全日本ラリー選手権第7戦Sammy横手ラリー2019は7月28日にすべてのスケジュールを終え、JN1クラスでは勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が今シーズン2勝目を獲得した。2位には新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)、3位に…

全日本ラリー選手権第7戦Sammy横手ラリー2019は7月28日にすべてのスケジュールを終え、JN1クラスでは勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が今シーズン2勝目を獲得した。2位には新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)、3位に奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)が続いた。

2日日は計6SS、56.06km。前日のSSを逆方向に2度走行するという構成だが、前日までに刻まれた轍とはラインが異なるため、攻略はひと筋縄にはいかない。オープニングステージのSS7は雨に見舞われ、ウエットコンディションのもとで競技2日目の幕が開いた。





JN1クラスはSS7で2番手の奴田原がパンクを喫して30秒以上を失い4番手に後退、さらにSS9では首位の新井大輝がエンジントラブルから戦線離脱を余儀なくされた。これで首位に繰り上がったのは勝田。前日は猛暑から来る体調不良に悩まされたが、この日は2度のベストタイムをマークしてキッチリと首位の座を守り切ってみせた。2位は新井敏弘、3位には奴田原というポジションとなっている。4位は中平勝也/行徳聡(スバルWRX STI)、5位に柳澤宏至/保井隆宏(スバルWRX STI)という結果となった。

第2戦新城以来の勝利となる勝田は「最初はどうなることかと思いましたが、無事に帰ってくることができました。タイヤの磨耗も厳しかったし、熱中症など散々でしたが、結果は良かったですね。今回は北海道に向けていい流れで終えられたと思いますが、まずはクルマを直さないと。四隅ぶつけてしまっているので(笑)」とコメント。2位の新井は「大輝のセットアップを参考にしたのがダメだった。走り方を合わせ込むにはもう少し時間が必要だと思う。夏合宿もやるし、次戦に向けては午後のセクションみたいな運転をしていれば大丈夫かな」と語った。3位の奴田原は「今日は逆方向なので轍が合わず、攻め方が難しいですね。パンクでトップ争いから落ちてしまったのは残念でしたが、まずは走り切れて良かったかなと。次もこの調子で頑張っていきたいです。マシンにも特に大きな変更をするつもりはありません」と、ラリーを振り返った。





ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)に対し25秒のリードを築いていたJN2クラスは、前日オーバーヒートに悩まされた上原が対策を施して力走。6SS中3SSでベストタイムをマークし、さらにコバライネンに対して40秒のペナルティが科されたこともあって、上原が今シーズン2勝目を獲得することとなった。前戦に続く連勝となった上原だが、「(ペナルティでの)決まり方はあまりうれしくないですね(苦笑)。ともあれ、頑張った甲斐がありました。これでラリー北海道も勝って、有利に戦いを進めたいと思います」とコメント。2位のコバライネンは「鍵は今日のセカンドステージ。難しくて、午前中はタイムロスしてしまったけど、午後の1-2本目は砂利も掃けてしっかりとグリップを得られたから、いい勝負ができたと思う。ラリー北海道はSUPER GTと日程がかぶってしまっているから、次は第9戦のハイランドに出るんだ。ターマックの走らせ方は良く知っているから楽しみだね」と意気込みを語った。





JN3クラスは、初日からリードを広げる山本悠太/山本磨美(トヨタ86)が、SS8〜SS12まで5連続ベストタイムをマークする快走を見せて今季5勝目。2位には久々の参戦となる竹内源樹/竹原静香、3位には和氣嵩暁/原澤潤平、4位には加納武彦/横手聡志とスバルBRZが3台ならんで入賞を果たしている。山本磨美は今回の勝利によって、2019年のクラスチャンピオンが確定するかたちとなった。

これで3連勝となる山本悠太は「今回のラリーは全体的にコースが楽しかったです。気温も高くてタイヤに厳しく、考えながら走りました。タイヤも減りすぎることもなく、内容的には良かったと思います。色々とデータを取ることができたので、次のラリー北海道に向けて色々なテストをやれたらなと思います」とラリーを振り返った。





スズキ・スイフトスポーツが上位を争うJN4クラスは、関根正人/草加浩平が前日のクラス4番手から大躍進を見せて、逆転優勝を飾ってみせた。2位は高橋悟志/木村裕介、3位に古川寛/大久保叡となっている。2日目の出走順が大きく響いたのではないかと関根は振り返る。これで関根は3連勝。今回のラリーでは草加浩平がひと足早くチャンピオンを確定させている。

関根は2日目の逆転劇について、「周りとのタイム差を考えれば出走順しかないでしょう。でも、こんなにうまくいくとは思いませんでした。午前のループを頑張ったらタイム差をつけることができたので、午後は落ちついて、リスクを避けて走りました。次のラリー北海道は地元なので、もうちょっと引き離せたらいいなと思います」と笑顔でコメントした。





天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR)が首位を快走するJN5クラス。天野は2日目も順調な走りを見せて、この日行われたすべてのSSでベストタイムをマーク、今シーズン6勝目を得てチャンピオンを確定させた。天野にとっては6年連続11回目、井上にとっては10年連続12回目のチャンピオン獲得という大記録だ。2位には本名修也/湊比呂美(マツダ・デミオ)、3位には三苫和義/遠藤彰(ホンダ・フィット)が入っている。

天野は、「前日30秒のペナルティがあったので総合順位は下がってしまいましたが、無事に完走できチャンピオンを獲ることができました。暑い時には自分の体力も鍛えておかなければという感じですね。チームとしては、新しいコ・ドライバーを教育するなどのプランもあるので、チャンピオンを獲るのとは別の目標をもって後半戦も参戦しようと思っています」と、今後の方針について言及している。





JN6クラスは大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が負けなしの7連勝を挙げてタイトルを確定。全SSでベストタイムをマークする強さを発揮して見せた。2位はいとうりな/大倉瞳(トヨタ・ヴィッツCVT)、3位は中西昌人/廣島真(マツダRX-8)。日産ノートe-POWER NISMO Sで参戦するプレイドライブ・ラリーチームの伊藤隆晃/大高徹也は4位でラリーを終えた。

新しいCVTユニットの出来に大満足の大倉は、「今回はチャンピオンがかかっていたのでプレッシャーもあったのですが、マシンが非常に良くなっていて、それが一番うれしかったですね。いよいよ“ラリーのCVT”になってきたかなという感じがします。また、今回ラリー北海道に向けてサスペンションを色々とやってきてくれたのが、非常にいいかたちになってきているので、ラリー北海道は非常に楽しみですね」と次戦に向け意気込みを語っている。

次戦は約2カ月のインターバルを置き、9月20日〜22日に北海道帯広市を中心に開催される第8戦RALLY HOKKAIDOが戦いの舞台となる。まだチャンピオンの確定していないクラスも選手権争いが熱を帯びてくるはずだ。

Sammy 横手ラリー2019 全日本ラリー選手権 正式結果
1. 勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI) 1:39:09.1
2. 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +31.9
3. 奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX) +38.6
4. 中平勝也/行徳 聡(スバルWRX STI) +2:22.3
5. 上原 淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビックタイプR) +6:24.3

8. 関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ) +7:32.5
12. 大倉 聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT) +8:53.7
13. 天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ) +9:18.0
15. 山本悠太/山本磨美(トヨタ86) +9:35.0