来たる全日本大学選手権(インカレ)で女子部の総合優勝、男子部のエイト優勝を目指す早大漕艇部を率いる内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)。今シーズンの早慶レガッタや全日本選手権の振り返り、そしてインカレに向けた意気込みを語って頂いた。

※この取材は8月6日に行われたものです。

「とにかく目標達成」


現在の部の状況について話す内田監督

――まずは今シーズンを振り返って、早慶レガッタの結果についてどのように受け止めていらっしゃいますか

内田 元々今年の男子の戦力はかなり慶応に分があることがわかっていたので、かなり競ったレースになるだろうなと考えていました。対校エイトは予想通り本当に僅差で勝てました。あれは体力的には慶応が上回っていたと思うんですけど、技術的に川でのレースを想定した練習を積み重ねられたおかげで勝てたかなと思います。OBの中には「僅差でどちらが勝ってもおかしくはない」と言う方もいましたが、最後はああなるだろうなと思っていました。自信はありました。第二エイトに関してはあれも想定内だったかなと。かなり漕力的なハンデは感じていたし、観漕会を見ても慶応の対校と第二はあまり差がなかった。それに比べて早稲田の対校と第二はかなり実力差があるなということは事前に感じていたので、あれは致し方ないけど想定内でした。女子は女子の種目がエイトになってからは一番仕上がっていたかなと。危なげなかったと思います。

―5月の全日本選手権(全日本)では下級生の活躍が目立ちました。振り返っていかがですか

内田 男子に関していうと、セカンド(第二エイト)選手の実力不足。いわゆる2、3年生ですよね。そこの実力不足は否めなくて、逆に1年生は高校時代のトップ選手を今年は獲得できたので、そういう意味で男子は下級生の活躍が目立ったのかなと思います。エイトに関しては元々が突出した実力があるわけではないので、社会人相手だとあんな感じかなと。女子に関しては満遍なくレベルアップできているんですが、東京オリンピックを契機にシニアの強化が劇的に進んでいるので、今年に関していうとシニアに勝つのはかなり厳しい状況ですね。ただその分、女子の実業団は人数がたくさんいて、どの種目にもみんなエントリーしてくるわけではないので、女子のダブルスカルなんかはオープン級は本当に強いところがちょっとあって、それ以外はみんなどんぐりの背比べ。そんなエントリー状況だったので、1、3年生でしたけれども(宇都宮沙紀、商3=愛媛・今治西、中尾咲月、スポ1=三重・津)決勝に残れたのは1年生の活躍もあったのかなと思います。それから、女子の軽量級のダブル(スカル)(南菜月、教4=新潟南、尾嶋歩美、スポ3=埼玉・南稜)はよく頑張りました。これは褒めてあげたい。女子クォ(女子舵手なしクォドルプル)に関してはシニアの層がめちゃくちゃ厚くなっていてちょっと今年は歯が立たなかったかなと。そんなところです。

――早慶レガッタ前の対談の際に狙っているクロアチアの漕法があるとおっしゃっていましたが、早慶レガッタや全日本選手権ではどのくらい発揮されたと思われますか

内田 非常に効果があったというか、難しいテクニックなんですけど、かなりの部分が習得できて目指すところがはっきりしてきた。結果として特にラフウォーターでの接戦を制するだけのものが得られたかなと思います。全日本に関していうと、そもそもテクニック以前の問題がありました。それ以外、部全体とすればクロアチアから学んでいることが徐々に浸透し始めたと思いますね。

――今シーズン特に成長を感じる選手は

内田 男子だったら阿部(光治、スポ1=愛知・猿投農林)、森長(佑、スポ1=福井・若狭)、中島(湧心、スポ1=富山・八尾)、越智(竣也、スポ1=愛媛・今治西)は入学してからよく伸びてるかなと。特にスカルの選手だったんですけど、大学に入ってからスイープ種目にかなり順応してきたかなと感じますね。それから男子だったら主将の藤井(拓弥、社4=山梨・吉田)、副将の坂本(英皓、スポ4=静岡・浜松北)は元々それほどものすごく実力のある選手ではないんですけど、努力と研究でよく活躍できているなと思います。それから田中海靖(スポ3=愛媛・今治西)が3年の中では目立ってますかね。女子は名前を挙げられないくらいよく頑張っていますね(笑)。体格的に特に3年の主力メンバーはハンデを負っているんですけど、4年の南が今度クォドに乗りますけど、南を入れたところでおそらく他大に比べて体格差ではかなりハンデがあると思うんですけど、それを基礎体力とテクニックでカバーできていると思います。それと主将の木下ですね。ダブルスカルに乗ってますけど、一時期体調不良でだいぶ実力が落ちちゃったんですけど、ここに来てまた戻してるかなという気がしますね。あと女子ペアの三浦彩朱佳(文3=青森)ね。彼女もあまり高校時代目立った選手じゃなかったんですけど、スイープ種目に転向してから実力を伸ばしてきてるかなと。強いて言えば女子はそんな感じです。

