最終回を飾るのは主将としてチームをけん引する髙村佑樹主将(スポ4=千葉・東京学館浦安)と、2016年に全日本学生選手権(インカレ)王者に輝きラストイヤーでの返り咲きを期す小林雅哉(スポ4=千葉・東京学館浦安)の4年生の二人。高校時代から苦…

 最終回を飾るのは主将としてチームをけん引する髙村佑樹主将(スポ4=千葉・東京学館浦安)と、2016年に全日本学生選手権(インカレ)王者に輝きラストイヤーでの返り咲きを期す小林雅哉(スポ4=千葉・東京学館浦安)の4年生の二人。高校時代から苦楽を共にしてきた二人に最後のインカレ、そして最後の団体戦にかける思いを伺った。

※この取材は7月27日に行われたものです。

二人の出会いは・・・


お互いの歩みを振り返る髙村(右)と小林

――このペアは高校の同期ですが、まずお互いはどういった人物なのでしょうか

髙村 もういつからかはわからないんですけど(笑)。

小林 試合で一回当たって話すようになって、その後ヨネックスの合宿みたいなのがあって、そこに二人とも呼ばれていて、そこから色々。

髙村 急に端折るじゃん(笑)。中学の時だったんですけど、そこで結構仲良くなって、高校に入るときも一緒のところに行きたいねってなって一緒に学浦に入って、っていう出会いの経緯ですね。

小林 でも僕は正直入る前はすごいバカだと思っていたんですよ。中学の頃からすごく戦績を残していて、中学校に行けていなくてテストとかも受けていなかったので、評定がめっちゃ低かったんですよ。だからすごくバカだと思っていたんですけど、めっちゃ頭良くて。

髙村 逆に僕は頭良いと思っていたんですけど。高校の入試があって、その結果でクラス分けがされるので、雅哉と同じクラスになりたかったので、結構頑張ってやったんですよ。そうしたら僕だけ上のクラスで雅哉は下で(笑)。「あれ、バカだったの?」って、そこで気付くっていう(笑)。

小林 「あれ、そんなに頭良いの?」って

髙村 しかも最初の中間テストでクラス一番だったからね。

小林 それで、僕は下のクラスで半分より下だったっていう(笑)。ちょっとびっくりしましたね

――髙村選手は勉強は得意なのですか

髙村 僕は科目にもよるんですけど、数学とか現文は結構大好きで。親にも結構言われてきましたし、やっているうちに好きになっていましたね。

小林 聞いてたら笑っちゃう。

髙村 現文めっちゃ不得意なんですよ雅哉は。

小林 日本語がわからないじゃないですか。

髙村 現文でテストどこ出るのみたいなことを結構聞かれたんですけど、現文は読めばわかるじゃん、答え書いてあるじゃんって。

小林 文章も長いですし、設問もなにこれみたいな感じです。古文もできなかったです。

――高校時代の印象的なエピソードはありますか

髙村 2年のインターハイのダブルスで組んでいて。高校の大会は全部組んでいたんですけど、ベスト4決めの試合で雅哉がチャンスボールを打ったんですよ。僕は前で構えていたんですけど、横をパッと見たら雅哉がぶっ倒れてるんですよ(笑)。意味わからないじゃないですか。「痛い」みたいな。

小林 ジャンプして打ったんですよ。そうしたら左足が右足を蹴っ飛ばしちゃって。そうしたら着地足がなくなっちゃって、左手で着地したら手がいかれちゃって。

髙村 それで雅哉はシングルスも残っていたんですけど、そこからバックが打てない状態で試合をしていて。それなのにインターハイその年準優勝するっていう(笑)。「いやいや、あいつバック打てないはずなんだけど」って僕はびっくりしていましたね。決勝もめっちゃ良い試合してるし、すごいなと思って見ていました。

小林 ダブルスは四日市工の島袋(将副将、スポ4)と当たって。強かったですね。

髙村 あとは、僕が団体戦全部負けるっていう。

小林 大事な試合全部負けていました。

髙村 僕と雅哉がシングルスを取らないと厳しいんですよ。ただ僕が団体戦に弱くて、絶対負けるんですよ。それで雅哉は必ず勝つんですよね。大事な試合は絶対に雅哉は取って、僕は絶対に負けてました。

