今春3位という結果に終わった早大だが、今西拓弥(スポ3=広島・広陵)と柴田迅(社3=東京・早大学院)は共に防御率0点台と安定した成績を残し、救援として多くの試合に登板した。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)でも欠かせない戦力となる二人…

 今春3位という結果に終わった早大だが、今西拓弥(スポ3=広島・広陵)と柴田迅(社3=東京・早大学院)は共に防御率0点台と安定した成績を残し、救援として多くの試合に登板した。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)でも欠かせない戦力となる二人に、これから臨む激しい戦いへの意気込みやこの夏の取り組み、自身の状態などを語っていただいた。

※この取材は9月4日に行われたものです。

最近「カットボールを効果的に」(柴田)


慶大3回戦でピンチをしのいだ柴田

――春季リーグ戦を個人として振り返っていかがですか

今西 自分は冬にけがをしてしまって、春の最初の(カードの)東大戦に間に合わせることができなかったというのは一番反省しないといけないところかと思います。(春季)オープン戦も投げられなかったり、最初の調整が遅れてしまった分、去年に比べると任せてもらえるところは少なかったかなと思います。最初の調整が遅れてしまったことが一番の反省点だと思います。

――その中で防御率は0点台でしたが、いかがですか

今西 少ないイニング(数)で点を取られてしまうとチームは負けてしまうので、そこは少ないから何とかゼロで抑えたいです。(防御率が)0.00ではなかったというところは、まだ突き詰めたいと思います。

――柴田選手はいかがですか

柴田 僕の場合、一番印象に残っているのは明治の第2戦です。あそこで優勝が遠のく一発を打たれてしまったので、自分の中で良くも悪くも転換点になりました。明治戦で打たれた一本をきっかけに自分の中で(初心に)帰ることができて、立教戦から何とか無失点でいけたので、高い授業料ではありましたが自分の中ではいい経験ができたのかなという感じです。

――明大戦後、具体的にどのようなポイントを変えましたか

柴田 まずバッターとの戦いの中で、今までは強みだったストレートで押していくピッチングを前面に出していましたが、それだと荒削りな部分がありまして。明治戦でボールの高さが重要だとは感じたので、そこからバッターに対して強いボールよりも高低、内角・外角というところを重視してピッチングができるようになったのは大きく変わったところかなと思います。

――今西選手は慶大1回戦で勝利投手になったと思いますが、それについてはいかがですか

今西 それも早川(隆久、スポ3=千葉・木更津総合)が好投していたところを代わって、自分が1点取られて早川の勝ち投手(の権利)がなくなってしまったので、そんなにあの1戦の勝ち星を意識はしていません。2、3戦目は試合の展開で投げることはなかったので、ブルペンから見ていて悔しかったです。

――柴田選手は早慶戦を振り返っていかがですか

柴田 基本的に春のシーズンは、ずっと後ろの徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)につなぐ8回(を投げる)というのが主な仕事で、早慶戦でもその役割でいました。自分の中で早慶戦の収穫は第3戦での、2アウト一、三塁のピンチ西垣(雅矢、スポ2=兵庫・報徳学園)から譲り受けて、柳町選手(達副将、4年)を三振で切ってその回を終えられたというのは自分でも自信になりましたし、明治戦で打たれて以降やってきたことが早慶戦でも生かせたというのは大きいことだったと思います。

――春季リーグ戦を救援陣、投手陣として振り返るといかがですか

柴田 春のリーグ戦ではピッチャー陣みんなが仲良く1回ずつ打たれて、それが決勝点となって負けるという試合がありました。自分も含めてですが、徳山も法政戦で1回あったし、早川も西垣も少し悔しい打たれ方をしてそのままチームも負けてしまうという試合もあったと思います。救援陣は抑えられたところも抑えられなかったところもありますが、抑えてなんぼの世界なので。自分はやらかしてしまった身なので駄目だめとしか言えないですが、まだまだですね。

