連載5回目は個人メドレーを専門とする3年生コンビ。福岡清流(スポ3=大阪・桃山学院)は6月の早慶対抗大会(早慶戦)の男子200メートル個人メドレーで自己ベストを更新し、今年の日本学生選手権(インカレ)では個人メドレー2種目で決勝およびB決…

 連載5回目は個人メドレーを専門とする3年生コンビ。福岡清流(スポ3=大阪・桃山学院)は6月の早慶対抗大会(早慶戦)の男子200メートル個人メドレーで自己ベストを更新し、今年の日本学生選手権(インカレ)では個人メドレー2種目で決勝およびB決勝進出を目指す。一方、昨年個人2冠の竹内智哉(スポ3=神奈川・湘南工大付)はけがの影響で万全なコンディションではないが、男子4×200メートルフリーリレーに向けては、「しっかりチームに貢献したい」と語った。

※この取材は8月23日に行われたものです。

「いろいろ支えられている」(竹内)


今年ユニバーシアードの日本代表に選出された竹内

――今季を全体的に振り返っていかがですか

竹内 僕はけがが多かったシーズンでしたね。捻挫の方はキックの許可も出たので、昨日から泳ぎ始めたという感じです。

福岡 僕は4月からだと400メートル(個人メドレー)思うようなタイムが残せなかったですが、200メートル(個人メドレー)に関してはどんどんタイムが出てきたかなという感じです。

――今季のレースで一番印象に残ったものは何ですか

福岡 僕は早慶戦の200メートル個人メドレーのレースです。タイムはベストでそれだけでも良かったですが、そのレースでずっと隣の慶応の子(初谷智輝)と競っていて、最後の最後で勝てましたがいつもは最後の自由形で競ってしまうとあまり勝てないレースが多かったんですよ。フリー(自由形)で最後は後ろから抜かされてしまうことが結構ありましたが、そのレースでは最後に競り勝てたので、そういう面で良かったレースではあると思います。

竹内 僕は今年のユニバーシアードの試合で、結果的に4番でメダルが取れなかったというのが一番印象深いと思います。今は足ですがその前に肘をけがしていて、その影響からあまり練習ができていないという状況の中で4番でした。タイムとして悪くはなかったですが、去年から自分の目標としてそこでメダルは絶対に取りたいと思っていたので、悔しさでいったら僕の競技人生の中でトップ3に入るくらいなので、印象深い試合だったかなと思います。

――肘の調子はいかがですか

竹内 最近は全く気になってないですね。

――男子400メートル個人メドレーも含め、ユニバーシアードを振り返っていかがですか

竹内 先ほども言ったように肘をけがしていて練習があまりできていなかったので、元から僕の中では200メートルに照準を定めて出ていました。それで400メートルが遅かったのは仕方ないかなというのと、試合期間が割かし長めで、後半にある400メートルは体力的にもきつかったかなと思いました。

――ジャパンオープンの頃は調子が上がっていなかったと思いますが、ユニバーシアードにむけてどのように調整されましたか

竹内 ユニバーシアードの前に合宿が組まれていましたが、そこでは感覚として全然調子が上がらなかったです。でも現地入りしてからは調子が意外と上がってきたので、そこから徐々に200に照準を合わせられたかなという感じです。

――やはり距離の長い男子400メートル個人メドレーでタイムを出すのは難しかったですか

竹内 今はその時より泳げないので何とも言えないですが、先ほども言ったように試合期間が長くて後ろに長い距離(の種目)があったので、どうしても今まで泳いでない分200も泳ぐとなると200に取りあえず1回照準を合わせますね。さらに、長く泳ぐと疲労が残ってしまうので、そうなるとやはり後半に長い距離(の種目)があるのは厳しい試合だったと思います。

――福岡選手に伺いたいのですが、早慶戦では男子200メートルバタフライと男子200メートル個人メドレーで優勝されましたが、2冠できるという自信はありましたか

福岡 正直、2バタ(男子200メートルバタフライ)の方はうまくいけば優勝できるかなと思っていましたが、2個メ(男子200メートル個人メドレー)の方はあまり考えていなかったです。慶応の子の方がベストタイムが1秒くらい速かったので、2番が取れればいいかなくらいの気持ちで泳いでました。始めはそんなに意識はしていなかったです。