小林 僕ら団体戦ベスト8以上行ったことがなくて、2年の選抜の時にベスト4いける可能性があったんですけど、ベスト4決めで僕がファイナルのタイブレークで勝って。D1は落としちゃって、S3が勝って。

髙村 僕かD2が取れればベスト4だったんですけど、僕は3−6、6−7というなんとも言えないスコアで負けて(笑)。

小林 相手も足をつっている感じで、ファイナルのタイブレークも6−3アップだったんですよ。1ポイント取ればセカンド取ってワンチャンいけるだろうっていう感じだったんですけど、そこから1ポイントも取れずに負けるという(笑)。

髙村 懐かしいね。

――高校時代は勝負弱かったのですか

髙村 勝負弱かったというか、本当に団体戦が苦手で。サーブ打つのも怖くて、コートもすごく小さく見えちゃって。手も震えるぐらい団体戦が苦手で。それで負けて毎回泣くんですよ(笑)。本当に苦手でしたね。

――今は団体戦が苦手という印象は一切ありませんが

髙村 大学入ってからは全然嫌じゃないですね。緊張することもあまりないんだよね。なんでだろうなとは思うんだけど。高校の時の方が背負っていた感があった。すごく怖くなっちゃっていましたね。大学の方が伝統とかもありますし、不安だったんですけど。

小林 僕は大学の方が緊張しますね。やっぱり9本って多いじゃないですか。周りが競っていて、自分がプレーしている時に「ここで落としたらやばいんじゃないか」みたいな余計なことを考えちゃうんですよね。1年生の時はそういうことはあまり考えなかったんですけど、学年が上がるにつれて考えるようになっちゃったので、緊張しますね。ノンプレッシャーでできるのが一番なんですけど。

――髙村選手は今年は主将で、緊張する場面もあるのではないですか

髙村 早慶戦でも緊張はあまりしてなかったよね。

小林 最初から声出してたよね。大丈夫かな、疲れないのかなと思ってたけど。

髙村 まあ結果つったからね(笑)。入ってすぐに、これ押されるなと思ったもん。

小林 4セット目の最後も死にそうな顔してたし、背筋もつって大丈夫かなって。

髙村 いつも馬鹿にされる(笑)。でも緊張はしなかったですね。

小林 見てる方が緊張しない?

髙村 それはあるかもしれない。高校時代の方が緊張したな。入る前にお腹痛くなってましたもん。雅哉がやっている時に、入る前にお腹が痛くなってお父さんにさすってもらいましたもん(笑)。なので今のメンタル状態で高校の試合やりたいなと思う時はありますね、後悔はないんですけど。

――大学に入って緊張しなくなった理由は何かあるのでしょうか

髙村 早大の雰囲気のつくり方というか、団体戦に向けての練習がいいのかなって思ったりしますね。1年目の春の早慶戦にダブルスで出て、その時も少し緊張したんですけど、高校の時ほど緊張しなくて。そこがターニングポイントだったかなと思います。早大はみんなで戦っている印象が強いですね。

小林 応援してる時に、フォアでイージーミスとかしたら「あー、これチキってんぞー」とか思ってた(笑)。

髙村 腹たつわー(笑)。それはいつも通りだから。でも3セット目ぐらいから緊張し始めて、4セット目も少し危なかったんですけど、それ以降は緊張とかもあまりしなくなって。出たからには負けられないという使命感が強かったですね。負けられないというのは一緒なんですけど、託してもらっている嬉しさみたいなものが違ったのかなと思います。悩みに悩みましたね、高校時代は。

主将としての意識


主将としてチームをけん引する髙村

――4年生になって、心境の変化などはありましたか

髙村 僕は主将になってから一番大事にしているのは、部員全員を見てあげようっていうのを意識していて。それは主将になってからずっと意識していることで、そのことで色々な部員がどういうことで悩んでいたりだとか、どういうモチベーションでテニスをしているのかがわかるようになって。自分だけじゃなくてそういうのが見えてきたのが面白いなと感じましたし、一人一人に興味を持ちましたし、一人一人が可愛く(笑)、ファミリーのように感じるようになりましたね。