今西 去年の秋までだと小島さん(和哉、平31スポ卒=現千葉ロッテマリーンズ)という大黒柱がいて、1戦目は完投してもらいました。その大黒柱が抜けたので、正直去年ほどの心強さはなかったと思いますが、その分を早川が頑張ってくれたので打ち込まれて負けるという試合もそんなになかったですし、(チーム成績として)3位と良くはないですが、踏みとどまれたのもあると思います。リリーフ陣だと去年まで交代のタイミングが分からなかったのが、今年の春は自分が7回、柴田が8回、徳山が9回とはっきり決められていたので、そういう面では気持ちのつくりやすさはあったと思います。

――3位というチーム成績は、プラスとマイナスどちらに捉えられていますか

柴田 3位でいいわけはないと思いますね。ずっと早慶戦に勝って優勝というのを目標にやっているので、その目標に届かなかったというのは2位以下であれば特に順位に関係なく悔しいです。それこそさっき言ったように、明治戦で自分が打たれて2連敗というかたちになって、優勝のレールから外れかけた一戦だったので、自分の中ではすごく後悔の残る3位という結果だと思います。

今西 実際優勝を狙えるチーム力、選手の能力だったというのは、その過信が良くなかったかもしれませんが思われているところはあったので、そこで勝ち切れなかったというのが3位という結果の悔しいシーズンになったのかなと思います。

――今西選手は春季リーグ戦では四球が多かったですが、早慶戦ではストライク先行の投球をされていたと思います。特別意識されていたことはありますか

今西 早慶戦は1アウト満塁と、登板した展開が展開だったので。押し出しというのがチームの流れを悪くするというのは分かっていたことなので、ゴロを打ってもらってゲッツーを取れて、ピンチを切り抜けられたらいいという気持ちでマウンドに上がっていました。そういうところが早慶戦のストライク先行につながったのかなと思います。四死球から得点につながるケースは多いです。オープン戦(夏季オープン戦)でも自分が失点したケースを振り返ると四死球からというのが多いので、四死球を減らそうとは常に思っています。

――柴田選手はフル回転したシーズンは初めてだったと思いますが、そこに関してはいかがですか

柴田 このシーズンからリーグ戦でも数多く使ってもらえるようになりまして、すごくありがたいことですし貴重な経験を多くできたので、自分の中ではすごく収穫の多いシーズンだったと思いますね。多分今シーズンも頑張ってフル回転すると思うので、そこに関しては自分の大学野球生活の中ではすごく大きな転換点になったシーズンかと思います。

――その中で自分の一番の強みだと感じたことは何ですか

柴田 今までは即答で真っすぐと言っていましたが、春のシーズンをやってきて自分が思うのは、カットボールを効果的に最近のゲームで支えているという印象があります。真っすぐももちろん自分の一番の強みとして言えますが、最近はカットボールという強みも自分の中で自信を持って言えるようになってきたので、真っすぐとカットボールだと思います。

――今西選手は改めて春季リーグ戦を終えていかがですか

今西 正直2年生までの頃は、変化球はほとんどカウントが取れず見せ球にして、真っすぐ勝負をしていましたが、春のシーズンではカーブでカウントが取れるようになって、そこでバッターのタイミングを外すことができるようになりました。かなり自分の中でも幅は広げられたのかなと思います。

――春季リーグ戦を終えて課題だと感じている点はありますか

今西 自分は春のシーズンから急に増え始めた四死球を減らしていけたらなと思っています。

――そのために夏に取り組まれたことはありますか

今西 ピッチャー陣の共通の決め事ですが、2ストライク1ボールに3球で追い込むというのを小宮山監督(悟、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)にも言っていただいて、それをピッチャー陣共通の認識としてやるようにはしています。実際2ストライク1ボールというカウントがつくれたら、自分自身もすごく楽というのが分かったので、そこは意識するようにはしています。

