83回目を迎えた早慶定期戦がことしも行われ、臙脂(えんじ)と紺のユニホームに身を包んだ両校が、大学の威信を掛け伝統の一戦に臨んだ。先陣を切る女子戦もことしで36回目となり、早大女子部は連勝記録を「33」に伸ばすべく慶大と対戦した。序盤から…

 83回目を迎えた早慶定期戦がことしも行われ、臙脂(えんじ)と紺のユニホームに身を包んだ両校が、大学の威信を掛け伝統の一戦に臨んだ。先陣を切る女子戦もことしで36回目となり、早大女子部は連勝記録を「33」に伸ばすべく慶大と対戦した。序盤から終始早大が主導権を握る展開が続いた。攻守に渡り実力の差を見せつけた早大は、セットカウント3-0(25-13、25-10、25-9)でストレート勝ちを収めた。

 慶大の得点で始まった第1セットであったが、齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)が2本のサービスエースを決めるなど、開始早々5連続得点を奪い試合のペースを握る。その後も、橋本美久(社2=福島・郡山女大附)の正確なトスが中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)・山下日和(社1=千葉・市船橋)の1年生コンビに供給され、点差を引き離していく。守備でも、今季初めてリベロに入った梨本未央(社3=東京・駒場)が粘りあるバレーを体現し、第1セットを先取した。続く第2セットも、主導権を渡さない。セット開始直後、富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)のスパイクポイントを始めとする7連続得点で、いきなり点差を広げた。中盤に入っても勢いが止まらない早大は、飯田友美(商4=長野・諏訪清陵)の意表を突くサーブなど随所に好プレーを見せ第2セットも連取する。


ここまでチームを支えてきた飯田

 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)のスパイクで幕を開けた第3セット。植松知里(文構3=香川・高松第一)の偏りのないトスで相手ブロッカーを翻弄し、連続得点を重ねていく。攻撃陣では吉内文(スポ3=山口)がこのセット5得点を奪う活躍を見せると、池田華(社3=韓国・ヨンサンインターナショナルスクール)もサービスエースを決め、春季リーグで出場機会が少なかった選手が次々と結果を残していった。慶大も意地を見せ連続得点を奪う場面はあったが、河治えみり(社3=北海道・旭川実業)の安定したレシーブで相手の追随を許さない。セット終盤には高さのある村山果菜(教3=東京・国際)を投入し盤石の体制を敷いた早大がこのセットも奪い試合終了。連勝記録を「33」に伸ばした。


今季初出場ながら多くの得点を稼いだ吉内

 富澤はこの試合を振り返り、「いい形で早慶戦を終えられて良かったです」と語った。もちろん、3セット全てで大差を付けてのストレート勝ちというこの上ない結果に安堵している気持ちもあるだろう。しかし、春季リーグで出場機会が少なかった選手も含めて全員がコートに立ち輝きを放ったという事実は、主将として『最高の形』であったに違いない。それでも、今回の結果に満足してはいられない。2週間後には、東日本大学選手権が控えている。涙をのんだ春季リーグから3週間、再び輝きを取り戻した早大は東日本大学選手権のダークホースとなれるだろうか。

(記事 友野開登、写真 細井万里男、山中楓華)

セットカウント
早大25-13
25-10
25-9
慶大
スタメン
レフト 富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)
レフト 中澤恵(スポ1=大阪・金襴会)
センター 齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)
センター 山下日和(社1=千葉・市船橋)
ライト 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)
セッター 橋本美久(社2=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社3=北海道・旭川実業)
コメント

富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

慶應は格下の相手なのでどれだけ自分たちがミスを出さないで責めたバレーをできるのかっていうところだったのですが、春リーグ負けて練習してきたことがいっぱい出たと思うので良かったと思います。

――主将として迎えた最後の早慶戦だったと思いますが、その点についてはいかがですか

結構緊張はしましたが、圧倒的な差で勝ったんじゃないかと思います(笑)。いい形で早慶戦を終えられて良かったです。

――普段出場機会が少ない選手も多く出場されていましたが、その選手たちのプレーはいかがでしたか

すごく頑張っていたと思います。ずっと今週中は「全員出すからね」「この時はこうするからね」と伝えていてその通りになったし、出たときに全員が頑張ってくれたので良かったと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

普通です(笑)。

――東日本インカレに向けて一言お願いします

このままではいっぱい課題があるし、負けた試合からも学んだことはいっぱいあるので、そこからもう1回自分たちのバレーというのを立て直して、攻めるだけではなく堅いバレーができるようにしっかり頑張りたいと思います。

飯田友副将(商4=長野・諏訪清陵)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

いつも出ない形だったりいろいろなメンバーが出たので、早稲田らしさが出せたのかなと思います。

――ご自身のサーブを振り返っていただけますか

サーブは全然打ってこなかったのですが、きょう機会をいただいてうまく打てたかなと思います。

――サーブを打つ時、狙いなどはありましたか

全然狙いなどは考えていなくて、とりあえず崩せるように打とうかなと思っていました。

――副将として迎えた最後の早慶戦だったと思いますが、これまでの早慶戦と比べていかがでしたか

他の試合と違って応援など音が大きい環境でやるなかで、いかに自分たちが普段通りやるかというのはすごい難しいですが、4回目になって応援を力に変えてることができ、チームとして勝てたのかなと思います。

