フレッシュオールスターの解説の仕事をさせていただくのは、昨年に続き、2回目になる。 弘前で行なわれた昨年は霧雨で蒸…

 フレッシュオールスターの解説の仕事をさせていただくのは、昨年に続き、2回目になる。

 弘前で行なわれた昨年は霧雨で蒸し暑く、津軽富士(岩木山)も見えなかったが、今年の仙台はひんやりと涼しく、曇ってはいたが、左中間後方にそびえる雄大な観覧車のイルミネーションも明るく映えて、未来のプロ野球界を担う若者たちの”祭典”を盛り上げていた。

 イースタンの先発は吉田輝星(日本ハム)、ウエスタンは梅津晃大(中日)。吉田は、いきなり小園海斗(広島)にライトスタンドに放り込まれたが、根尾昂(中日)には真ん中高めにホップするストレートで空振りの三振に打ち取った。



フレッシュオールスターで2回を無安打、2奪三振の快投を見せた梅津晃大

 この吉田の派手な立ち上がりを見て、梅津のテンションが上がり過ぎなければいいなと思っていたが、杞憂に終わった。

 17000人の観衆が見つめる大舞台。イースタンの先頭打者・藤原恭大(ロッテ)は、カウント2-2から150キロのストレートで空振り三振。スピードといい、角度といい、球筋といい、立派な一軍ローテーション投手の迫力だった。

 2番の小郷裕哉(楽天)には149キロのストレートでレフトフライ。全力投球なのに、高めに抜けるボールがない。これは本物じゃないか……思わぬ快投にこちらのテンションもグッと上がったところで、3番の山下航汰(巨人)はセカンドゴロ。危なげなく三者凡退に打ち取った。

 2回も、4番のDH・中山翔太(ヤクルト)を見逃しの三振、5番・伊藤裕季也(DeNA)をサードゴロ、6番・茶谷健太(ロッテ)をショートフライと、2イニング連続の三者凡退。ヒットどころか、バットの芯でとらえられることも、タイミングを合わされることもない、まさに”完璧”なピッチング。梅津の潜在能力の高さを、あらためて思い知らされた。

 梅津は大学時代、上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)とともに”東洋大三羽烏”として注目を集めていたが、ケガなどもあって彼らほど実戦経験は積んでいない。

 ドラフト2位で中日に入団するも、右肩に”インピンジメント症候群”という症状が出た。インピンジメント症候群とは、肩を上げようとしていくと、ある角度で痛みや引っかかりが起こり、それ以上、上がらなくなることである。

 ウエスタンリーグで投げられるようになったのも5月あたりからで、フレッシュオールスターでの登板を聞いたときも、「本当に大丈夫なのか……」と思っていたほどだ。だからこそ、あれだけのボールを投げたこと自体、驚いたし、うれしかった。

 ボールの威力も投げっぷりも見事だったが、思わず「すごい」と感心したのは、ストレート1本勝負と見せかけておいて、打者にも見ている者にもわからないように、こっそりとボールを動かしていたことだ。

 登板直後のインタビューで「真っすぐだけだでと危ないなと思ったバッターには、ちょっと変化球も混ぜながら……」と証言したように、したたかな一面をのぞかせた。これも大事なピッチングセンスである。

 元チームメイトの上茶谷は、ローテーション投手としてここまで(7月14日現在)14試合に登板し、5勝3敗、防御率3.46。甲斐野はリリーフとして36試合に登板し、1勝1敗7セーブ、防御率2.43。ともに一軍で確固たる実績を残している。

 そんな彼らに比べれば比較にならない1年目であろうが、梅津のプロ野球人生はまだ始まったばかり。

 昨年のドラフト前、あらゆるメディアで東洋大の3人についてこう言ってきた。

「今は梅津が3番目かもしれませんが、5年経ったら梅津が1番になっていても、なんの不思議もありません」

 調子の良し悪しに関わらず、試合をつくれる上茶谷。快速球とフォークでここぞという場面で三振を奪える甲斐野。彼らと比べると、今はまだ特長はないが、ボールの威力、質、なによりスケール感は、梅津が一番だと思っている。

 フレッシュオールスターでの梅津のピッチングを見て、本格化するまでそう時間はかからないと見た。胸のすくような痛快なピッチングをできる若武者が、またひとりプロ野球界に登場したのは間違いない。