――柴田選手はいかがですか

柴田 自分の場合はオープン戦などを重ねて、調子の悪いときにいかに相手打線を抑えるかというところではまだ課題が残っているような気はしています。調子がいいときはすごく真っすぐの質もいいしバッターを抑えるのにもそれほど苦しまずにできますが、思うような球が投げられないときに少し失点をしたり崩れてしまう、ピンチをつくるというところがありました。なので、ここからリーグ戦まで時間はありませんが、自分なりに整理するポイントを見つけながらやっていければいいかなという考えですね。

――夏までに小宮山監督から指導は受けましたか

今西 自分はこれがなかったら困るというぐらいになっていますが、カットボールは小宮山さんに教えていただきました。それを投げるようになってから自分のピッチングの幅が広がったので、この夏で何か教えてもらったとなると、カットボールの投げ方と使い方は教えてもらいました。

柴田 自分の場合はカーブですね。カーブを監督さんから指導してもらうことがあります。自分の中でカーブの力の抜き方やコントロールの仕方がいま一つしっくりきていない時に、監督からの指導がありまして、それを機にカーブでカウントを取るのが楽にできるようになってきました。このオープン戦でもカーブでカウントを取ることでバッターの選択肢を増やすことができるようになったので、それはすごくありがたかったかなと思います。

――春季リーグ戦で上位だった明大や慶大に比べ、早大がチームとして劣っていると考えられる点はありますか

今西 ピッチャーもバッターもそうですが、勝負所で弱いのかなと。ピッチャーは抑えたいところで相手に簡単に一本を打たれてしまったり、バッター陣もここで一本を出したいというときに出せなかったりですね。相手のレベルが高いこともバッターの場合はあるので難しいとは思いますが、勝負所の弱さが劣っていた分、勝てなかったのかなと思います。

柴田 自分もその通りだと思いますね。力だけでいったら今の六大学野球は拮抗(きっこう)していると思うので、どこで差がつくかというと、チャンスでどれだけ得点をできるか、ピンチでどれだけ抑えられるかという力の差が順位に表れてくると思うので、今西の言う通り、勝負所での強さが上位の2大学に劣っている部分かなと思います。

――春季リーグ戦を終えて、加藤雅樹主将(社4=東京・早実)の印象はいかがですか

今西 前の取材の時も言ったと思いますが、去年に比べて先頭に立ってチーム全体を引っ張るというようにはしてくれています。正直去年まではあまり発言している印象がなかったですが、今年は積極的に発言して引っ張ってもらっているので、頼りがいは選手としてもキャプテンとしてもあります。付いてやきやすいと思います。

柴田 そうですね、行動や言動で引っ張ってくれているという印象は春からずっと変わらず。オープン戦での発言もキャプテンとしても一人の選手としても、みんなを引っ張るという意識は自分たちにも伝わってくるので、そこはキャプテンとして尊敬できる存在だなと思います。

今西 外野から声が聞こえるようになってきましたね。去年とかはあまり聞こえた記憶はありませんが、今年のオープン戦では外野から声が聞こえてくるので。外野から(声が)届くというのはなかなかすごいことだと思います。

――具体的なエピソードはありますか

今西 ピッチャーに関してだけではないですけど、1つアウト取った時に今ランナー飛び出したかっていうのを野手の人に伝えたりだとか、ランナーが(ベースから)出過ぎていてキャッチャーが投げたら刺せるんじゃないかということとか、そういうことをすごい外野から言っていたので、そういうところが理想的です。

柴田 エピソードというか、いつもそうなんですけど、特にピッチャーがピンチ背負ったりフォアボールが多い時など状況が悪くなった時に、外野から落ち着かせてくれるというか。加藤さんに限らずなんですけど、外野から声がすごい聞こえてくるというのは、今年のオープン戦で感じたことなので、そこに関してはすごいありがたいし、感謝しているところですね。

