連載第4回は早実高出身の4年生トリオ・富田直希(教)、田口喜将(商)、山田淳平(教)。7年の付き合いとなる三人のエピソードからは、仲の良さがひしひしと伝わってきた。高校時代から立場を変え異なる役割を担う今、彼らはどのような思いでラストシー…

 連載第4回は早実高出身の4年生トリオ・富田直希(教)、田口喜将(商)、山田淳平(教)。7年の付き合いとなる三人のエピソードからは、仲の良さがひしひしと伝わってきた。高校時代から立場を変え異なる役割を担う今、彼らはどのような思いでラストシーズンを迎えるのか。その心境を語っていいただいた。

※この取材は9月6日に行われたものです。

夏場の練習内容は


華麗な守備が最大の魅力である富田

――東京六大学春季リーグ戦(秋季リーグ戦)3位という結果を振り返っていかがですか

田口 本当に悔しかったです。去年リーグ戦に出ることができて結果もある程度出せたので、今年も結果を残せるように頑張ろうと思っていたんですけど、全く打てなくてうまくいきませんでした。自分としても悔しかったし、チームとしてもとても悔しかったです。

山田 チームとして売りしているバッティングが良くて、スタートダッシュも切ることできたんですけど、その中で明大に勝ち切れなかったところから少しずつ難しくなってしまって最終的に3位という結果でした。田口が言っていたように、自分もチームに貢献できなかった部分があったので、そういった面では悔しいシーズンだったなと思います。

富田  そうですね。チームが…あれ、何だっけ?

山田 春3位を振り返って(笑)。

富田 あーすみません。

田口 一番最後だとね、分からなくなる(笑)。

富田 ここぞというときの一本や勝負どころで点が取れなかったのが春の敗因だと思っています。自分自身も2年生以降メンバー入りしていなくてやっと入れた中で、チームに少しも貢献できていなかったと感じているので、すごく悔しいシーズンでした。

――印象に残った試合はありますか

田口 多分みんな一緒だと思うんですけど、明大戦が起点になってしまったと思っています。たらればですけど、勝っていたら勢いに乗ることができた中で、あそこのミスは1試合の重みを感じましたし、ポイントだったかなと思います。

山田 一緒ですね。

富田  そうですね。

山田 (笑)。

田口 そうなるよな(笑)。

山田 一緒だもん(笑)。

――春季リーグ戦が終わってから今までに強化してきた部分は何でしょうか

田口 振り込みまくったよね。

山田 うん。

田口 チーム全体として本当にめちゃめちゃ振りました。量もそうですし、新しい練習も加えました。実際にヒットの本数は出ていましたが、10本打っているのに1点しか入らない試合が多かったので、どうすればいいのかを考えながらですね。夏は四年間で一番きつかったよね?

山田・富田 …。

田口 え…?

山田 (笑)。きつかった。

――新しい練習というのはどういったものでしょうか

田口 (これまでは)バッティングに重きを置きがちだったのですが、次の塁を狙うために走塁をメインとした練習を加えてやっていきました。

――ここまで個人として夏季オープン戦の手応えはいかがですか

田口 …ずっと俺答えてる(笑)。

山田 (笑)。個人だからみんな答えるから大丈夫(笑)。

田口 最初の2週間くらい本当にヒットが出なくて。練習をやっているのに結果が出なくてすごく悔しかったんですけど、そこで腐らずにどんどん練習したことで名古屋遠征あたりから調子が上がってきたので、個人としては良くなっていると思います。けどやっぱりチームとして練習してきたことが試合で出し切れてないと思っています。きょうの試合(△7-7立正大)はみんな逆方向にライナーを打つ意識があってとても良かったと思うので、これを続けられるようにまた練習していきたいと思っています。

山田 個人的には良い感触で打てているときもあれば良くないときもあるという波を自分の中で感じています。ただきのうあたりからまた良い波がきたので、これが続くように頑張りたいですね。手応えは一応あって、徳武コーチ(定祐、昭36昭卒=東京・早実)にいろいろ教えてもらいながらやってきたことが少しずつできてきている感触があります。チームとしてはヒット出ていて、もともとバッティングがいい選手が多いですが、例えばフォアボールはあまり取れていないです。そういうフォアボールを取ったり相手のミスでランナーが出たりというちょっとしたきっかけで劇的に変われると思うので、あまり得点できていないところには負い目は感じていないですね。何とかなるんじゃないかなとは思っています。

富田 …これ何だっけ?