――昨シーズンと比べて今シーズン力を入れている部分はありますか

内田 持久的な負荷ゾーンのクオリティーを上げるようにはしています。そういうカテゴリーでの負荷が量も質も足りてない。特にここ(戸田ボートコース)はキャンパスから遠いじゃないですか。特に所沢キャンパスの学生は時間がかかるので、水上の練習が他大に比べても授業期間中はなかなか取れないんですよね。試験期間中も(練習量を)なるべく落とさないようにしましたし、なおかつ持久的なゾーンを上げるようにしています。これからインカレまであと30日、ストロークレートをレースペースまで上げる中で、技術を壊さないように上げていくのが理想ですね。例年そこで(レートを)上げるんだけど、基本的な技術が壊れてしまう人もいるので、そこを気をつけたいと思います。

――先ほどもお話にあったように、実力のある1年生がたくさん入ってきましたが、そのことが部全体に与える影響はありますか

内田 そうですね、感じますね。やっぱり競争の原理というのは、入れたくても入れられない、なかなか下級生が上級生を追い越せないという状況があったんだけど、今年は1年生が上位の子が入ったので上級生はかなり危機感を持っていると思います。いいことだと思いますね。

――インカレでは具体的にどのような目標を掲げていらっしゃいますか。男子部からお願いします

内田 男子部はエイトの優勝と2種目表彰台ですね。

――エイトには1年生が何人か乗っていますが、選考によって選ばれたのですか

内田 基礎漕力でまず切って、テクニックの面も考慮して、上位12名で何度も乗り替えをして1ヵ月くらいかけて仮のポジションを決めて、もうすぐ固定しようと思います。それもさっき言った競争の原理も入れてやろうとしましたね。

――男子部でキーになるのはどのクルーでしょうか

内田 エイトと舵手付きフォア、それからシングルスカル。これはU19(世界選手権)に今出ている阿部くんが準備期間が足りないので、単独でシングルスカルに出るのでこれは楽しみですね。

――女子部の目標は

内田 舵手付きクォドルプルと他1種目優勝で、それ以外はみんな表彰台と。全部合わせて総合優勝ですね。総合優勝が一番大きいですね。

――総合優勝のために必要なことは何でしょうか

内田 ここに至る時点までは誰がどこに乗っても同じローイングができることを大事にしてきました。あの人と乗るとうまくできないけどこの人とだったらいいというのがあると、自由な交代ができなくなってしまうので、出来るだけたくさんの組み合わせでやることを大事にしてきました。ここにきてはスピードですかね、特に女子は。どのクルーも同じなんですけど、500メートル(第1クォーター)でレースコントロールができるように、少しでも出て他のクルーが見えていることが大事なので、あと1ヵ月で500メートルのラップタイムを上げることが女子は一番大事かな。どの種目も満遍なく順位に入ることですね。

――舵手付きクォドルプルは全日本の時と入れ替わりがありましたが、どのような意図がありますか

内田 シートレースをやって、南が非常に実力伸長したということがひとつと、クォドはトップの4人を持ってきて漕げば速いかと言ったらこれは相性があるので、一番同じタイプのローイングで合わせやすい4人をピックアップしたつもりです。結果的に松井(友理乃、スポ3=愛媛・今治西)がシングル(スカル)になったんだけど、松井も十分クォドのメンバーとして入れるんですけど、総合優勝を目指す上でやっぱりシングルスカルを落としたくない、シングルスカルでAファイナルに残れるのは松井くらいしかいないだろうということで、こうなりました。

――インカレへの意気込みをお願いします

内田 とにかく目標達成ですね。男子はエイト優勝。まだまだ2015年のインカレを制覇したエイトに比べると足りないところはたくさんあるんですけど、目標を下げるとそれなりのクルーになってしまうので、2015年の時と同じスピードが出せるトレーニングをやっていきたいと思うので、エイトは絶対(優勝を)取りたいと。女子に関してもクォドは来年から舵手なしになるので、最後の足跡を残したい。加えて、ひとつでも多くのクルーがAファイナルに残って点数を稼いで、総合優勝は死守したい。そんなところです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤千咲)


◆内田大介(うちだ・だいすけ)

1956年(昭31)6月19日生まれ。早稲田大学教育学部卒。色紙には少し悩んで、英語で『Accelerate! Speed & Spirits!!』と書いてくださいました。今年は全日本選手権が5月に行われたため、インカレで4年生が引退となります。今体制最後の大会を笑顔で終えられるよう、選手たちを導いてくれることでしょう。