ナゴヤドームで投げられず…


気さくに質問に答えてくれる今西(左)と柴田

――それでは、少し話を変えて、お互いの他己紹介をお願いします

柴田 今西はすごいマイペースで、影の努力家という感じが自分の中ではあって、練習とかも『(ストイックな)早川などと比べると』そうではないので(笑)。でも、時々夜、部活が終わってみんなが帰った時にウエートルームにいたり、そういうちょっと人前じゃないところで、人のいないところで努力しているという姿が見受けられるので、そういうところでは野球に対する態度、意識というのは陰ながら高いものを持っているのではないかなと思いますね。

今西 それ言われたら、今後がきついな(笑)。やっているものだと思われて、みんなが注目し始めたらちょっと…(笑)。柴田は、良い意味ですごい一つのことに集中できるというか、自分が練習で不真面目に見えてしまうところは集中力の問題もあると思うんですけど、それに関して柴田は集中力がすごいなと思います。試合で投げている時とかも、集中力だったり、バッターに対する気迫というところはすごい良いものを持っているなと思っていて、常にそういうふうに真面目にやっているのかと言うと、オフになったら結構はっちゃけているというか、遊ぶ時と切り替えができているので、すごくいいなと思います。

――お二人で遊びに行かれることはありますか

柴田 1年時とか下級生の時はすごい一緒にどこかに行ったりしていた印象はありますけど、時々もちろん行ったりもするんですけど…。

今西 確かに最近行ってないし、ちょっとけちな一面もあるので(笑)、僕が誘ってもまあまあみたいな、「ちょっとお金がね」って時も(笑)。オフとかオフ前になるとお互い違う所に出掛けることもあるので、たぶんオフ前とかにお互い寮にいたりしたら行こうぜってなると思うんですけど、お互いどこかに行ってしまうことが多いので…。

柴田 上級生になって要領が良くなったというか、お互いに(オフの過ごし方の)バリエーションが増えてきて、1年生の頃はきつくて休むというので、そんなに寮から出ないし、近場で済ませたいというのがあるので、みんなでちょっと近場のカラオケに行くという程度だったので、一緒にいる時間が長いかなという感じだったんですけど、学年重ねるにつれてちょっと遠出してみようかなとか、そんな感じになったので…。

今西 予定が合わなくなったというか。

柴田 そんな感じですね。仲はいいですよ。

――以前、今西選手はあまり外出しないとおっしゃっていた気がしますが

今西 そうですね。前まではしていなかったんですけど、ひたすらこもってゲームしていましたけど、最近は成人して飲みに行けるようになったりしたので、高校の同期とかと飲みに行くこととかが増えたというのはありますね。

柴田 そうですね。自分たちは他の大学に比べて飲んだりすることが盛んではないと思うんですけど、多少は飲みに行くことが増えてきて友人と飲みに行くことも多くなってきましたし、そういう意味ではそうですね。

――早大学院の同期とかとですか

柴田 そうですね。学院の時のクラスメートとも、最近集まるようになったと思います。

今西 1年生の頃は飲めないので、何か食べに行くとなるとお金がかかるので、また忙しいというのもあって、高校の同期となかなか会えてなかったんですけど、最近は時間もつくれるようになってきていて、実際、食べるより飲んだ方が安く済むし、話も盛り上がりやすいと思うので、そういうところで高校の同期と会う機会が増えたのかなと思います。

――野球部の他の選手とどこかに行かれることはありますか

柴田 行く人は行くと思います。それこそ、一人暮らしをしている人とかはオフ前とかオフに何しているかというとちょっと思い出せないですけど、ある人の家で鍋パーティーをやったりだとか、そういう関わりというのは一人暮らしをしている人はあるなという印象はありますね。基本的に結構寮にいたりすると、一人一部屋というのもあると思いますし、自分の時間が長い印象があるんですけど、そういう意味では寮生活じゃなくて一人暮らししている人同士の関係はあるかなという印象ですね。

――夏の甲子園はご覧になっていましたか

今西 まあちらちらと…。

柴田 ちらちらですね。正直、この夏は練習の時間が長くて。オープン戦やってその後にさらに練習という日々が続いていたので、見られるとしたら昼休憩で上がってきて、ご飯食べて次の練習までの時間ぐらいだったので…。