田口 次こっち(富田)からにしよう(笑)。

山田 (笑)。

――夏季オープン戦での手応えをお願いします

富田 売りにしている守備と走塁は安定してできているので、そこは自信になっています。打撃は徳武コーチに指導していただいていることをいろいろ試す中で、自分の納得できる形になってきているので、あとは結果をあまり考え過ぎないでやるだけだと思っています。

――今お話しにもありましたが、自身の強み、特徴を教えてください

富田 守備力が一番自信がありますね。

山田 何だろうな。(田口の方を見ながら)分かんねえなあ。

田口 人に聞いていくスタイル?(笑)

山田 (笑)。いや難しいな。走塁は自信ありますけど、かといって守備はなあ…。3つとも頑張ります(笑)。

田口 バッティングしかないのでバッティングですね。

山田 めっちゃ普通じゃん。

田口 おい。声小さいぞ、これ拾われてないぞ(笑)。

山田 (笑)。

――お三方ポジションが違うと思いますが、ポジションごとの雰囲気を教えてください

田口 レフトは結構一体感あります。

一同 (笑)。

田口 瀧澤(虎太朗、スポ3=山梨学院)とかとです。シートノックが始まるときに自分は結構声掛けをします。内野にはすることはするんですけど、位置が遠いのでレフトで、っていうのが多いですね。

山田 自分はセンターで例えばポジショニングのこととかリーグ戦だとこういうことがあるよ、ということは下級生のセンターには情報を伝えています。

田口 蛭間(拓哉、スポ1=埼玉・浦和学院)が盛り上げてくれていますね。

山田 そうですね。声出して頑張っています。

富田 セカンドは4年生が自分だけなんですけど、こうしたらいいんじゃないかというのをなるべくみんなで言い合うようにしています。

――ここから各自に質問していきたいと思います。まず山田選手にお聞きしたいのですが、外野手リーダーとして何かまとめることはありますか

田口 シートノック前とか?

山田 うん。まあキャプテンの加藤(雅樹、社4=東京。早実)がいるので、加藤が言いますね。何か言ってる俺?

田口 自分とか言いにくい性格なんですけど、ちょっとしたミスとか言いにくいこともすごく言ってくれます。自分もやらなければいけないんですけど、すごくいいなって思います。

山田 ミスには結構言いますね。

田口 言ってくれるので助かっています。

山田 (小声で)ありがとう。

一同 (笑)。

――中堅はレギュラー争いがし烈だと思いますが、ライバル意識はありますか

山田 ライバル意識はないですね。3年生くらいまではそういう意識もありましたが、4年生になってからは自分が自分が、というよりは試合に出なくても個人個人で仕事があるという考え方ができるようになったので、ライバル意識は特にないです。

――他の取材の際に山田選手から中川卓也選手(スポ1=大阪桐蔭)にバットをプレゼントされたとうかがいましたが、どのような思いからでしょうか

山田 思いはまあ打ってほしいからなんですけど(笑)。「山田さんどんなバット使っているんですか」って言ってきて、渡したら「いいっすねえ」って欲しそうな目で言われたのであげました。

田口 あれはあげるしかないよね、ずるいなあ。

山田 そうだね(笑)。

――次に田口選手への質問です。代打での出場機会が多い中で、打席に入るときに心掛けていることはありますか

田口 自分の考え方としては、内容どうこうよりまずは塁に出ること、塁に出られればフォアボールでもボテボテ(の内野安打)でもいいと思っています。なので結果を求めるために打席に入る前はすごく考えて、打席に入ったら何も考えないというか、シンプルに打つことだけを考えています。

――何かルーティンのようなものはありますか

田口 まあ見てくれれば分かると思うんですけど、気持ち悪い腰を入れる動きをしています(笑)。

――ずっと続けられているのでしょうか

田口 あれはもう、ずっと気持ち悪がられていますけどやっています。

山田 (笑)。

田口 ぜひご覧ください(笑)。

――では、富田選手にお聞きします。夏季オープン戦では途中出場の中で高い出塁率を記録しました。好調だった要因はどう分析されていますか

富田 野球人生を通して代打で出るということがなかったので、ただがむしゃらに打てるボールを振っていこうということを考えていました。春季リーグ戦は1打席だけ立てたのですが、タイミングが合わず打てなかったので、(夏季オープン戦では)打席に入る前からタイミングを測ることを意識してやっていました。