――男子200メートルバタフライのレースに出られるのは久しぶりでしたか

福岡 冬場に1回だけ出ましたが、大きい大会ではほとんどないです。

――早慶戦に向けて対策などはされましたか

福岡 バタフライはそんな対策していないです。個人メドレーと自由形で合わせていって、僕はバタフライの調子の波がないので、うまくまとめられたのかなと思います。

――上級生になって意識として変わった部分はありますか

竹内 僕はけがをしている期間が長くて練習の間に練習しないっていう期間が増えていたので、上から(他の選手の練習を)見ることが多くなりまして。それで前より周りの選手だったりマネージャーのことをよく見るようになったかなというのはあります。今まではタイム読まれたりするのを普通に思っている部分がありましたが、結構動いているマネージャーもいて、早稲田はマネージャーも人数が多いわけではないので大変だなと思って、いろいろ支えられているというのを感じたりしました。下級生は慣れないながらも苦労しているところが見えていて、すごく新鮮な気持ちになれたかなというのはあります。

福岡 練習のパートが分かれていますが、僕のパートは(今は)竹内もいますが竹内がいない期間が結構あったので、僕と1年生2人の3人で練習をしていました。もう少し前までは他にも1、2年生がいましたが、3年生以上が僕だけでその中では最上級生だったので、声掛けをしたり、たまに「頑張れよ」と言ったり、それ以外でも盛り上げるようにしていました。マネージャーさんがタイムを出してくれるときにみんなで返事を毎回ちゃんとしたり、大きい声で言ったり、そういう面では今までよりは成長できたかなと思います。合宿中も結構周りに気を配って、同じパートの後輩がしんどそうだったら、「頑張ろう」と言っていました。それを言うことによって自分も頑張れるようになっているので、良かったかなと思います。

夏休みのオフの日は…


プライベートな話題の際は和気あいあいと話してくださりました

――世界選手権で印象に残っているレースはありますか

竹内 僕は大也さん(瀬戸、平29スポ卒=現ANA)の2個メのレースですね。400は見られませんでしたけどね。あとは200メートルバタフライの大也さんとミラーク選手(ハンガリー)が一番印象的だったかなと思います。

福岡 僕は大也さんの200メートル個人メドレーと、2バタも衝撃は受けましたが、一平さん(渡辺、平31スポ卒=現TOYOTA)の200メートル平泳ぎのレースが印象には残っています。

竹内 (ミラークは)やばかったですね(笑)。

福岡 (ミラークが)優勝するとは思っていましたけど…。

竹内 出て1分51秒台かなと思っていました。

福岡 出て51秒9とか、52秒台前半かなと。

竹内 全然予想だにしないタイムでびっくりしました。2ブレ(男子200メートル平泳ぎ)もすごかったですね。

福岡 しかも優勝した選手(チュプコフ、ロシア)のラスト50メートルのラップタイムがすごくて。100メートルまでは最下位くらいだったのに。

――夏休みに入りましたがオフの日にどこか遊びに行かれましたか

竹内 何回か野球観戦には行きましたかね。主将の大芦さん(知央、スポ4=大阪・関大北陽)が結構野球が好きで誘ってくれたりとか、主務の大谷(隆二、スポ3=広島・呉港)とかも野球が好きなので。僕は彼らほど野球が好きではないですけど、スポーツを見るのは好きなので一緒に見に行くことは何回かありました。

――どのチームの試合を見られましたか

竹内 取りあえず西武(埼玉西武ライオンズ)の球場が近くにあるので何回かそれに行ったのと、この間東京ドームの試合で巨人対阪神戦を見ました。知央さんは元々行きたかったらしく、チケットをくれて僕も暇だったので一緒に行ってきて、楽しかったです。

――どのチームのファンですか

竹内 そういうのはあまりないですが、お父さんが巨人(読売ジャイアンツ)ファンなので小さい頃から巨人の選手は若干知っていたりとか、地元が横浜なのでDeNA(横浜DeNAベイスターズ)の試合はたまに見ています。最近は、西武も(球場が)近いので西武もよく見ています。

福岡 僕は…野球(笑)。智哉より絶対行っているからなあ(笑)。僕は結構野球が好きで、西武も割と好きな方なので、暇さえあれば。

竹内 何より近いので気軽に行ける。

福岡 10分ぐらいでね。そんなに(値段も)高くはないし。今週も火曜日(取材日の3日前)に行って明日も行きます(笑)。来週も行きますしね。あとは茨城県にいとこがいるので泊まりに行って、大洗やひたち海浜公園に行きました。それぐらいで、全然遊んでいないです。