今西 練習終わった時には(甲子園の試合が)終わってたよね。

柴田 だから、その間の時間だけ見ていた感じですかね。

――その中で印象に残った試合はありますか

柴田 やっぱりチームメートの母校が出ていたりすると気になりましたね。自分の母校は全然出てなかったんですけど。チームメイトの母校の試合だったりすると、意識して見ることがこの大学に入って多くなったと思います。

今西 注目したのは、広島商業(広商)の試合でした。強いと言われていた相手に広商が県大会で大差で勝っていて、広商は強いのかなと思って、広商の試合は見ていました。

柴田 印象に残った試合となると、その(休憩の)間の時間しか見れていなかったので…。

今西 ないですかね(笑)。奥川くん(恭伸、石川・星稜高)が化け物だったぐらいかな。

柴田 そうだね。プロ野球選手が一人混じっている感じだったのは衝撃的だったね。

今西 ちょっとしか見られてないですけど、智弁和歌山と星稜の試合は延長までいって、すごくおもしろい試合だったなと思います。

――高麗遠征での思い出は何かありますか

柴田 僕だけ行ったんですけど、審判が交通機関の遅延のせいで遅れるっていう(笑)。

――徳山選手(壮磨、スポ2=兵庫・大阪桐蔭)も先日、うれしそうにおっしゃっていました

柴田 最初、高麗大学のコーチの方に二塁審兼主審みたいな感じでやってもらっていて、主審がいない試合ということで徳山としても違和感あったと思うんですけど、投げて後ろ向いてストライクかどうかを判断するという(笑)。その後に主審が来たと思ったら、二塁審やっていた方がベンチに戻って主審1人で試合進行となって、いやそれは主審じゃ見えないだろうというところまでジャッジをしていて、そこは自分たちの中で、日本の野球の環境が常識となっている分、そういうところが国際試合ってこういうことなんだなと、衝撃というか、やっぱり日本は恵まれているのかなと思いましたね。

――楽しかった思い出はありますか

柴田 試合の後のレセプションで、英語だったり翻訳機能とかだったりで、高麗大学の選手ともすごい仲良くなれて、そのレセプションの後に自由時間があったので、その時に連絡取り合って、ホテルの周辺とかを案内してもらったりして、それはすごく楽しかったですね。

今西 すごいみんなインスタ(インスタグラム)とかで上げるんですよ。自分とマネージャーと西垣(雅矢、スポ2=兵庫・報徳学園)とか少人数しかいない中で、楽しそうなストーリーを上げてくるんで、くそ!と思って(笑)。

――今西選手は3月の沖縄キャンプにも参加できませんでした

今西 沖縄は自分のけがで行けなかったんですけど、ナゴヤドームでのオール早慶戦の時も(ベンチに)入れていなくて、「ナゴヤドームすごい!」というストーリーを見て、「はあ…」ってなって。実際、試合を観に行くことはできたんですけど、観に行ったら悔しいなと思って(笑)。行かずにホテルでゆっくりしていました。次の試合のオープン戦だけ投げて、帰って来ました(笑)。

――やはりナゴヤドームで投げたかったですか

今西 ツイッターとかで始まる前の選手入場の時の演出とかはちらっと見たので…。

柴田 あれは一生の思い出になると思います。

――マウンドの感触などは違いましたか

柴田 応援が、いつも神宮球場で(屋外で)開けていてもすごいなと感じているんですけど、ドームだと反響がすごくて、人数はいつもより少ないかなという印象だったんですけど、応援練習を試合前にやっている時に、こんなに響くのか、これはすごいなと思いました。応援練習で鳥肌が立っていました。