――これからに向けて一言お願いします

春リーグはあまりいい結果が残せなかったですが、これからは早慶戦をきっかけにいろいろなメンバーが出たと思うので個々がもっと成長してより強い早稲田を作れるように頑張ります。

村山果菜(教3=東京・国際)

――ご自身のプレーを振り返っていただけますか

今日はスパイクを練習してきたのでちゃんとライトで決め切りたかったんですけど、打つ機会がなく、またブロックでもチームに貢献できませんでした。けれどレシーブが上がったりしたのでそこはよかったと思います。

――今まで出場機会が少ない中で出場されていかがでしたか

伝統ある早慶戦という場で、4年生最後の試合に出させてもらって本当に楽しかったです。

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

去年の早慶戦は3セットで終わったものの、結構競ってしまってハラハラしてたんですけど、今回の早慶戦はしっかり3セット抑えきれていいバレーが出来たので良かったと思います。

――ご自身が出場されたときに何か意識されていたことはありますか

自分は3年生なのでしっかりコートの中で上級生としての声掛けだったりプレーだったりをもっと見せていこうと思っていました。あとは勝負も大事なんですけど、早慶戦を楽しんでいこうともみんなで言っていたので、楽しめるようにみんなで笑顔でプレーしようと意識していました。

――今日の試合で控えていた時にチームの状況を客観的にみて、何か課題はありましたか

普段は1部、2部といった高いレベルでやっている中で、普段は来ないボールであったりタイミングがずれていることもあった。けれどそういうボールに対してもつなぎの部分では絶対負けられないと思うので、1本目の精度だったり2本目、3本目の精度を高めていくことをもっとできるかなと思いました。

――春リーグ負けてからどのように練習されてきましたか

春リーグで負けて基本に戻ろうということで東日本インカレもあるんですけど、一回基礎練習に戻って一本目を絶対に上げることやボールを繋げること、一本目の精度にこだわって全員がレシーブ練習を主にしてきました。あと、スパイク練習はしっかり打ち込んでいくということでスパイクの本数をこなす練習をしてきました。

――最後に東日本インカレに向けて意気込みをお願いします

東日本インカレでは試合したことのない体育館で試合したことのない相手と戦うことになると思うのでチームがしっかり一つになれるように、試合に出場する人もしない人も一丸となって早稲田らしいバレーが出来るように頑張ります。

吉内文(スポ3=山口)

――きょうの自身のプレーを振り返っていかがですか

私自身が去年の東日本インカレ以降全く公式戦に出られてなかったので、結構緊張とか不安とかいっぱいあったんですけど、とりあえず「思い切りやれ」ということで思い切りやりました。

――今まで少ない出場機会でしたが、きょうこの早慶戦に出場しました。何か特別な思いなどはありましたか

去年も出させて頂いたんですけど、去年は全然スパイクが決まらなかったなという印象をすごく覚えていて。今年は頑張ろうと思って臨みました。

――攻撃面でのプレーが目立っていましたが、きょうの試合で意識したことはありますか

とにかく思い切り打つことですね。

――春リーグで負けてしまった後、練習の方法などチームで変えようとしたことはありますか

春リーグ後半に出た課題として、個々の技術とかじゃなくてチーム全体のつながりがあまり良くなかったんじゃないかという課題が挙がりました。それ以降チームの主体となっている人を中心に教え合うというか、練習中も先輩後輩関係なく教えてもらったり、全員でつながりを深めていくことが多くなりました。

――最後に、東日本インカレに向けて意気込みをお願いします

なかなか試合に出ることができる場面は少ないと思うんですけど、チームに何があってもいいように、しっかりと準備をして自分自身ベストな状態で臨めるように頑張りたいと思います。

池田華(社3=韓国・ヨンサンインターナショナルスクール)

――今日の試合を振り返っていただけますか

試合前から早慶戦は特別な緊張感がありましたが、みんな試合開始から思い切り打てたのでいい試合運びができたんじゃないかなと思います。

――早慶戦は違った雰囲気でしたか

試合前から同期とは緊張するねっていう話はしていました。それにいつもあまり試合に出場しない人でも出るのがわかっていたので、出た時にどういうプレーをしようかなという緊張とワクワクがありました。

――第3セットではサービスエースも決まりました。出場された時のお気持ちを教えてください

嬉しかったです。春リーグの際のサービスエースはまぐれだったんですけど、今回のサーブは打ちたいところに打てて取れた分嬉しかったです。その後もリーグ戦ではサーブだけのところをコートにいさせてもらえたので、普段とは違う感覚があり、とても楽しかったです。

――東日本インカレに向けて一言お願いします

これからどんどん気持ちを東日本インカレに持っていけるように、私は私なりに練習中の声出しであったりできることを極めていきたいと思います。