7日、「牛乳石鹸 presents Master of BLoC 2019 in INAGI」がテレビ朝日 若葉台メディアセンター(東京都・稲城市)にて開催され、女子の最上位カテゴリーは野口啓代らを抑えて森秋彩が初優勝。男子最上位カテゴリーでは波田悠貴が3年ぶりの優勝を果たした。

 先月のIFSCクライミング世界選手権2019で、リード種目銅メダルを獲得した森が野口との対決を制した。五輪代表内定を決めた野口の世界選手権後初の個人戦ということもあり、昨年を上回る数のメディアが駆け付けた今大会。森と野口が出場した女子最上位カテゴリーであるカテゴリーBは、予選からともに3完登で1、2位となるなど、決勝を前にはやくも一騎打ちの様相を呈する。

 2人は決勝第1課題を一撃するが、第2課題でその差が開く。ゾーン獲得後、ゴールまで左にスライドするバランシーな難関が多くの選手に立ちはだかると、野口はTOPホールドを両手で触れるも保持には至らず、無念のタイムアップ。完登者ゼロで最終7番手の森が登場する。

 森は難なくゾーンに到達したが、その後のムーブに苦戦。幾度となく試行錯誤を重ねる。しかし、「課題が易しめだと感じていたので、トライ数が重要になってくると思った。絶対に一撃したかった」と、最後は野口と同じくハリボテについた小さなホールドを足場としたことで安定性を高め、着実にTOPホールドを捉えることに成功。およそ3分に迫る執念の一撃で、一気に優勝を手繰り寄せた。

 勢いの止まらない森は最終第3課題も唯一の完登者となり、2位以下に2完登差をつけて文句なしの大会初制覇。2位には野口啓代、3位には加島智子が入った。

粘りのトライで第2課題を攻略した森。世界選手権でさらに経験を積んだ15歳には、どことなく逞しさが漂っていた。

第2、第3課題のゴール取りに苦戦した野口は1完登。2位で世界選手権後初の実戦を終えた。

 一方の男子最上位カテゴリー、カテゴリーA決勝には日本代表の杉本怜、今年のボルダリングジャパンカップ王者・石松大晟らが進出。第1課題で全6名が完登スタートを決めると、予選6位の石松、同5位の武者知希が第2課題を残り約10秒で完登して観客を沸かせる。しかし4番手の波田が彼らよりも少ないトライ数で登り切り単独首位に浮上した。

 最後の強傾斜課題はゾーン後のホールドを保持できるかできないかの真っ向勝負となったが、波田を含めて誰もゴールまで迫ることができず。アテンプト数によっては完登で優勝の目があった最終競技者・杉本も力尽き、順位は動かず波田の優勝が決まった。

 Master of BLoCは関東近郊のジムで行われるシリーズ戦「BLoC」の年間ランキングとボルダリングジャパンカップの上位選手が参加可能な招待制のボルダリングコンペティションで、カテゴリーAとBの優勝賞金にはワールドカップを上回る50万円を用意。昨年大会は杉本と野口が制していた。

第2課題を登り首位に立った波田。そのまま3年ぶりの大会制覇を成し遂げた。

カテゴリーA表彰台=(左から)武者知希、波田悠貴、石松大晟。

<選手コメント>

森秋彩
「世界選手権はピリピリしていて緊張感があったが、今回はお祭りのような雰囲気もあってリフレッシュした気持ちで登れた。決勝のメンバーが決まって、野口さんと争うことになるのかなと思ったらモチベーションもより上がって、緊張もあまりせずに楽しめた」

野口啓代
「世界選手権が終わってから1週間くらいオフを取っていたこともあり、調子が上がり切っていなかったが、大会なのでやはり負けると悔しい。(森には)ぐんぐん成長している印象があり、私も刺激をもらってまたトレーニングを頑張ろうと思う。(五輪代表後に変化は?)会う人会う人に『内定おめでとう』って言っていただける。応援をたくさんしてもらえるのは嬉しいこと」

波田悠貴
「優勝した3年前よりも、杉本選手や石松選手などワールドカップに出ているような人が今回は揃っていて、決勝に行けたらいいかなと最初は思っていたが、予選から調子が良く、決勝課題も自分のスタイルに合っていたので優勝まで結びつけることができた。最初のオブザベーションでアテンプト勝負になるんじゃないかと思い、なるべく少ない回数で登れるように意識したことも勝因じゃないかと思う」

<決勝リザルト>

【カテゴリーA】
1位:波田 悠貴/2t3z 4 5
2位:石松 大晟/2t3z 5 5
3位:武者 知希/2t3z 10 13
4位:杉本 怜/1t3z 2 5
5位:北江 優弥/1t2z 4 2
6位:村井 隆一/1t1z 1 1

【カテゴリーB】
1位:森 秋彩/3t3z 4 3
2位:野口 啓代/1t3z 1 3
3位:加島 智子/1t3z 3 3
4位:伊東 そら/0t2z 0 3
5位:野部 七海/0t2z 0 4
6位:葛生 真白/0t2z 0 4
7位:長谷川 颯香/0t1z 0 2

【カテゴリーC】
1位:星 優輝/3t3z 8 8
2位:番匠 大樹/3t3z 13 13
3位:鶴 隼斗/2t2z 2 2
4位:中村 颯人/2t2z 2 2
5位:島根 正芳/2t2z 3 2
6位:永坂 澪弥/1t2z 1 2

【カテゴリーD】
1位:竹村 比呂/3t3z 3 3
2位:小林 隼大/3t3z 3 3
3位:田宮 瑛人/3t3z 5 5
4位:小林 拓磨/3t3z 14 13

【カテゴリーE】
1位:中島 和輝/2t3z 4 3
2位:高橋 創介/2t2z 8 7
3位:三竿 莉平/1t2z 2 11
4位:大野 拓人/0t2z 0 6

※左から氏名、決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

取材・文

編集部 /

写真

大杉和広