――ドーム球場は涼しかったですね

柴田 そうですね。結局、試合が始まると人の熱気とかで暑くなったんですけど、快適でしたね。

――何か夏らしいことはされましたか

今西 ピッチャー陣全員で、お台場に。

柴田 全学年で1人も欠けずにお台場でバーベキューをして、それが最高に楽しかったですね。

――他にはありますか

柴田 まあ、もう部活…。野球の練習をずっとやっていたので。夏の思い出は、バーベキューとオープン戦と練習という感じですかね。

――理想としている選手や選手像はありますか

柴田 自分は楽天の則本昂大投手をずっと。フォームもちょっと参考にしてやっているので、やっぱり則本投手のボールは誰が見てもすごいんですけど、自分の中では憧れている部分があります。

今西 自分はあまり参考にしている選手はいないので。でも、いま日本で一番のピッチャーは誰かと聞かれればダルビッシュ有選手という回答が多いのではないかと思うので、ダルビッシュさんみたいな、日本で一番の投手みたいなところまでいけたらなとは思います。でも、誰も参考にする人がいないというのは、自分の中では一番の武器になるんじゃないかなと思うので、そこの武器をもっと伸ばしていけたらなと思っています。

「4年生の方々には感謝の気持ちでいっぱい」(今西)


法大3回戦で登板した今西

――それでは、夏のオープン戦が終了してからの練習スケジュールを教えていただけますか

柴田 ここ一週間ぐらいは秋季リーグ戦に向けて、練習の量自体は少なくなっているんですけど、夏休み期間中は基本的には、オープン戦がある日は、オープン戦を午前中から初めて、試合終わり次第、昼休憩を取って。

今西 その間に試合に出なかった人は、練習して、15時半から19時ぐらいまでバッティングしてという感じのスケジュールで。

柴田 ピッチャー陣は午前中に共通のメニューは終わっちゃうので、基本的に試合の後のメニューは各自で考えて自主練習というかたちでやっていましたね。

――具体的にはどのようなことをされていましたか

柴田 人それぞれで、ウエートトレーニングしている人もいるし、ランニングしている人もいるし。

今西 監督から一度、ピッチャー陣がふがいない試合が続いていた時に、「野手があれだけバットを振っているんだから、おまえらももっとやれ」みたいな感じで。実際、一番手っ取り早く強化できることは走ることなので、「ぐだぐだしているなら、1本でも多く走れるんじゃないか」という感じのことを言っていただいたので、あの期間は結構みんな、走っている人が多かったですね。

柴田 多い人で50本ぐらい走っていましたね。50本はピンと来ないかもですけど、果てしないですからね。たぶん、全国探しても50本走っているチームはないんじゃないかな。

今西 メニューやった後に、50本走っているという人はいましたね。一日70本ぐらい走っている人は中にはいたと思います。

――どなたが一番多く走っていましたか

今西 早川ですね。

柴田 あと、4年生の上條さん(哲聖、商=東京・早実)ですかね。その二人が一番走っていると思いますね。

――どのような点に重きを置いて練習に励まれていたのですか

今西 ピッチングの四死球を減らすというところで、一球一球の精度については結構追い詰めてやることができたのではいかなというところと、夏休みは午後の1時間ぐらいはフィールディングに使えたので、冬のように体力的にというよりは、この夏は技術的なところで追い求めることができたのではないかなと思います。

柴田 自分の場合は、秋のシーズンに向けて、春のシーズンで得た課題を意識しながらずっと練習に取り組みました。ピッチングでは高さやコースに加えて強いボールを投げることをプラスしてやっていました。あとはトレーニングでは体のキレというのは意識しながら取り組んでいました。

――仕上がりはいかがですか

今西 自分は全然ですね。夏のオープン戦ではこの前拓殖大相手に初めて無失点に抑えられただけで、それまでの6試合は毎試合失点していました。仕上がり自体はそんなに良くないですが、上げていければなと思います。

柴田 自分の場合はこの夏のオープン戦で先発をさせてもらう機会が何回かあって、それがどう影響したかはよく分かりませんが、今までリリーフだけだったのが先発などいろいろな役職も経験することができました。先発をしていても大量失点をすることはなく、うまくかわしてゼロで抑えるという試合が自分の中では多くあったので、そこに関してはリーグ戦につなげていける部分かなと思います。それこそさっき言ったカットボールもそうですね。オープン戦ではうまく使えていたと自分では思っているので、仕上がりとしては春よりもいいのではないかと思います。

