「ウィンブルドン」の前哨戦である「ATP500 ロンドン」で、あちこちで問題を引き起こしているニック・キリオス(オーストラリア)がまたしても審判と派手にもめた。線審のコールに納得せず抗議し、審…

「ウィンブルドン」の前哨戦である「ATP500 ロンドン」で、あちこちで問題を引き起こしているニック・キリオス(オーストラリア)がまたしても審判と派手にもめた。線審のコールに納得せず抗議し、審判を汚い言葉で罵った後、途中で試合をやめると脅したと、イギリスの The Sun紙など複数のメディアが伝えている。彼が過去に引き起こした騒動と、それによって科された罰金の数々も振り返ってみよう。

2019年6月、キリオスはロンドンの大会で、悪天候のため順延された1回戦でロベルト・カルバレス バエナ(スペイン)と対戦。第1セット5-4でリードし、30-40でブレイクポイントを握っていた時、相手のセカンドサーブがフォールトだと思い、審判に抗議。「こんなに(両手を30cmぐらい離して)アウトだったじゃないか。冗談じゃない。一体何をしているんだ?こんな試合やってられない!」と、試合拒否の態度を示しつつ汚い言葉を交えて罵った。

この「スポーツマンらしからぬ言動」により警告を受けると、キリオスは審判の帽子まで罵った。「あんなにアウトだったのに、冗談にもならないよ。そこで何をやってるんだ。だいたい、その帽子もなんなんだ。晴れてもいないのに」主審は答えた、「ニック、言葉に気をつけた方がいい」

だがキリオスは聞かなかった。「あんたに話しかけてない。俺に話しかけるな。ひどいもんだ。俺のことを努力しないとか言うけど、セットはもう終わってたんだ。ダブルフォールトだったんだから。なのになんで5-5で続けなきゃならなかったんだ。冗談じゃない。あいつのサーブは遅いのに、なんで間違えるんだ」

この後キリオスは6-5とリードするが、コートチェンジの際にまた続けた。「ひどい冗談だ。俺にはいつもこうだ。あんな遅いサーブをあんな外に打ったのに。あんた(主審)は最低の仕事をしてるから話しかけるのも嫌だよ」さらに線審には「あんたもだ。わざとやってるだろ」

そして6-5からのカルバレス バエナの最初のサーブがアウトとコールされると、キリオスはわざとらしくラケットと手で拍手し、「ワアオ。よくやった」と線審を讃えた。

キリオスはこの試合を7-6、6-3で勝利したが、順延のせいで同日に行われた2回戦で敗退。審判についてキリオスは「選手は警告を受けたり罰金を科されるのに、なんで審判にはそれがないんだ?こっちは何十万ドルという賞金がかかってるんだ」と息巻いた。

キリオスはこれらの「スポーツマンらしからぬ言動」に対して13,766ポンド(約190万円)の罰金を科された。ちなみに今大会でキリオスが受け取った賞金は28,620ユーロ(約350万円)。

イギリスの Express紙によれば、キリオスは2015年には「全豪オープン」で暴言とラケット破壊のため5,000ドル(約53万円)、「ウィンブルドン」で暴言とスポーツマンらしからぬ言動のため15,000ドル(約160万円)、「ロジャーズ・カップ」では恋人のことでスタン・ワウリンカ(スイス)を侮辱したカドで13,000ドル(約140万円)。2016年には「全豪オープン」で4,300ドル(約46万円)、「全仏オープン」で6,200ドル(約66万円)、「ウィンブルドン」で8,700ドル(約93万円)をいずれも暴言で、「上海マスターズ」では「やる気のないプレー」により45,000ドル(約480万円)の罰金と8週間の出場停止、更に観客に対する暴言で6,500ドル(約69万円)、スポーツマンらしからぬ行動に対して2,000ドル(約21万円)の罰金・罰則を科されている。

また2019年5月の「ATP1000 ローマ」では途中で試合をやめてしまったため「失格」とされ、暴言・水のボトルを蹴った・椅子をコートに投げたことにより罰金2万ドル(約210万円)を科された上、賞金の33,000ドル(約350万円)も与えられなかった。

もちろん彼の罰金・罰則は他にもあり、ここには書ききれない。にもかかわらずいまだに幼稚な行動が全く改善されていないところを見ると、キリオスの「お騒がせ事件」はまだまだ続いていきそうだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATP500 ロンドン」でのキリオス

(Photo by Alex Pantling/Getty Images)