写真=Getty Images「我々は、『トロント流』でやろうじゃありませんか」プレーヤーオプションを破棄してフリーエージェントになるカワイ・レナード。ラプターズに球団初優勝をもたらし、この1年でトロントにも愛着を持つようになったレナードは…

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「我々は、『トロント流』でやろうじゃありませんか」

プレーヤーオプションを破棄してフリーエージェントになるカワイ・レナード。ラプターズに球団初優勝をもたらし、この1年でトロントにも愛着を持つようになったレナードは、再契約に気持ちが傾きつつあると見られている。

しかし、2018-19シーズンのファイナルMVPとして、レナードの選手としての価値はこれ以上ないほどに高騰している。交渉解禁後にはラプターズ以外のチームもレナードに接触し、好条件を提示するだろう。ラプターズファンの願いはレナード残留だが、彼らはトロントに初優勝の興奮をもたらしてくれた功労者への心配りを見せている。ターバンを巻いて応援する姿で知られる自称ラプターズの『スーパーファン』ことナヴィ・バティア、そしてトロントのジョン・トーリー市長が会見を開き、メディアとファンに向けて異例とも言える提案をした。

バティアは「私たちのスーパースターであるカワイ・レナードに関して、メディアの皆さんにお願いがあります。彼はトロントの街を楽しんでいるのに、付け回されて、精神的に疲弊しています。そっとしておいてあげましょう。彼には気を休める権利がある。我々はNBA王者になりました。優勝できたのです。今は、彼に街を楽しんでもらい、本人とご家族のプライバシーを尊重しましょう。そっとしておいてあげましょう」と主張したのだ。

「もし彼を見かけても、走って追いかけて写真撮影を求めるような真似は止めましょう。『優勝をもたらしてくれて、優勝チームの一員でいてくれてありがとう』と声をかけるくらいにしましょう。我々ファンも、優勝に貢献する役割を担いました。でも今は、もっと大きな役割を担うべきです」

トーリー市長も「カワイ・レナードに残ってもらうため、情熱的なやり方もあるでしょう。しかし我々は、『トロント流』でやろうじゃありませんか」と続く。

「私が言う『トロント流』とは、見守る形です。辛抱強く、しかし嘆願書のような形で彼に我々の声が届く形を取りましょう。そうすれば、彼もトロントでの時間を楽しめるはずです」

レナードは物静かな性格で、喧騒を好まない。残留希望がラプターズファンの総意なのは、レギュラーシーズン、プレーオフ、優勝パレードでの反応で本人にも伝わっているだろう。バティア氏と市長が言うように、看板広告などを使った派手な残留キャンペーンよりも、平穏な時間をレナードに持ってもらう努力をする方が、正しいやり方なのかもしれない。