――先発では力の配分も救援のときとは違いますか

柴田 クリーンアップでは力が入ります。でも9回投げた試合はなく基本6回(までしか投げていない)ですが、そんなにギアの上げ下げはせずに、ある程度上げた状態で6回まではいけていました。試合の結果を見ても、感覚的に疲れてキレがなくなることはあまりなかったです。

今西 柴田は夏すごく良かった印象です。うらやましかったです。

柴田 個人的に調子は良かったと思います。

――今西選手には何度も伺っていますが、スタミナについてはいかがですか

今西 だいぶついたと思います。

柴田 どうしても先発として投げないとスタミナというのは答えづらいところはありましたが、このオープン戦を通して、思ったよりもスタミナはついているという印象は自分の中ではあります。

今西 ブルペンでは150〜200球でも投げられますが、試合になると「違うな」という感覚はありました。その中でオープン戦では自分が一番イニング数を投げさせてもらっていると思いますが、スタミナの面だけでいうと、最近は5回を投げても楽勝だと感じるところはあるので、だいぶスタミナはついてきていると思います。

――投手陣全体の仕上がりはいかがですか

柴田 オープン戦の最初の方はピッチャー陣が敗因となって、複数失点をして負ける試合が続いてふがいない結果だったと思いますが、リーグ戦が近づくにつれてだんだん失点も少なくなってきたし、リーグ戦に向けて仕上げられているという印象があるので、ピッチャー陣の仕上がりとしては上々なのかなと思います。

今西 そんな感じですね。徳山が戻ってきてくれたというのはピッチャー陣として楽なところはあるので。ここから全員がリーグ戦にベストで持っていけるようにできたらなという感じです。

――徳山選手が先発になり、救援陣の枚数が減ることに対してはいかがですか

柴田 それこそこのオープン戦で自分や今西も含めて、長いイニングを投げてきました。今西に関しては試合の途中からロングリリーフという使われ方もしているので、枚数が少なくなってもオープン戦で長いイニングが投げられているというのは、リーグ戦でも複数イニングが投げられるという自信はある程度、中継ぎ陣にはあると思います。あまり枚数が少なくなることに関して心配はないです。

今西 自分も柴田もこの夏は長いイニングを投げることが多いですからね。でも春を振り返ると徳山が投げているイニングはそんなに多くはないので、そこを(自分たち)2人や他のピッチャー陣でカバーすることはできると思います。あと徳山が先発するとなると西垣がリリーフにいてくれて、西垣も長いイニングを投げられるので、そういった面では徳山が先発にいくからといってそんなに不安はないですね。

――抑え投手はどなたがされるかについての話は出ていますか

柴田 夏のオープン戦が始まる前に、練習中に監督から個人的に話がありました。「長いイニングを投げられるというのを周りに見せるために、先発というポジションでやってもらうけど、基本的に秋のシーズンでは後ろの方で頑張ってくれ」とは個人的に言われています。自分の中ではクローザーとして役割を果たさないとなという気持ちです。

今西 自分もオープン戦で先発はしていましたが、後ろだろうなということは分かっていました。

柴田 先発が早川、徳山というのは大体の人が分かると思うし…。

今西 去年の春前ぐらいから分かっていることではあったので…。小宮山さんもはっきりとそう言ってくれていたので、柴田が最後(の回を投げること)になると思いますが、そこまで自分がつなげられれば多分抑えてくれるはずなので、きちんとつなげたいと思います。

――真っすぐや変化球の調子はいかがですか

柴田 ストレートは大幅に良くなったわけではありませんが、高低、内外のコントロールはだんだん良くなってきていて、投げミスのない投球はできていて、だんだん良くなってきているのかなと思います。オープン戦を通してカットボールを有効に使うというのはできているので、カウントも取れるようになりましたし、各球種少しずつレベルは上がってきていると思うので、そこに関して仕上がりはいいかなと思います。