小林 僕はそんなに仕切る感じでもないので、髙村に任せている部分もあって、申し訳ない気持ちはあるんですけど(笑)。でもやるときはちゃんと自分はやっているので、それを下が真似してくれればいいんですけど、僕らの代は少し甘いので。前に比べれば言うようになったので、良くはなっているかなとは思います。

髙村 僕はただただ怖い主将にはなりたくなくて、できないことがあったらなんでできないのかを一緒に考えたいと思っていますし、どうしたらみんなが話を聞いてくれるかなとか、どうしたらみんながモチベーション高く取り組めるのかなとか、みんなのことを色々考えながらやっていますね。そういう部分では主将をやって成長したなと思うことは多いですね。

――春の個人戦を振り返っていかがですか

髙村 僕は春関(関東学生トーナメント)は最悪でしたね。こんなにテニスが上手くいかないのかと長いテニス人生で初めて思ったかもしれないですね。去年のケガの影響もあって、その中で就職活動とかもあって、前までできていたテニスができなくなって、自分の思っているテニスと差があるのがこんなに辛いのかと思ったのが春関でしたね。

小林 早稲田オープン(早稲田大学インターナショナルオープン)の時は自分的には納得していなかったんですけど、周りから見たら悪くはなかったみたいで。春関もプレーは悪くはなかったんですけど、体力的な部分の課題が見つかったので、インカレまでには体力も付けないといけないなと思いました。

――早慶戦はお二人出場なさいましたが、振り返っていかがですか

髙村 僕は就職活動をしていたことあって全然体力が足りなくて、実力的にも納得してない部分が多かったので、体力面と技術で課題があったと思います。

小林 すごく緊張しました。春関で体力が足りなかったこともあって不安はあったんですけど、あまりラリーも長くなかったので、きつくはなかったですね。

――早慶戦後チームとしての雰囲気としてはいかがですか

髙村 少し甘さがあったというか、練習と試合の差が激しい選手がいたなと思いました。なので早慶戦後から全体的にトレーニングを追い込んで。練習と試合での差が激しい人は練習の意識から、僕や副将の古賀(大貴、スポ4=大分舞鶴)で声をかけたりして取り組んできましたね。

――副将のお二人の印象はいかがですか

髙村 島袋は置いておいて(笑)。勝ってくれるので、プレーでチームを引っ張ってくれているかなと思います。古賀は本当に優しいんですよ。情に熱いというか。自分の考えがあっても自分を立ててくれるというか、男前で大人な一面を持っているんですよ。かっこいいんですけどそんな古賀くんにも弱点があって、テニスに熱中しすぎると自分の世界に入っちゃうんですよね(笑)。でも人間的にすごく尊敬できるところが多いですね。堀くん(凌輔、社3=福岡・柳川)は育成層を見てくれていて、堀自身も春関で勝ってくれて。悩みながらも頑張ってくれているなと思います。

――1年生の印象はいかがですか

小林 変わっているなと思います。個性豊かだなと。

髙村 個性豊かだね。いい意味でね。それが心地いいと思います。

小林 早稲田に入る人はみんなそんな感じじゃない?(笑) 僕自身もあまり気を使わずにいられるので、やりやすいですね。

髙村 僕は全員とコミュニケーションを取ろうと思っているので、色々と話しかけるんですけど、みんな返しが面白いですね。

――面白いなと感じる部員さんはいらっしゃいますか

小林 ぶっ飛んでるなと思うのは、光(白石、スポ1=千葉・秀明八千代)。

 3年だと二択だね。

小林 昇平(千頭、スポ3=愛知・誉)か、颯大(藤井、スポ3=京都・同志社国際)。

髙村 やっぱりその二だよね(笑)。そこは選べない(笑)。

小林 でもあと3ヶ月ぐらいだと思うと寂しいですね。みんなと過ごす時間もあと少しだなと考えると寂しいですね。

――遊びに行くこととかもあるのですか

髙村 僕この前渡部くん(将伍、スポ1=愛知・名古屋)とコツメイトに行きました。カワウソとか、モモンガとか、ハリネズミと触れ合えるカフェがあるんですけど、2人で行ってリラックスしてきました(笑)。

