大谷は敵地レイズ戦で日本人初のサイクル安打を達成 エンゼルス 5-3 レイズ(日本時間14日・タンパ)  エンゼルスの大谷翔平投手は13日(日本時間14日)、敵地・レイズ戦で自身初となるサイクル安打を達成した。「3番・DH」で2試合連続スタ…

大谷は敵地レイズ戦で日本人初のサイクル安打を達成

エンゼルス 5-3 レイズ(日本時間14日・タンパ)

 エンゼルスの大谷翔平投手は13日(日本時間14日)、敵地・レイズ戦で自身初となるサイクル安打を達成した。「3番・DH」で2試合連続スタメン出場。初回の第1打席で左腕ヤーブローから、いきなり先制の3ラン本塁打を放ちメジャー通算30号の本塁打とすると、3回の第2打席で左中間二塁打、5回の第3打席でも三塁打を放って快挙に王手をかけ、7回の第4打席でシングルヒットを放ってサイクル安打を成し遂げた。

 いとも簡単に偉業をやってのけた。7回2死一塁の第4打席。大谷は2番手右腕ウッドから中前へ打ち返した。日本人初のサイクル安打達成だ。

「単純に嬉しいなと、偉大な先輩がいる中で初めて達成できたのは嬉しいですし、自信になるんじゃないかなと思っています。記憶はないので、初めてじゃないかなと思います。ベンチに帰ったときにみんな喜んでくれて良かったなと思います」

 ショータイムだった。昨季16勝左腕ヤーブローに対し、初回無死一、二塁で打球速度111マイル(178.6キロ)、打球角度19度の超弾丸8号3ランをバックスクリーン左へ突き刺すと、3回無死では左中間を破る二塁打。5回2死では低めカーブを拾って右翼線へ。快足を飛ばして三塁打として王手をかけていた。メジャー初の1試合4安打で偉業達成した。

「三塁打を打った後、みんなに言われたので、そこから意識しました。なんとか四球でもいいから自分の仕事をしたいと思っていた。しっかりボール判断もできていたし、いい打席だったなと思っています」

 MLBでのサイクル安打達成は史上326人目。エンゼルスでは2013年5月21日のマリナーズ戦で達成したマイク・トラウト外野手に続き、史上7人目(8度目)の快挙となった。1900年以降、投手として2勝以上を挙げ、打者でもサイクル安打を達成したのは、野球殿堂入り選手のジョージ・シスラー(5勝、サイクル安打2度)以来2人目。イチローや松井秀喜だけでなく、あの“野球の神様”ベーブ・ルースもできなかった快挙だ。

 アクシデントも物ともしなかった。4回1死の守備中、大雨の影響でトロピカーナ・フィールドは停電。36分間の中断を経て試合が再開された。「いつ復旧するか分からなかった」というが、ベンチ裏で電気のついていた打撃ケージで黙々と打撃練習。「休みを取りながら、状況を見ながら」と次打席へ準備を進め、快挙へつなげた。

「本塁打が打てる上で、三塁打も打てる走力がないとできない。単純にこういう舞台でできるという自信にしていいのかなと思っていますし、明日以降それを継続できるかどうかが1番大事かなと思います」

「(私生活も)普通なら普通に終わってしまう。周りがやらないことをやらないと、上へいけない」

 指揮官の想像を超えた。オースマス監督は昨季GM補佐としてチームを支え、今季から監督に就任した。試合後には改めて打撃力を称賛した。

「メジャーにやって来た2018年のスプリングトレーニングを振り返ってみると、すでにパワーはあった。どの選手よりもだ。ただ、(安定感を備えた)継続的な打撃ができるかについては、確信はなかった。そういう意味で、私が完全に間違っていることを証明してみせた。打てる選手だとは思っていたが、このような打撃を見せてくれるとは思っていなかった。とても賢い野球選手。賢い打者だ」

 試合後にはチームメートからロッカールームでビールをかけられて祝福された。「僕も一平さんもビールをかけてもらって。初勝利や初ホームラン以来、いつやられても嬉しい」と喜んだ。

 これまで二刀流に対する批判や、今季も右肘手術からマイナーでの実戦を経ず“ぶっつけメジャー”に臨んだことに対する指摘が多々あった。「批判していた人を見返したという気持ちはあるか」と問われると、嫌味の一つも口にしなかった。

「そういう気持ちはないですね。自分とチームが勝って成長したいなという気持ちだけ。そういう意味で今日はいい1日かな」

 日本ハム時代、リアル二刀流、日本最速165キロ、投手の先頭打者弾など漫画でも描けないプレーを見せていた。ド派手な結果だが、常に心がける全力プレーが大谷を支えている。

「自分が持っている最高のものを出したいと思っています。僕自身が出せる全力をマウンドでも打席でも。(私生活も)普通なら普通に終わってしまう。普通ではないこと、周りがやらないことをやらないと、上へいけないと思っています」

 打って飛ばして走っての大活躍。まさに大谷らしさ全開だった。(Full-Count編集部)