この4年で3回目の対戦となった上武大と福井工業大(以下、福井工大)の一戦は、過去2回延長タイブレークの末に敗れていた福井工大が見事なゲーム運びで5対3と勝利。雪辱を果たした。 試合が動いたのは3回。横山圭佑(3年・名古屋国際)が二塁打を放…

 この4年で3回目の対戦となった上武大と福井工業大(以下、福井工大)の一戦は、過去2回延長タイブレークの末に敗れていた福井工大が見事なゲーム運びで5対3と勝利。雪辱を果たした。

 試合が動いたのは3回。横山圭佑(3年・名古屋国際)が二塁打を放つと神藤廉太(4年・明徳義塾)の安打で無死一、三塁のチャンスを作って打順は1番に帰る。すると、掛橋一真(2年・報徳学園)のスクイズ、成澤圭祐(3年・長野日大)の三塁打、八幡陸(4年・福井工大福井)のセンター前タイムリーで3点の先制に成功した。

3回にタイムリーを放った成澤は三塁ベース上でガッツポーズ

4回に本塁打を放ち、ガッツポーズする神藤

 さらに1点を返された4回裏には神藤が右中間スタンドに飛び込む2ラン本塁打でダメ押し。

 先発の立石健(1年・大体大浪商)も7回を2失点に抑える堂々の投球を見せると、8・9回を谷優希(2年・西舞鶴)が1失点に抑えて逃げ切った。

 試合後、下野博樹監督は開口一番に「学生の気持ちが入っていました。スタンドが勇気づけてくれました」と感慨深く話した。

 上武大が日本一を達成した2013年に対戦し1対8のコールド負け。力の差もさることながら、上武大スタンドの部員たちに声援にも圧倒された。以来、福井工大も上武大に野球はもちろんのこと、スタンドの声援でも負けまいと大きな声を張り上げて、選手たちを強く鼓舞するようになった。それでも2016年、2017年と勝利まであと一歩と近づきながらも勝利を掴むことはできなかったが、今回ようやく雪辱を果たした。

 就任 11年目の下野監督はかねてより地方大学の模範として「東は上武大、西は関西国際大を目標にしてきました」とし、「感無量です」としみじみと語った。

 選手たち、監督たちにとっても悲願の上武大超えを果たし、次戦(6月12日)は東京六大学リーグの明治大と対戦する。「すべてのものを力に変えたいです」と応援などを含めた部員全員の力をバックに金星を狙う。

試合終了後、スタンドにいる部員たちにガッツポーズする下野監督

■1回戦:上武大vs福井工業大
上武大 000100101=3
福井工大 00320000X=5
【上】●本定、吉野-古川
【福】○立石、谷-宮石
本塁打:福井工大・神藤(4回2ラン)

◎上武大・谷口英規監督
「浮き足立ったまま終わってしまいました。勝ちたい気持ちが福井工大さんの方が上でした。完敗です」

1年生ながら7回2失点と堂々とした投球を見せた立石

昨年の対戦時のゲームレポートはこちら

文=高木遊
写真=中西陽香