東京六大学野球秋季リーグ戦 第1週 早大1回戦
2019年9月14日(土)
神宮球場

秋連覇に向けた開幕戦。初戦を取り、勢いをつけたいこの一戦で、青木久典監督は先発のマウンドを高田孝一(法3)に託した。高田孝はその期待に応え5回無失点。先発として申し分のない働きを見せると、打線は4回、相馬優人(営4)の技ありの適時打で先制に成功する。すると法大は好投の高田孝を代え、5回から継投策を敢行。6、7、8、9回をそれぞれ一人の投手に任せた。この起用に中継ぎ陣が応え、見事早大打線を完封。1—0で接戦を勝ち切り、開幕白星を手にした。

相馬の先制打がそのまま決勝点となった

戦評

 青木久典監督の復帰とともに、秋の挑戦が始まった。昨季の雪辱を果たすべく臨んだ早大戦。開幕カードは絶対に落とせない。

 法大の第1先発は、昨季5試合に出場した高田孝一(法3)に託された。「オープン戦の頃から真っすぐの調子は良かった」と高田孝。150㌔近い直球で、早大打線を圧倒する。スコアボードに0が並び、緊迫した攻防が続く中、均衡を破ったのは法大だった。4回表、佐藤勇基(法3)が左前打を放ち、好機をつくると、続く安本竜二(営4)が四球でつなぐ。そして迎えるは8番・相馬優人(営4)。低めの変化球を上手く捉え、右前適時二塁打で1点を先制した。投げては高田孝は5回までに早大打線を2安打に抑える投球を披露。5回を終えて1点のリードで前半戦を折り返す。

相馬の適時打で生還した佐藤勇(右)と得点に沸くベンチ

最大の危機は6回裏に訪れた。高田孝に代わって登板した石川達也(キャ3)が連続四球で1死一、二塁の場面をまねくと、打席には早大の主軸を担う加藤雅樹。ボール球が先行し後がなくなる状態となるも、優勝した昨秋に何度も法大の窮地を救ったのが石川だ。最後は外角高めに威力ある直球を投げ込み、打球は相馬のもとへ。難しい打球だったが、相馬・福田光輝(人4)の二遊間がきっちりと併殺にしとめ、このピンチを脱した。守備の要が真価を見せつけ、流れを引き寄せた法大。しかし、追加点を奪いたかったものの、早大の先発・早川隆久もテンポの良い投球で追加点を許さない。

この日最大のピンチを併殺で凌いだ石川(中央)

そして、7回裏。またしても逆風下にさらされた。3番手の柏野智也(営3)が2死二塁のピンチを迎える。さらに、続く8番・小藤翼に対しては、振り逃げで進塁され、2死一、三塁に。しかし、昨季、防御率0.00と安定していた柏野。続く代打・田口喜将を右飛に打ちとり、見事に守り切った。

 その後、8回裏に登板した新井悠太朗(営4)、最終回に登板した三浦銀二(キャ2)がそれぞれ3者凡退で抑え、白熱した投手戦を締めくくった。5人の見事な継投で、幸先の良い白星発進となった法大。猛打賞の相馬が「全員でつかみ取った勝利」と語るように、秋連覇を目指す『結束』は確かに強まっている。今季の法大は、総力戦で他の追随を許さない。

(塚本花穂)

クローズアップ:高田孝一

 秋連覇を目指す今季の大事な初戦、その先発マウンドに立った高田孝一(法3)はどこまでも冷静だった。

 初戦の先発候補にエース・三浦銀二(キャ2)や副将の朝山広憲(法4)が名乗りを挙げる中、その枠を確かな実力で勝ち取った高田孝。オープン戦からの調子を維持し、その自信を胸に、開幕戦のマウンドに上がった。初回から2奪三振で上々の立ち上がりを見せた高田孝は、その後もオープン戦から走っていた真っすぐを中心に早大打線を封じ込め、付け入る隙を与えない。5回を終えて2安打無失点。このまま続投すると誰もが思っていた。しかし6回、自身の打席で代打を送られ、そのまま降板。残る回は中継ぎ陣に託し、高田孝はマウンドを降りた。

