舞台に相当する。活躍を見守りたい。

 昨季のCLを制したリバプールは攻撃型のチームだ。モハメド・サラーを中心に、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノのFW陣がまず取り沙汰される。しかしブックメーカー各社が2019年のバロンドール本命として推しているのはリバプールの別の選手だ。センターバック(CB)のフィルジル・ファン・ダイク。もしその予想が的中すれば、攻撃系の選手以外が獲得することになるわけで、それは2006年のファビオ・カンナバーロ(現広州恒大監督)以来13年ぶりの快挙ということになる。

 上記のアタッカー陣は、こう言っては何だが、替えが利く。サラーがいなくても、他の選手で補うことができる。だがファン・ダイクは難しい。チームにとって欠けたら最も困る一番の選手になる。いまや欧州一と言うより世界一のCBといって過言はない。

 そのリバプールが初戦で対戦する相手は、名将カルロ・アンチェロッティ率いるナポリだ。両者は2年連続、グループリーグで対決することになった。昨季はPSGと三つ巴の争いになり、リバプールが総得点の差でナポリを抑え2位に滑り込んでいる。その段では正直、リバプールが優勝しそうなチームには見えなかった。それを機に調子を上げていった印象だ。

 そのナポリとリバプールは初戦でさっそく対決する(17日)。CL2連覇を懸けて戦う今季のリバプールの行方を占うにはもってこいの対戦と言える。

 このE組には、ゲンクとザルツブルグも同居、両者も初戦で対戦する(17日)。伊東純也対南野拓実+奥川雅也の戦いだ。いずれもCLは初出場。伊東、南野はもちろんだが、とりわけ奥川にとっては名を売るチャンスだ。国内リーグでも出場機会を得ているので、チャンピオンズリーガーになることも確実視される。もしゴールでも挙げれば、日本代表に招集せざるを得ない存在になる。たとえば、ファン・ダイクを相手にどんなプレーをするか。健闘を期待したい。

 チェルシーからレアル・マドリードへ移籍したアザールと同じぐらい大きな話題を呼んだのは、アトレティコからバルセロナへ移籍したアントワーヌ・グリーズマンだ。バルサは2年前、PSGに移籍したネイマールの代わりに、リバプールから1億6000万ユーロ(約192億円)という移籍金を払ってフィリペ・コウチーニョを獲得した。ところが彼は、金額に相応しい働きができないまま今季バイエルンに放出された。

 グリーズマンは少なくともコウチーニョより、何倍も戦力になるだろう。両者の一番の差はユーティリティ性。バルサはメッシ頼みのサッカーから脱却しないとCL優勝は望めない――とは衆目の一致するところだと思うが、多機能的で使い勝手のいいグリーズマンの加入で、メッシ頼みの体質からどれほど脱却できるか。

 メッシは開幕戦のドルトムント戦(17日)に間に合うかどうか、微妙な状況だというが、グリーズマン、メッシという左利きの2人が3FW体制の中でどう共存するのか。見てみたい気がする。

 バルサはさらに、昨季ベスト4入りしたアヤックスから、その立役者として活躍したフレンキー・デ・ヨングも獲得。グアルディオラ的な雰囲気を持つこの若手の活躍もチームの変革には不可欠だ。

 アヤックスは、昨季CBとして活躍したマティアス・デ・リフトの移籍も余儀なくされた。獲得したのはロナウド擁するユベントス。この20歳になったばかりのCBもなかなかの選手だ。近い将来、オランダ代表の先輩、ファン・ダイクに迫る選手になること請け合いだ。

 ユベントスが初戦で対戦するのは、昨季のラウンド16で名勝負を演じたアトレティコ(18日)。グリーズマンをバルサに持っていかれたアトレティコは、しかしポルトガル代表でデビュー戦を飾ったジョアン・フェリックスをベンフィカから獲得。そしてこの19歳のアタッカーは早くもスペインリーグで大物感を振りまいている。

 アトレティコ対ユベントスは、ジョアン・フェリックス対デ・リフトの対戦だと敢えて言い切りたい。

 今季のCLには彼らに代表される期待の若手が、続々デビューを果たしそうだ。PSGのMFアディル・オウシシェ(フランス・17歳)、バルサのFWアンス・ファティ(ギニアビサウ・16歳)、バレンシアのMFイ・ガンイン(韓国・18歳)など枚挙にいとまがない。昨季、すでにデビューを飾っているレアル・マドリードのヴィニシウスもまだ19歳だ。久保建英(マジョルカ)もうかうかしているわけにはいかないのである。