小林 柴犬カフェ行きたいですね。結構前に猫カフェに行って。猫アレルギーなんですけど(笑)。

髙村 カラオケ好きだよね、めっちゃ行ってるよね。

小林 カラオケ部があるので、カラオケ部は1年が女子3人と、僕と安上(昂志、スポ4=福岡・柳川)と、藤井峻介(商3=愛知・昭和)とか。僕は結構ジブリとか歌いますよ。

髙村 すごいですよ。オペラ歌手聞きにきたのかなと思うぐらいです。マイマイク持ってるんですよ。訳分からなくないですか(笑)。

小林 性能がちょっと違うんですよ。それで点数を競ったり、人数がそろったら団体戦とかをしています。

――最後の夏休みですが何かしたいことなどはありますか

小林 遊びに行きたいですね。富士急行きたいですね。

髙村 でも去年の王座終わりにみんなで行きましたよ、富士急。プール行きたいです。

小林 でも泳げないじゃん。

髙村 なんで25メートルプール行くの?

小林 アイススケートやりたい。

髙村 それはね、冬のスポーツだね。

小林 でもテニスを楽しみたいですね。テニスをやりたいです。大学最後なので、楽しんで終わりたいです。悔しく終わりたくないですね。

「やり切る」(小林)


最後のインカレへ向け、意気込みを語る小林

――最後のインカレが迫っていますが、現在の心境としては

小林 僕は単複予選なので8日からなんですけど、そう考えると2週間を切っているので。焦ってはいないんですけど、やり切れるように頑張ろうと思っています。あっという間ですね。

髙村 僕もインカレは大事なんですけど、インカレが全てじゃないのかなと思います。去年の坂井さん(勇仁、平成31スポ卒=現伊予銀行)もシングルスは藤井颯大に負けて、そのあと話した時に、藤井颯大に負けてもそこまで悔しい雰囲気じゃなかったので。「自分が藤井颯大に負けても早稲田が勝ってくれれば」っていう話をしていて、これが主将なのかなってその時思いました。僕自身自分が勝ちたいのももちろんあるんですけど、それが全てじゃないかなと。早稲田が上位を占めてくれれば僕はそれで嬉しいのかなと思います。自分が頑張っていないとかじゃないんですけど、みんなの頑張りが自分がつくり上げてきたチームがどれだけ結果を出せたかっていうのが自分の頑張りでもあるのかなと感じます。

――インカレの後には団体戦も迫っていますが、チームの状況としてはいかがですか

髙村 正直なんとも言えないなという状況ですね。良くも悪くもない感じで。ただ全員が頑張っていると僕は見えているので、調子どうこうじゃなくて。やれる事はやったかなという思いです。他のチームを見ていないのでその部分はわからないんですけど、早稲田としてやるべきことはやったのかなと思います。

――インカレでの個人的な目標はありますか

髙村 優勝でしょ。

小林 4年で花咲かせちゃう?でもそんなに簡単な世界ではないと思うので、個人的には頑張ってベスト8には行きたいですね。ベスト8まで行ければそこからは気持ちよくプレーできればいいなと思います。ダブルスは藤井颯大とで、僕的には組んでいてすごく楽しくできているので、行けるとことまで行ければいいかなと思います。

髙村 個人的にはベスト4に入りたいなと正直思っています。自分の実力が出せればそのくらい行けると感じているんですけど、かみ合わない部分もあって、そこをうまくかみ合わせて、ベスト4に入りたいなと思います。ダブルスは丹下(将太、教1=東京・早実)となんですけど、自分が丹下に伝えられることを伝えられればいいかなと思います。上に行きたいですけど、ダブルスのことを丹下が色々と吸収してくれればいいかなと思います。

――最後に、インカレへ向けて一言意気込みをお願いします

髙村 インカレで頑張るのももちろんなんですけど、今まで頑張ってきたことを出す場なのかなと思います。早稲田として頑張ってきたとことをインカレでみんなで証明したいですね。

小林 さっきも言ったんですけど、やりきって終わりたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 林大貴)


最後のインカレへ向けた思いをしたためていただきました!

◆小林雅哉(こばやし・まさや)(※写真左)

1997(平9)年9月22日生まれ。170センチ。千葉・東京学館浦安高出身。スポーツ科学部4年。

◆髙村佑樹(たかむら・ゆうき)(※写真右)

1998(平10)年1月11日生まれ。175センチ。千葉・東京学館浦安高出身。スポーツ科学部4年。