 「結構最初から飛ばしていたので、あとは後ろ(の投手陣)に託そうという思いでした」。オープン戦から早めの継投で試合を作っていた今季の法大投手陣。先発の役割は長いイニングを投げることではなく、初回から全力で投げ、最少失点で後に託すことだった。その『形』を本番で体現すべく、高田孝は自身の役割を全うした。結果、後を受けた石川、柏野、新井、三浦はそれぞれ1イニングを無失点で抑え、早大打線を完封。昨季の反省から作り出した今季の『投手陣の形』は、初戦で、高田孝がその土台となり、体現された。

 後ろを信じ、結束することが今季の法大投手陣の『形』。初戦でみせたこの投手リレーは高田孝の自信になり、投手陣全体の自信となった。もし、高田孝が5回以降に続投したとしても、完封していたかもしれない。しかし、初戦で見せたこの5人の投手リレーは、今季のこれからの戦いに向け、投手陣全体にとって大きな意味を持つことになったに違いない。

 「『勝ち』に貪欲になって、しっかり、自分のプレーで、いつも通り」。高田孝は試合後、冷静に語った。今季の法大投手陣を、これからの法大投手陣の『形』を支えるのはこの男であると、そう確信せざるを得ない。

(山﨑有馬)

選手インタビュー

高田孝一 投手

—今日の試合を振り返って
法政の開幕戦ということで、一発目が大事だと思っていました。その一発目で自分のピッチングができたので、それはすごく良かったと思います。

—初戦の先発ということはいつ伝えられましたか
昨日の練習後です。監督から伝えられました。

—開幕戦の先発と聞いて思ったことは
開幕戦ということを意識しすぎずに、いつも通りのピッチングをしようということは心がけていました。

—今日は初回から飛ばしていたように見えました
オープン戦から良い調子が維持できているので、自分のピッチングをすれば大丈夫だと思って、思い切りいきました。

—好投を続けていた中、5回での降板となりました
オープン戦の頃から、相手の2巡目を目処に継投をするということをしていて、それが今季の投手陣の形となっていたので、予定通りだったと思います。

—5回以降も投げたいという思いは
結構最初から飛ばしていたので、あとは後ろ(の投手陣)に託そうという思いでした。後ろに良いピッチャーはいっぱいいるので、継投で良かったと思います。

—具体的に良かった球は
オープン戦からずっと良かったのですが、真っすぐで1巡目を押せたので、それは自信にもつながりました。

—夏から成長した部分は
春のリーグ戦は力任せでただ投げるという形だったのですが、春が終わってからもう一回ミットに向かって丁寧に力まずに投げるということをずっと意識していました。その取り組みが実を結んでいると思います。

—次戦以降に向けての意気込みをお願いします
『勝ち』に貪欲になって、しっかり、自分のプレーで、いつも通りやっていきたいと思います。

石川達也 投手

—今日の投球を振り返って
今日は自分でピンチを作って、結果的に抑えたんですけど、内容は全然良くなかったので、明日以降はもっと良いピッチングができるように頑張りたいです。

—具体的な反省点は
自分からボール先行にしてしまってフォアボールを連続で出してしまったので、今日は1点差ゲームだったので、そういう所が一気に流れを相手に与えてしまうので、そういう所をもうちょっと自分で喝を入れてもっと頑張ります。

—ピンチの場面で早大・加藤選手が粘っていましたが、その時の心境は
(カウント)ノースリーで、ちょっとマウンドに弱気になることもあったんですけど、バックの先輩の福田さんとか相馬さんとかいろんな人が声をかけてくれて、「負けられないな」という気持ちになって、そこでエンジンがかかったというか。そこで粘りきれたというのはバックの人のおかげだと思います。