竹内 僕は特に足をけがしてギプスを巻いたりしていたので、あんまり(外に)出ていなかったです。

――レース前のルーティンは何かありますか

福岡 全然ないですね(笑)。

竹内 一連の流れとかは大体あるんですけど…。

福岡 大体はある。たとえばアップの時間がレースの1時間くらい前に終わるみたいなものはありますが、きっちりこれをしようというのは僕はないですね。

竹内 昔は結構食べ物とか気にしていましたが、最近はめっきりしなくなりましたかね。

福岡 さすがにレース前に揚げ物は食べないですが、前日とかだとそんなに気にしていないです。

――招集所ではどう過ごされていますか

竹内 招集所には僕は何も持っていかないですね。予選だと割かしリラックスして喋ったりはしますけど、絶対喋るとかそういうのは特にないです。

――今年の1年生の印象はいかがですか

福岡 みんな仲良く、結構楽しそうにしていますね。1年生同士で遊びに行ったりとかしていて、仲良くやっているんだなって。ただ、仲が良すぎてからか気を使ってかは分からないですが、1年生の仕事が誰かできていなかったりしたら1年生同士で言わないといけないんですけど、そういうのが足りていないかなと。

竹内 ちょっと気を使っているかな。まだ入りたてというのも若干あると思う。

福岡 仲はいいんですけど、そういうのができたらもっと良くなるかなと思います。

――福岡選手は新人教育係だと伺いましたが

福岡 1年生の教育や指導をする係なので、そういう1年生間で誰かができていないのを注意していなかったら僕が全体に注意したり、仕事ができていなかったら「ちゃんとやれ」と言います。でも僕も比較的1年生と仲良くやっていると思います。仲はみんないいですけどね。

「タフに戦います」(福岡)


個人種目は共に2本泳ぎたいという福岡

――インカレでの具体的な目標は何ですか

竹内 僕はけががあるので、とりあえず200の個人メドレーではA決勝に残って得点を最低限取るというのと、400は少し厳しいと思っているので、最終日は800メートルリレーに照準を合わせたいです。リレーの方が得点高いので、そっちでしっかりチームに貢献したいかなと思っています。

福岡 200メートルでは、B決勝に残って、400メートルではA決勝に残りたいなと思っています。まだ分からないですが、最終日に800のリレーに出られたら、A決勝には頑張って残りたいです。同じ種目の竹内がこんな状況なので、竹内の点が減る分、少しでも増やせればと思っています。

――男子200メートル個人メドレーで決勝進出となると、予選で必要なタイムは

竹内 2分2秒か1秒…。

福岡 1秒台を出せば残ると思う。多分(決勝進出ラインは)2秒前半とかになるやろ。

竹内 ここからあと1週間くらいで足を慣らして泳げるようになって、残り1週間でレース形式で練習していくつもりですね。どうなるかは分かりませんが、想定はそんな感じです。

――男子400メートル個人メドレーの決勝進出ラインはいかがですか

福岡 4分20秒前半くらいかな。

竹内 20秒を割ったら残る。

福岡 多分20秒5〜6。例年それぐらいですね。

――和歌山合宿など夏休みを通してどういったポイントを強化されてきましたか

竹内 僕は足が動かせないので上半身を鍛えていました。ウエイトトレーニングだと、(体の)各所だけでできるので、それを多めにやって泳がない分筋力が低下せず維持、向上するように努めていました。ですが、思ったより筋力がつきすぎてしまったかなというのはあります(笑)。

福岡 ついた?