――先ほどお話に上がりましたが、徳武コーチから具体的に言われていることなどはありますか

富田 手首の返しが強いのが自分の売りだとおっしゃってくださっているので、力ではなく『はじき』で打てるようにやっています。

――元々得意の守備について意識されていることはありますか

富田 4年生として泥臭くやることが大事だと思っているので、顔でも体のどこでも止めるような泥臭い気持ちでやっています。

田口 めっちゃクールだけどね。

山田 心は熱くね。

――二塁手のレギュラーを目指す中で、秋季リーグ戦に向けて現状はいかがですか

富田 夏からずっとスタメンで出るという機会がないので厳しいとは思うのですが、どんな状況でも与えられた仕事をこなして期待に応えられるように全力でやっていきたいと思っています。

――背番号の4番にはこだわりがあるのでしょうか

富田 いえ、特にこだわりはないのですが、小さい頃から4番だったので、4番をもらえてうれしい気持ちはあります。

部の『推しメン』は…


高校時代からの付き合いであるだけに会話は自然とはずんだ(左から富田、山田、田口)

――では、また皆さんにお聞きします。部の推しメンはいらっしゃいますか

田口 きょういっぱい名前出せって言われてるんだよな(笑)。野球の面では蛭間です。推しメンというか、個人的に頑張ってほしいなと思っています。1年生らしい全力ダッシュもするのですが、自分の意見をしっかり発したり、1年生らしくないところもあるんですよね。山田とはライバルになるのでどっちも勝ってほしいのですが、蛭間にもセンターの座を懸けて頑張ってほしいなと思います。

山田 自分は金子(銀佑、教3=東京・早実)ですかね。早実の後輩だからかわいいというのもあるのですが、来年以降はチームを引っ張っていってもらわなければいけない存在です。きょう周りから聞いた話だと吉澤(一翔、スポ3=大阪桐蔭)がセカンドで出たり出なかったりしていることに対して「すごく悔しい」と言っていたみたいで。それを聞いて、自分としては「あの金子がそんなことを思っているんだな」と正直少し驚きました。きょうの試合でも追い込まれてからすごくバットを短く持って、何とかしようという気持ちが見えたので、「ちょっと金子変わったのかな」と。期待していますね。

富田 自分の推しメンは…。

山田 人に興味ないでしょ(笑)。

富田 やっぱり我らがキャプテン加藤さん(雅樹主将、社4=東京・早実)ですね。

田口 無難にね(笑)。

富田 やっぱり高校、大学と早実からずっとチームを引っ張ってきてくれたので、彼自身もラストシーズンいいかたちで終われたらなと思っています。

田口 よく引っ張ってきたよね。高校の時は問題児だらけだったからね(笑)。

――問題児だらけだったのですか

田口 高3の夏前の仕上げの時期はランニングメニューの強度を上げ過ぎると体にガタがきてしまうんですよね。高校の時、30メートルダッシュを10本やるメニューがあって、その時に加藤が「いくぞ!」と言うのですが、自分たちは「いや、きょうはストレッチにしようぜ」と言ってストレッチにしたりして(笑)。いろいろありましたね。加藤としては自分たちの気持ちも萎えないようにしつつ、でも練習メニューはしっかりやらなきゃということで妥協点を見つけてくれたりいろいろ頑張ってくれていました。加藤が「2本やろう」と言って、「2本でいいの?」みたいなこともあったよね(笑)。でも本当に高校の時も加藤がキャプテンだったから甲子園にも行けたし、大学でも一番辛い立場だと思うけど加藤のためにも優勝したいと思いますね。

――では、プライベートな面での推しメンはいらっしゃいますか

山田 自分は1個下の八田(敦司、人3=岡山・金光学園)です。

田口 あ、それはいいとこいったなー(笑)。

山田 同じ外野手で、ちょっと送球がいろいろ思うようにいかない選手なのですが、頑張って練習している姿もあるし、ムードメーカー的な存在ですごくチームを明るくしてくれる選手です。自分はわりと最近仲良くなったのですが(笑)。

田口 八田はすごく山田のことが好きなんです。外野から返球する時に補助でカットをするのですが、その練習ではもう毎回毎回山田の時に「田口さん、山田さん行かせてください!」って言ってくるんですよ(笑)。これ記事になったら喜んじゃうよね。

