9回表1死一塁、月曜日の神宮球場にはチャンス曲『コンバットマーチ』が響き渡る。5番・のたたいた打球は無情にも遊前へ。6-4-3の併殺プレーが完成する。歓喜に沸く三塁側応援席と慶大ナイン。それを横目に早大ナインは足早にダグアウトを引き上げた。

 あの日からおよそ3カ月、東京六大学秋季リーグ戦がいよいよ開幕する。初戦の相手はタレント軍団・法大。投手力を生かし接戦に持ち込みたい。

 やはり開幕戦での先発が予想される三浦銀二(2年)を捉えなければ、事は始まらない。これまで1回戦で三浦と対戦したことは二度ある。一度目は昨秋、当時ルーキーの三浦に9回散発3安打1得点と抑えられ大事な開幕戦を落とした。二度目は今春、負ければ優勝が絶望的になるという一戦で完封負けを喫した。結果、昨秋は同カードを落としたことで後に12季ぶりの優勝を決める法大に勢いを与え、今春は三浦に敗れた翌日に2回戦を待たずして優勝への望みが完全についえた。これまで二度、若き法大エースに辛酸をなめさせられてきたのだ。


いまやリーグ屈指の右腕となった三浦

 三浦を攻略するには、二人の打者がキーマンとなる。不動のリードオフマンと中軸を担う檜村だ。瀧澤、檜村の対三浦の通算打率は共に4割超えとよく打っている。『瀧澤が出塁し、好機で檜村に回す』というかたちをつくることができれば、得点が期待できる。そこからさらに今夏好調だった、夏季オープン戦終盤でのアピールに成功したへとつながれば、複数得点の機会もうかがえる。


三浦との相性が良い檜村の前に走者をためたい

 それでも本格派の好投手・三浦から大量得点を奪うことは見込めない。今春リーグトップの17本塁打、64打点を記録した超重量・法大打線の反撃を最少失点に食い止める必要がある。中でもプロ注目の強打者・宇草孔基副将(4年)には警戒を強めたい。パワーだけではなく高いミート力とスピードもそなえた宇草。昨秋3回戦では延長11回に勝ち越しの右越え本塁打を放ち、今春3回戦では先発・からバックスクリーンへ特大の一発をたたき込んだ。甘く入った球は決して見逃してくれない。1回戦での先発が予想される早川は、宇草相手に限らず球を低めに集め長打を避けたいところだ。ブルペンにはやなど実績のある救援陣が待機。早川と2回戦での先発が有力なには、一人ずつ丁寧に抑えていくことが求められるだろう。


1回戦での先発が予想される早川

 「秋、確実にチーム力を上げる自信はある。あとは選手たちがどれだけやる気になってくれるか

 春の最終戦後、は語気を強めた。迎えたこの夏、チームには一つの『変化』が見られた。オープン戦が組まれた日でもその試合後、大粒の汗を垂らしながらバットを振り込む野手。その姿に感化され、や早川を中心に、投手陣が走り込みの強度を上げることもあった。「この夏はたくさん練習した」。各選手からは充実感をうかがわせるセリフが口々に飛ぶ。ただの根性論ではない。中心選手で話し合い、新たな練習をも取り入れた。いまチームは『ONE』になろうとしている。夏にまいた種を秋に実らせるべく――。早大野球部は神宮球場へと乗り込む。

(記事 石﨑開、写真 石﨑開、宇根加菜葉、江藤華)