—細かな継投でしたが、誰がどこで投げるなどは決まっていた
いや、予定はなかったんですけど、高田が5、6回までというのだけは決まっていました。後の刻みの継投は一切何も伝えられてはいなかったです。

—久しぶりの神宮のマウンドでしたが
試合前は緊張しないかなと思っていたんですけど、いざマウンドにあがってからは1-0の僅差の好ゲームということもあって、少し緊張も出ました。多分力も入ってああいうピッチングになってしまったので、今日は結果は悪かったですけど、良い経験をしたと思うので、明日以降につなげていきたいです。

—次回以降の登板に向けて
また今日みたいな場面があると思うんですけど、今日みたいなピッチングはもう今季はしないように。みんなが安心して見ていられるようなピッチングをしていきたいと思います。

 

三浦銀二 投手

—今日の投球を振り返って
クローザーという役職で投げるということを言われていて、その中で初めての公式戦だったので緊張しました。9回だけというより、終盤の1、2回を投げるという風に言われていました。

—今後どこで投げるかは決まっている
多分このまま後ろだと思うんですけど、先発で投げる機会があればその時は頑張りたいなと思います。

—試合終了後、安心したような表情をされていましたが
やっぱり先発とは違う緊張感の中で投げていたので、それは緊張感を味わったという意味でもホッとしました。

—次回以降の登板に向けて
次の登板でも与えられた以上の仕事をしていければいいかなと思います。

 

相馬優人 内野手

—今日の試合を振り返って
初戦を取れたことは、チームにとってすごく大きいことだと思います。

—今日は投手戦となりました
高田が試合をつくってくれたので、本当はもう少し、野手が応えなければいけなかったんですが…。投手陣がしっかりと抑えてくれたので、心強かったです。

—6回裏の併殺を振り返って
緊張したんですけど、ここでゲッツーが取れたらこっちに流れが来ると思ったので、何としてでも取りに行きました。難しいプレーでしたが、自分を信じて前に出れたので、よかったと思います。

—自身のコンディションは
だいぶ上がってきたので、コンディションは…絶好調です(笑)。

—試合前のチームの雰囲気は
全員で向かっていく姿勢、全員で結束して勝つということが、チームの中で浸透してきていると思います。今日の勝利もみんなで掴み取ったものなので、よかったです。

—次戦に向けて
今日の試合はもう忘れて、明日はまた明日で自分のやるべきことをしっかりやります。今日は投手陣がすごく頑張ってくれたので、僕達野手陣がピッチャーのためにしっかり踏ん張りたいと思います。それで、勝ちたいです。

 

佐藤勇基 内野手

—今日の試合を振り返って
1ー0というスコアだったんですけど、良いゲームができて、勝ち切れたということが一番良かったかなと思います。

—自身は2安打を放ちました
僕は試合に出させてもらっている立場なので、がむしゃらにやるだけだと思っています。その結果が今日の2安打につながったと思っています。

—6番という打順で意識したことは
そうですね、僕に求められていることはとにかく塁に出ることだと思うので、そのことを心がけながら打席に入るようにしています。

—今季から三塁手に挑戦されています
(打者との)距離が近い分、最初は戸惑う部分があったんですけど、オープン戦で実践を積むうちにだんだん慣れてきて、良い感じになってきていると思います。

—最後に明日以降に向けての意気込みをお願いします
明日勝たなければ勝ち点は取れないので、明日、頑張ってまた勝ちたいと思います。

 

フォトギャラリー

今季のチーム初安打は主将のバットから生まれた
6番・三塁手で先発出場を果たした佐藤勇はマルチ安打で勝利に貢献
相馬の先制打がそのまま決勝点となった
右前打を放った舩曳
今季初の盗塁を決め、笑顔を見せる舩曳
3番手で登板した柏野
新井は気迫あふれる投球で1イニングを三者凡退に抑えた
クローザーとしての役目を果たし、安堵の表情を浮かべる三浦