山田 それは知らなかったわ(笑)。

――八田選手からの愛があるのですね

田口 他の人が山田のカットに行こうとすると、「おまえやめろ、ポイントアップさせるな」とか「俺のもんだろ」みたいな(笑)。

山田 そうなんだ(笑)。めっちゃおもろいやん。

田口 例えば山田が誰かのこと「〇〇いいね」って言ったら「ちょっとそこまでにしとけよ、これ以上評価上げるなよ」って(笑)。本当にムードメーカーだし面白いですね。3、4年生の外野手でご飯行こうとか、そういう企画とかもしてくれるんですよ。俺も推しメン八田だったわ(笑)。野球でもプライベートでも推せます。

富田 自分は4年の島田くん(幹也、社4=埼玉・早大本庄)です。ムードメーカーなんですけど、実は真面目で(笑)。

田口・山田 あー、そうだね(笑)。

富田 というところが、推しポイントです。

田口 口ではきついこと言うんだけど、実はめちゃめちゃ優しいんだよね。

――最近ハマっていることはありますか

山田 ハマっているアーティストがいます。今まではメンヘラが聞くものだと思ってさげすんでいたんですけど。

田口 西野カナ?(笑)

山田 いや、ワンオク(ONE OK ROCK)。今までは避けていたのですが、いざ聞いたら「いや、ええなあ」って思って。俺メンヘラなんちゃうかって(笑)。

一同 (笑)

富田 自分は今まで部活と就活で忙しくて、やっと夏休みに入ったので、どこかにいろいろ行くことにハマっています。

――最近はどこか行かれましたか

富田 富士山です。登ってはいないのですが、5合目まで行きました。あとはよく吉祥寺にお店を探しに行ったりするようになりました。いろんな友達と行きます。

田口 ハマっていることというか、就活が終わったので、友達と飲みに行く機会は増えました。ここ三人ともそうなのですが、野球と就活が忙しかったので、今は就活から解放されました。

――この夏の思い出はありますか

富田 韓国遠征です。全早慶戦の名古屋からそのまま行ったのですが、ここ二人(富田・田口)で同じ韓国の相手チームと飲みに行ったんですよ。

田口 日韓関係とかいろいろ言われているので、少しビビっていた部分があったのですが、全然そんなことなくて。本当に楽しかったです。

――コミュニケーションはどのようにとったのですか

田口 それが面白くて、LINEのグループに韓国の選手とLINE通訳を入れてやったんですよ。

富田 また12月に東京で会う約束もして。それは本当か分からないのですが、仲良くなりましたね。

田口 韓国のキムチとか、個人的にはすごく辛かったな。食に関しては合ってない人は合ってなかったです。吉澤とかは「日本食食べたい」ってずっと言ってました(笑)。

山田 俺の思い出は野球関連で言ったら寮生のバーベキューかな。今までそういうイベントはなかったのですが、寮の食堂の人が催し物としてやってくださって。オフの日にその辺の公園に寮生みんなで集まって、バーベキューをして絆を深め合ったという素晴らしい企画でしたね(笑)。

富田 田口は髪型じゃない?

山田 あ、確かに。

田口 本当にチームで優勝したくて、やっぱり俺がやるしかないと思って気合を入れて坊主にしました。

山田 では、きょうも剃ってください。

田口 やめろ(笑)。きついんですよこれが。帽子も買ったし。

山田 韓国で帽子買ってたよね。

富田 1人だけ修学旅行生みたいでした。制服で帽子被って(笑)。

田口 本当に嫌だったよー、もう4年生なのに。まあ、チームが勝てばいいってことで(笑)。

「7年一緒は伊達じゃないです」(田口)


東大1回戦で二塁打を放った田口

――では、3人とも早実高出身の同期ということで、お互いの印象をお聞きしたいです。まず富田選手についていかがですか。

山田 これ結構いいやつやで(笑)。

田口 富田は最初に会った時はちょっと怖い印象だったけど、全然そんなことはなかったよね。でも今だから言える思い出に残っていることがあって、それが高校3年生の時の夏の(西東京大会)決勝(東海大菅生戦)です。試合中に大げんかしたというか。その時俺が全然打てていなくて、2回の時くらいに富田に「おまえなんで振らないんだよ!」と言われて、俺も「俺だって打ちたくてやってんだよ!」みたいに言い合いになってしまったんですよね。それで「うわ最悪だわ、どうしようかな」と思っていたのですが、5回終わって整備の後くらいにお互い「あの時ごめんね」って試合中に仲直りして(笑)。試合も、絶対逆転したいという思いはあったけど正直あんなに点差が開いていたらきついかなと思っていました(早実高は7回終了時点で5点のビハインドを背負っていた)。でもその和解を機にかは分からないけど結果的に逆転できて甲子園にも出られていいところまで行けて(ベスト4)、という。元々は本当にすごく仲がいいので今だから言える思い出ですね。