今西 正直まだまだ精度が低いとは思っていますが、去年や春のシーズンイン時に比べると変化球の精度は上がっているので、そんなに自分の状態が良くなくても、変化球でどうにか試合をつくることはできるようになってきています。でもまだまだいけるとは思います。

――開幕カードは法大戦ですが、チームとしての印象はいかがですか

今西 バッター陣がえげつない。

柴田 どの大学もそうですが、個の力が強いイメージがあります。いい選手がたくさんいるので、打順によって抜ける場所がなく、下位打線からでも十分得点できる力のあるチームだと思います。そんなに簡単な相手でないのは間違いないです。

今西 流れに乗せてしまうと止まらなくなるチームだと思いますが、反対に流れにさえ乗せなければ多分勝てるチームだと思うので、ピッチャー陣がどれだけ頑張って流れに乗せないかが大事だと思います。

――その中で警戒している打者はいらっしゃいますか

今西・柴田 宇草さん(孔基副将、4年)。

今西 宇草さんが(塁に)出るとチームに勢いが出ますし、かといって一発もあるので、最も警戒しないといけないバッターは宇草さんなのかなと思います。

――今秋で1学年上の4年生の選手が引退されますが、お世話になったり印象深い方はいらっしゃいますか

今西 自分はやはり小藤さん(翼副将、スポ4=東京・日大三)ですかね。あの人に自分が良くない時もいろいろと話を聞いてもらったり、ごはんに連れて行ってもらいました。試合になるとリードも全部任せているので、すごく頼れる人は小藤さんかなと思います。

柴田 誰かといわれると意外と難しいな。

今西 いっぱいいて逆にね。

柴田 基本的に4年生の先輩には良くしてもらっていて、試合に出ていたら野手の4年生の方々に声を掛けてもらっていますし、練習の時も4年生のピッチャー陣の方といい環境でやらせてもらっている印象があるので。

今西 上條さんも、藤井寛之さん(法4=福岡・東筑)も、藤井祥さん(人4=岐阜・関)も…。

柴田 みんなですね。特に自分の中ではピッチャー陣の4年生の方々にすごく感謝しています。ピッチャー陣としてどう良くしていくか、どう練習環境を良くしていくかで、4年生を中心にミーティングも開かれています。野球をやる環境としていいものにしてくれたのは4年生の方々のおかげだと思うので、プライベートでもバーベキューを企画してくださりましたし、4年生の方々には感謝の気持ちでいっぱいですね。

――最後になりますが、秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

柴田 多分最終回の一番大事な27個目のアウトを取ることを任せられると思うので、味方であれば「柴田が出てきたら大丈夫」だと思ってもらいたいし、敵であれば「うわ、柴田だ…」と嫌に思ってもらえるようなピッチングを秋のシーズンではしたいと思います。

今西 4年生には、自分が入ったばかりのフレッシュリーグ(東京六大学春季フレッシュリーグ)のころからいろいろと面倒を見てもらってきたので、4年生と最後は優勝して、恩返しのようなことができれば秋のシーズンとしてはいいのかなと思います。なので、何とかして優勝したいなと思います。

柴田 そうですね、恩返しですね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 宇根加菜葉、石黒暖乃)


今秋も頼れる左右の個性派両腕がブルペンに控えています!

◆今西拓弥(いまにし・たくみ)(写真右)
1998(平10)年6月22日生まれ。200センチ、100キロ。広島・広陵高出身。スポーツ科学部3年。投手。左投左打。早大は「勝負所で弱い」とおっしゃっていた今西選手。中継ぎとして重要な場面での登板が求められる中、どのようなピッチングを見せてくれるのか、期待したいです!

◆柴田迅(しばた・じん)
1998(平10)年6月2日生まれ。177センチ、77キロ。東京・早大学院出身。社会科学部3年。投手。右投右打。持ち前の力強い直球に加えて、カットボールという新たな武器を手に入れた柴田選手。この秋はさらにパワーアップした姿に注目です!