竹内 背中は特についたよ。

――筋肉のつき過ぎは良くないのですか

竹内 良くはないですが、この時期なのでいいかなと。以前は肘を故障してしまっていたので、この休みの期間で肘のいい休養にもなったかなと思いました。

――下半身のコンディションに不安はありますか

竹内 今左右(の足の筋肉量の)差がひどいです。右足を今けがしてしまって、左足の筋肉も落ちてはいますが右の衰えがすごいです。

福岡 すごく細くなったよね。見ていて右と左で比べても右は細いなと思います。

――福岡選手はいかがですか

福岡 僕は個人メドレーなので全体的にやらないといけないですが、その中では特にクロールを意識して強化できればなと思って泳いでいました。8継(男子4×200メートルフリーリレー)もあるかもしれないし、個人メドレーは早慶戦のように最後のフリーでどれだけ粘れたり、追い上げられるかだと思うので。それまで速くても最後が遅かったら勝てないので、フリーで上げられるためにスピードや持久力を強化しました。あと、平泳ぎはそんなに得意ではなく、4種目の中で一番繊細で感覚が日々変わったりするので僕も波がありましたが、最近平泳ぎはまとまってうまく泳げてきています。去年のインカレ前は平泳ぎにあまり自信がなくて、本番ではたまたま(うまく)泳げたという感じでしたが、今年は平泳ぎがうまくきているので、僕の持ち味である後半上げられるような練習を積めてきたかなと思います。

――竹内選手は4種目でポイントとなってくる種目はなんですか

竹内 泳いだ感じとしては真ん中のバック(背泳ぎ)とブレ(平泳ぎ)がうまく足を使って泳げていないですね。バックでは足伸ばしにくい状況なのでダウンキックという下向きのキックの際に水が引っ掛かりにくく、ブレストでは足首を使ってひねるのがやりにくい状態です。真ん中の2種目が少しずつ感覚が戻ってくれば徐々にいいタイムが出てくるかなと思っています。

――リレーに関して、調子の方はいかがですか

福岡 自由形の調子は悪くはないですが、まだ良くなっていくかなという感じはしています。調子がいいなと思うときよりは悪いですが、まだ2週間あるので疲労も抜けてくれば自然に調子も上がってくると思います。そういう意味では万全ではないですが焦っている気持ちもないので、ゆっくり上げていきたいなと思います。

竹内 結局個人メドレーでもフリーは最後に粘って勝つために必要な種目でもあると思うので、個人メドレーの強化としてもフリーを重点的にやっていこうかなと思っています。4種目の中で割と自由形は泳げそうだなという感じがあって、個人種目よりもリレーの方が得点は大きいので、200メートル個人メドレーも頑張りますが、800メートルリレーの方に向けて頑張っていきたいなと思います。

――インカレでの自分以外の注目選手はどなたかいらっしゃいますか

福岡 丸山(優稀、法3=埼玉・大宮)。

竹内 同じく丸山(笑)。あとは幌村(尚、スポ3=兵庫・西脇工)も。

福岡 やっぱり同期は気になる。今井(流星、スポ3=愛知・豊川)も2年ぶりの出場なので頑張ってほしいです。丸山の優勝に僕は期待しています。

竹内 丸山は今シーズン絶好調なので、いいタイムが出ていい順位を取ってくれるだろうという期待があります。幌村はユニバーシアードでも見ていましたが、その時に比べると上から泳ぎを見ていると結構体重移動もうまくいっていて、ユニバーシアードよりもだいぶ速く泳げるんじゃないかなと僕は勝手に思っています。来年の東京五輪に向けてここでまた勢いをつけるいい試合にしてほしいです。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

竹内 できることをやる。

福岡 多分(今年も)最終日はタフなレースになります。去年は竹内ほどではなかったですが1日3本泳ぐタフなレースで、自分の中では結構きつく、3本目はちゃんと動かなかったです。なので、タフに戦います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 佐鳥萌美)


泳ぎで『魅せ』て、チームに『貢献』します!

◆竹内智哉(たけうち・ともや)(※写真右)

1998(平10)年7月31日生まれのA型。177センチ、75キロ。神奈川・湘南工大付高出身。スポーツ科学部3年。専門種目は個人メドレー。ユニバーシアードのあったイタリア・ナポリから日本に帰国される日の午前中、幌村選手ら同級生と選手村の周りを観光されたそう。現地のパスタやピザはおいしかったらしく、「また行きたいなと思えるくらい良かった」と話してくださりました!

◆福岡清流(ふくおか・せいりゅう)(※写真左)

1998(平10)年9月7日生まれのO型。173センチ、69キロ。大阪・桃山学院高出身。スポーツ科学部3年。専門種目は個人メドレー。インカレ2日目に21歳の誕生日を迎える福岡選手。ちなみにその日は男子200メートル個人メドレーに出場予定です。人生初のバースデーレース、いい結果を期待しています!