富田 それも、怒っていたんじゃなくて、本当に田口が大好きで。

一同 (笑)

富田 責めたかったわけではなくて、田口が打てなくて悩んでいたので、本当に好きだったからこそゲキを入れたかったというか。熱くなり過ぎてしまったんですけど、気持ちは違うんだぞというのを伝えていて。申し訳なかったと言っています(笑)。

田口 そう言ってくれるのはうれしいですね。思い出話になっちゃったけど。

山田 富田の印象は高校からずっと変わらないかな。大人しくて、あまりものを言わないけど熱いものがあります。前の対談でも同じこと言ったんですけど。

富田 確かに。聞いた覚えがある(笑)。

山田 でも本当にそういう感じですね。違うことだと、練習をすごく真面目にやります。

富田 ありがとうございます(笑)。

山田 春のリーグ戦でも、自分と富田がベンチにいる時とかに「頑張ろうね」みたいな話をしたりしました。だから富田にも本当に頑張ってほしいです。

――では、山田選手への印象はいかがですか

田口 俺は早実の時から守備が駄目駄目で、三塁手だった山田にたくさんカットしてもらって迷惑を掛けていたんです。ミスしたらいろいろ言う人だし実際言われるけど、本当はすごく優しくて。一見すごくオーラがあって後輩から見ると怖そうに思われるところもあるのですが、同級生として一緒にやってきてる中では優しさがあることが分かるというか。むやみに感情任せに言っているのではなくて、ちゃんと理由があって論理的に言うので納得できるんですよね。感情任せではないところが今みんなが付いていっている理由だと思います。それは7年間変わらないね。

山田 ありがとうございます。

田口 恥ずかしいな。なんだこれ(笑)。

山田 好きなの?

田口 ちょっと。みんな好き(笑)。

富田 山田の印象は、チームが認める怖い人ナンバーワンだと思います。

山田 おい、言うなよー(笑)。

富田 僕もそう思うのですが、山田に言われたらしょうがないなと思える。「ああ、山田が言うなら」といつも思っています。でもその中でもさっきみたいに「頑張ってほしい」って優しくしてくれたり。

田口 ずるいよな。一番ずるいよ(笑)。

富田 強さの中に優しさがあるという感じですね。

――では、田口選手についてお願いします

山田 田口は苦労人だと捉えています。でも練習に対して妥協をしないし、本当に周りには優しくてムードメーカー的なところもありますし。

田口 やばい、泣きそう(笑)。

山田 チームの愛されキャラという感じですね。田口が代打で出て打てなかったら、「まあしょうがないよな」と思える。バット振らなくても「ああ、バット出てこないんだな」と(笑)。

田口 おいそれきょうの俺だろ。きょうのオープン戦で見逃し三振してしまって、みんなに、というかほぼこいつ(山田)になんですけどめちゃめちゃいじられました(笑)。

山田 でもそれくらい信頼があるということです。苦労しているところや練習をしている姿を近くで見ているから、そういう思いがありますね。

富田 僕も田口は苦労人だと思っています。それでもプライベートでも野球でも、とても明るくていつも頑張っていて。そういう姿勢とか明るいキャラクターを見ていて、もちろんチームみんな応援したいのですが、個人的には高校時代から一番応援している選手です。田口が打てないと自分も悲しくなっちゃうくらい応援しているというか(笑)。変な意味の愛とかそういうのではないですが、純粋に本当に頑張って欲しいなと一番思っています。

田口 今の、ここ数カ月の中で一番うれしかった(笑)。

山田 この場を借りて聞いていい?高校の時、俺とティー(ティーバッティング)やってたじゃん。あの時に俺が変な球投げてたから打てたんだよね?

