王者の壁を打ち破ることはできなかった。J3・ブラウブリッツ秋田を完封し進出した2回戦は、前年度J1王者・川崎フロンターレ(以下:川崎)との一戦。「立ち上がりに固さがあった」(栗田大輔監督)。前半15分にオウンゴールで先制を許してしまう。その後はGK加藤が幾度となく好セーブを見せ、試合終了間際には決定機も迎えたがゴールは遠く。「悔しいという言葉では言い表せないくらい悔しい」(岡庭)。0―1で天皇杯から姿を消すこととなった。

 キックオフから「いつもの明大」とは程遠い姿。前半15分、コーナーキックを知念慶(川崎フロンターレ)がヘディング。中村健が掻き出すが、ボールは佐藤瑶に当たりゴールイン。不運な形で先制を許すと、川崎の攻撃陣が牙をむいた。「ボールを奪われて、守備に回されて、体力削られて、という事の繰り返し」(岡庭)。パスをカットされる場面も増え、川崎ペースでの展開が続く。この窮地を救ったのが守護神・加藤だった。「川崎に対して2失点目は死に近い。ゴールを守るという自分の仕事ができた」(加藤)。再三にわたる好セーブで明大に希望をもたらし、1点差を保ったまま前半を終える。

 

 「本質から考えろ」「いつも通りに」。げきを飛ばしあったハーフタイム。後半戦のピッチには活気を取り戻した明大イレブンの姿があった。「臆することなく攻めることができた」(安部)。前半0本に抑えられたシュート数は6本と川崎を上回り、チャンスは確実に増加。それでも依然とゴールを揺らすことはできないまま、終了間際のアディショナルタイム2分。最大にして最後のチャンスが訪れた。岡庭のクロスを中で受けた須貝。GKと1対1の場面で振り抜いたボールは、無情にも枠外へ。「ここで決めることができないというのがプロとの差」(須貝)。つかみかけたジャイアントキリングは、あと一歩のところで届かなかった。

  確かな爪痕は残した。2年連続で日本サッカー界の頂点に立ったチームに対し、紙一重の好ゲーム。詰め掛けた約8000人のファンに対しても、明大の強さ、大学サッカーの持つ面白さというものは十分に伝わったはずだ。「個々のメンバーがどう感じたか。全てにおいて向上していかなければいけない」(佐藤亮主将)。立ち止まってはいられない。リーグ戦、総理大臣杯、インカレ。これから先も続く戦いに向け、敗戦を糧にリスタートを切る。

[高野順平]

★キャンパスから直通バスが運行★

 和泉、駿河台キャンパスから等々力陸上競技場まで、直通バスが運行。それにより授業終わりの多くの学生が観戦に訪れた。実際に乗車した学生は「会場までの道順を調べる手間がなかったので、便利だった」と語った。

 

バスに乗車する学生たち

試合後のコメント 

栗田監督

――試合を振り返っていかがでしたか。

  「川崎フロンターレという素晴らしいチームと対戦できてよかったです。8000人という多くの方に声援を送って頂いたことに関して、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ゲームについては、0―1という得点ではありましたが、得点差以上に大きな技術の差、質の差を感じました。後半については明大らしく、前からプレスをかけて背後へのランニングを増やすということをハーフタイムに指示したので、チャンスは増えましたが、(最後は敗北という)結果に出たのかなと思います」

  

加藤

 ――ご自身のパフォーマンスについてはいかがでしたか。

  「練習を積み重ねた結果を出すことができました。しかし、阿部選手のチップキックをやられたときに、これがプロのレベルかと思いました。少し前で勝負したいと思って、ポジショニングを前に出したところをプロは見逃さないというのが、大きな気付きになりました」

須貝

――最後の場面について教えてください。

 「完全にフリーでした。自分があそこでしっかり決めていれば同点だったので。チームに申し訳ない気持ちでいっぱいです。ボールが来たときに丁寧に左隅に蹴ろうというイメージでしたが、(足が)深く入りすぎてしまって、外れてしまいました。そこがプロとの違いだと思います」

佐藤亮

――プロと対戦して、どのような思いが生まれましたか。

 「端的に言えばこのままではサッカー界を退けないと思いました。このままサッカーを辞めて一企業に入って悔いが残らないかと言えばそうではないです。プロの世界に自分から門を叩いて、この悔しさをこれからのサッカー人生で晴らしたいという気持ちが強くなりました」

――今後大学サッカーを盛り上げていくために、どのようなことが求められるでしょうか。

  「このような試合に勝ち切ることが大事ですね。今回はその機会をつかみ取ることができなかったので、大学サッカーで結果を出し続けるしかありません。これから明治が一つでも二つでも上のステージに行くために、明日からの日々のトレーニングや生活に磨きをかけていく必要があります」