F1との併催が原則の“F1直下ワンメイクシリーズ”、FIA-F2選手権(旧名:GP2)に今季から復帰した松下信治(のぶはる)が、オーストリア戦のレース1でシリーズ2年ぶりとなる優勝を飾った。ホンダ製のF1エンジン/パワーユニットが2006年…

F1との併催が原則の“F1直下ワンメイクシリーズ”、FIA-F2選手権(旧名:GP2)に今季から復帰した松下信治(のぶはる)が、オーストリア戦のレース1でシリーズ2年ぶりとなる優勝を飾った。

ホンダ製のF1エンジン/パワーユニットが2006年ハンガリーGP以来13年ぶりに優勝を飾った今年のオーストリアGPの週末、開催地のレッドブルリンクではもうひとつ、ホンダと日本にとって嬉しいニュースが生まれていた。現地6月29日の土曜日に実施された、併催のFIA-F2今季第6戦の「レース1 決勝」で、ホンダ系の有望若手選手のひとり、松下信治が優勝。F1を目指す彼の今季初勝利が、ホンダ久々のF1優勝の前景気を煽っていたことになる。

予選4位の松下(#2 Carlinチーム)は、レース1決勝でスタートこそ少し出遅れ気味だったが、ポジションを守りきると、序盤から順位を上げていき、早い段階で2番手へと上昇。早めにタイヤ交換する作戦を採り(レース1には“タイヤ交換義務”がある)、似た戦略で走るグループのなかで2番手をキープしていく。やがて、タイヤ交換をレース後半に引っ張っているグループにも追いつき、松下は“総合”のポジションも上げていった。

全車がタイヤ交換を済ませた後、40周レースの35周目に松下はそのときトップだったマシンをパス、そのまま優勝を飾った。GP2~F2には2015~17年にも参戦し、毎年1勝以上していた松下だが、予選結果がグリッドに反映されるレース1での勝利は自身初めて(レース2のグリッドはレース1の決勝結果で決まり、上位に“リバース制”が適用される)。

松下信治のコメント
「スタートはうまくいかなくて外から並ばれましたが、ブレーキには自信があったので、(4番手の)ポジションを守れて良かったです。その後、タイヤ交換をする前に2台を抜けたことも良かったですね。予定通りのタイヤ交換を終えて、そこからは“タイヤ勝負”だと思っていたので、タイヤをマネージメントしながらのレースでした」

「とにかくクルマが良かったですし、トップのペースもそれほど速くはなかったので、そんなにがんばらなくてもいいペースでいけました。ピットインしていないクルマを抜くときに、1回ミスしてしまい、トップとの差が広がりましたが、クルマの感じも良くて、レース終盤には追いつき、追い越すことができました。優勝はもちろん嬉しいですが、マシンの状態が良く、自分もアグレッシブなレースができたことが一番嬉しいです」

松下は1993年10月生まれの現在25歳で、2014年の全日本F3王者。翌15年からの3シーズンをGP2~F2で戦い、昨年は全日本スーパーフォーミュラ選手権を主戦場としたが、今季はFIA-F2に復帰している。F2復帰の実現にあたっては、自身の強い希望と努力があったといわれる。

待望のレース1優勝を得たことで、彼が目標とするF1参戦に向けて、新たな一歩を踏み出したといえるだろう。もちろん、道はまだまだ険しいと思うが、今季これからのさらなる飛躍を期待したい。