田口 ちょっとニヤニヤしながら意味分かんないところにボールを投げてクスって笑ってたりするんですよ。

山田 田口の練習になると思ってやってたんだよ。

田口 それのせいにしておくわ。いや、でもここはいろいろ関係のある組み合わせなんですよね。山田とはティーやってたし。

山田 懐かしいね。

田口 7年一緒は伊達じゃないです。でも早かったかな。山田とかあんなに小さかったのに高1の夏からメンバーに入っていて。

富田 加藤と二人だけね。

田口 きつそうな思いをしているのを、ベンチ外から見ていました。

山田 テレビに映ろうと思って監督の横に行ったりしたな(笑)。

ラストシーズンでの役割


明大1回戦で打席に立つ山田

――では、秋季リーグ戦に向けてのお話に移ります。自身のやるべきこと、個人の目標についてお聞かせください。

山田 自分の目標はすごく明確で、代打で打って結果を出すことです。さっき言ってくれたように、自分が出て打てなかったらしょうがないと思ってもらえるのはうれしいのですが、自分としては一生懸命やることは当たり前なので、内容よりも結果にこだわってやっていきたいと思っています。代打として出たら打点を稼ぎたいですし、でも良いバッターはたくさんいるので最悪アウトにならないことを考えてチームに貢献したいなと思っています。

山田 自分は試合に出ようが出まいが、4年生としてこれまで背中で引っ張ってきたので、そういう姿勢を最後まで示し続けていきたいなと思っています。プレー面ではどうしても打ったり打てなかったりミスがあったり、そういうものなのですが、姿勢や態度というのは変えずに示し続けていけるものだと思うので、野球の成績云々というよりはチームを支えていけるような存在として秋を戦っていきたいなと思います。

富田 どんなかたちであっても、チームの勝利に貢献することです。そして何か少しでもチームや後輩に残せるように、全力でやっていきたいと思います。

――秋季リーグ戦でのキーマンをあげるとするならばどなたでしょうか

田口 1人ではないのですが、自分は4年生全員だと思っています。出る人は結果を出すことが当たり前だと思うのですが、ベンチにいる4年生がどういう振る舞いをするかなども大切になってくると思うので、4年生がそれぞれ与えられた役割をしっかりと果たすことがチームとして大事だと思っています。

山田 一緒ですね。

富田 同じです。

――最後に改めて、秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

田口 一番は優勝して、日本一になることです。自分たちの代は4年間で一回も優勝できていません。その目標に向けてこの夏一生懸命やってきたし練習量もこなしたので、自信を持って挑んで優勝したいなと思います。

山田 自分も優勝したいという思いで練習をしてきたので、もちろん優勝というのが最大の目標です。でも、自分は16年間野球をやってきて、この秋が野球人生最後になります。そういった意味では、今まで支えてくれた家族や野球を通じて携わってきた人、そして応援してくれた友達がいるので、そういう人たちの期待に応えられるような終わり方をしたいなと思っています。それがどういうかたちでと言われると難しいのですが、そういう姿勢で全力でやり切る姿を見せたりだとか、そういったことは絶対に忘れず感謝の気持ちを持ってプレーしたいと思います。

富田 僕も野球人生ここで終わるので、支えてもらった人たちに対する感謝の気持ちをプレーだけではなく、姿勢で見せられたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小松純也、宅森咲子)


秋は4年生の活躍が必要不可欠。旧知の戦友・加藤主将を全力バックアップします!

◆富田直希(とみた・なおき)(写真左)
1997(平9)年6月27日生まれ。176センチ、80キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。内野手。右投左打。落ち着いた雰囲気で、丁寧に質問に答えてくださった富田選手。内に秘めているという熱いハートが垣間見える瞬間は訪れるのでしょうか。最後のリーグ戦は支えてもらった人たちに『感謝』の気持ちを示します!

◆山田淳平(やまだ・じゅんぺい)(写真中央)
1997(平9)年9月7日生まれ。170センチ、68キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。外野手。右投左打。強さの中にも優しさがあると紹介のあった山田選手。揺るぎない姿勢で後輩たちをまとめ上げてきました。最初で最後の優勝へ、この秋も『雪中松柏』の態度を貫きます!

◆田口喜将(たぐち・よしまさ)
1997(平9)年11月16日生まれ。177センチ、80キロ。東京・早実高出身。商学部4年。外野手。左投左打。富田選手と山田選手に褒められ、はにかむ姿が印象的だった田口選手。厚い信頼を背に、代打では出塁という結果に強くこだわってきました。『気持ち』を込めた一振りで、チームに勝利をもたらします!